溺れる戀

oboreru koi

溺れる戀
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×24
  • 萌14
  • 中立3
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
8
得点
66
評価数
23
平均
3 / 5
神率
4.3%
著者
高遠琉加 

作家さんの新作発表
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イラスト
今市子 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHYノベルス
発売日
価格
¥860(税抜)  
ISBN
9784813011682

あらすじ

富裕な成實家の末っ子として生まれた成實祥彦は、ある使命を持って豪華客船青洋丸に乗り込んだ。倫敦までのこの船旅は祥彦の人生を決める旅だった。そこに、大学時代の同窓生・伊藤龍次が現れる。彼がなぜこの船に?かつて、伊藤は祥彦のなかに痛みを残し、そして消えたのだ。いつでも祥彦を捕らえて放さなかった視線に、再び祥彦は囚われるようになり…。

表題作溺れる戀

大学時代の同窓生:伊藤龍次
裕福な銀行家:成實祥彦

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数8

運命を変えた、ただ一度の恋

今市子先生の表紙に惹かれて読んでみました。が、電子なので中の挿絵はなし。

めちゃくちゃよかったわ…と思ってレビューしに来たら、評価が今一つでびっくり…。私としては雰囲気も文章表現もすごく好みで、うっとりしながら読んでました。

ストーリーは、オーソドックスな再会ものです。
舞台は震災後、経済情勢が不安定な昭和初頭。主人公の父が頭取を務める成實銀行も経営難に喘いでいる。
そんな状況下、ロンドン行きの船旅で、縁談相手に求婚するつもりだった主人公。しかしそこで、大学時代に一度だけ肌を重ねた伊藤に再会してしまい、心を乱されてしまう。彼はなぜこんなところに、こんなときに現れたのか、その目的は?というのが導入部。

そして、大学時代の回想が始まります。
ここからの、ふたりが惹かれ合う様子が、めちゃくちゃ萌えた…!

男が男を意識してしまうということへの戸惑い、緊張感。抑えた感情表現、情景描写が素敵です。
雨の中のキス。雪の日の静寂の中での、ただ一度の交わり。
どうして逃げないのかと問いながら、手を掴んで離さない伊藤。自分の気持ちを初めて自覚し、告げる成實。
体を重ねても、伊藤は好きだという言葉は発しない。
それには理由があって、それを知った時、成實は自分の恋は許されないものだということに気づくのです。そしてそのまま、伊藤は行方をくらましてしまう…。

後半は船の上で事件が起こり、ここからの展開はやや性急。バタバタした印象で、ちょっと残念でした。
しかし、その事件がきっかけで押し殺していた自分の気持ちに、成實がようやく向き合う時が来ます。そして、伊藤の本心も明らかにされていく…。

全編受けの一人称のため、なかなか攻めの本心が見えずもどかしい。私は普段BLでの一人称って苦手で、目が滑って読めないことが多いのですが、これは全然そんなこともなかった。主人公の葛藤が丁寧に描写されていて、かえって効果的に感じました。
そして、やっぱりこんな風に、ちゃんと男同士であることの背徳感や罪悪感が描いてあるBLって、すごくいい!
身分差萌えも満たされ、大満足でした。

4

タイタニック!

いとしいとしと言う心、と戀を綴る。
豪華客船・首飾り・身分違いの恋と来ればタイタニックですね。ずっと映像が浮かんでいました。夜毎の晩餐や、三等船室の猥雑さ。この客船は沈んだりはしなかったけれども、受である主人公の心は沈んでいて。タイタニックのように悲劇が起こるのではないかという危うさを秘めていました。
時代は大正から昭和にかけて、欧州航路の客船で、かつて帝大の同級生だった男と再会する。いつも視線で自分の心臓を刺した男。
自分とは違う世界にいる同級生をいつも見ていて、そして時折、相手の火傷するような視線。
恋という呼び名などなく、ただ惹かれていく。
雨の日と雪の日の触れ合い。それきり。
彼が何故、この船にいるのか。そして自分は家を守るために見合いをしなければならなくて。
欲しいものを欲しいと言えず、ガラスに隔てられたような恋。
前半の緻密に描かれた心情と時代背景に、ドラマのようなロマンを感じます。映画化してほしいわ…!と。
後半は舞台が次々と変わっていくので、ちょっと目まぐるしかったです。攻の気持ちもなかなかわからないしー。
ちなみに受のほうが一等船室なので、それも私の好みでした。
読むたびに思うけれど、高遠さんの文章ってほんとハマる。何故か動けなくなるのです。

2

BL版「タイタニック」

昭和初期、舞台は豪華客船。
一等船客と二等船客の恋。政略結婚などなど……
BL版『タイタニック』です。

学生時代の伊藤との触れ合い。
成實が伊藤に恋に落ちたきっかけのエピソードが、
「ああ…なんとなく判るなぁ」と思い、胸キュンでした。

しかし前半の丁寧な描写に比べると、後半の怒濤のような急展開は、
ややご都合主義かと思いましたが……豪華客船ライフの優雅さ、
長い間温めてきた二人の恋心を楽しめたので。満足です。
あと今市子さんの挿絵が、小説の雰囲気とぴったりで。良かったです。

1

藤棚

>がばちょさん
確かに表紙からは「タイタニック」は連想できませんね(笑)

がばちょ

今市子さんの耽美な絵、読んでみたら日本版「タイタニック」!などと思いもよりませんね(笑)。

タイタニックだ

和製タイタニックBL風味、って感じでしょうか。
時は大正時代。
前半の学生時代のエピソードは神でした。高遠さんの静かな筆致で、ギュッと胸を絞られるようなセピア色のシーンが連面と続いていく。
雨のなかでのキスが最高。さらっと書かれたたった二行のキスシーンを、舐めるように読んだ。くどくど描かないこの焦らすような書き方、大好き。
前半の神っぷりに対し、後半の船上エピソードではちょっと失速したように感じましたが、それでも満足です。

1

高遠さんと今市子さんのコラボ

あとがきに今市子さん挿絵なので折角だから時代背景をこの設定にしたとありますが、全体的に今市子さんをイメージしたのかなという感じが読んでいてしました。
前半はほぼ豪華客船で話は進みます、見合いの為に一等で優雅な旅をする銀行の3男、祥彦[受]でこのまま行けば相手と結婚する事になるのだろうと曖昧に流されるままに進んで行く時、彼は同じ船内で伊藤[攻]の姿を見付けるのです。
伊藤はかつての学友で一度だけ触れ合った事がある相手。
彼との過去話は伊藤はつかみ所のない男だけれど、ただ祥彦に好意を抱いているという事だけは分かります。
前半は謎めいていて、後半に一気に話が進んで行く感じ。
レトロめいた一等船室の豪華さっぷりシーンが何気によろしかったです。

1

名家の大人しいお坊ちゃん、恋心に揺れて溺れる

2008年発表の、高遠琉加先生による時代物BL。

時は関東大震災後の大正〜昭和初期あたり。
主人公は上流階級のお坊ちゃま。銀行頭取の三男・成實祥彦(なるみ よしひこ)。
倫敦への50日間の豪華客船での船旅を舞台に、忘れられない学生時代の恋と、名家に生まれ「個」の自由のない自らの境遇、そして首飾りの盗難事件というちょっとしたサスペンスも盛り込まれています。

この成實は大人しいお坊ちゃんで、今まで自分の意思を持たず生きてきた。
今震災後の金融不安で銀行業の成實家にも暗い影が差し、今回の船旅も実は資産家の令嬢とのお見合いが目的。勿論自分の意志ではなく両家の思惑でセッティングされたもので。
しかし船上で成實は思いがけず学生時代の友人・伊藤を見かける…
…と始まります。
将来のレールが敷かれ脱線が許されない自分と正反対に、世界を見て自由な伊藤に惹かれていた成實。
一度だけ伊藤に抱かれたが、伊藤が何を考えて自分を抱いたのかがわからない成實。
その後伊藤は帝大を去り、姿を消してしまう。
憧れ、恋心、忘れたいという気持ち…心が乱れる成實……なのですが、船内で伊藤を見つけた成實が何ともうじうじとしている。
一方伊藤の方も確かにわかりづらい。成實ならずとも伊藤の真意はなかなか見えません。なぜ今成實の前に現れたのか?
社交室でのダンスパーティの最中に起きる停電と、その後消えてしまう成實家所蔵の翡翠とエメラルドが散りばめられた豪華な首飾りの紛失…
その事件と伊藤には何か関わりがあるのか?
成實の知らなかった伊藤と首飾りの因縁などが絡み合い、成實は家を取るのか伊藤への恋を取るのか…⁈
終盤にかなりドラマチックに物語が動き、成實が縮こまっていた世界の殻の方が壊れていきます。自由の風を感じ、新しい自分になる事を選ぶ成實の姿。
今市子先生の挿絵がこの世界観にピッタリで素晴らしかったです。

0

昭和初期+船旅+再会

2007年刊、昭和初期の時代を背景にした話。
この時期の史実を元にしての内容故に、華やかなようで翳りがあり、後に落ちぶれていくであろう資産家一家の有り様は重苦しい雰囲気ではある。
豪華客船での倫敦(ロンドン)行きの旅路の中で、成實家の三男・祥彦は大学時代の同級生・伊藤と再会する。
祥彦には家の命運をかけた紡績王の令嬢との婚約を決める重責があるにも関わらず、かつて心を奪われていた男との過去を思い浮かべる日々だ。
伊藤との船上での再会は偶然のものではない、彼は一体何を企んでいるのか?…

今回の話では、受けキャラである祥彦から湧き出てくるような切なさってのを感じにくかった気がする。
謎の多そうな伊藤からは、祥彦の見合い情報を事前に掴んで同じ豪華客船に潜り込む辺りに執着心を感じるが、実は一途な男だった。
彼は元々優秀な男で、祥彦に接近したのは別の目的もあっての事だが、その算段がなかなかの切れ者だった。

ちなみに、この話が何故わざわざ船旅で見合いが進行するの?ってふと気が付いた人は勘が鋭いです。
自分も同じ事を考えていたらビンゴだった(;´∀`)…
(ヒント=令嬢のその後の行方)

本当言うと祥彦も、かつての伊藤と同じように家業の後始末の為に成實家に戻って懸命に働くって気概を見せて欲しかったかな。
しかし、縁談がまとまらなかった彼には逆に一族に責められるのも目に見えているし。
…ってなると実家の為に出来る事はないってなってしまうのか…

0

表紙と扉絵が美しい。

昭和初期を舞台に描かれる帝大同窓生同士の恋物語。タイトルや豪華客船の出港シーンで始まる冒頭から、それはそれは期待に胸高鳴らせて読み始めました。今市子さんがイラストだと無条件に吸い寄せられてしまうので、高遠先生の積み本の中で時代物をお初に選んでしまったのがいけなかったのか…。他のレビュアーさま方による、「和製タイタニック」という表現は大変的を射ていて、全く思い至らなかったので目から鱗でした。

全体的に美しく、あえて抑制(あっさり?)した描写を貫かれていたように感じましたが、伊藤と成實がお互いのどこに惹かれあったのか伝わってこなくて、キャラクターの萌えどころを捉えることが出来ませんでした。気づけば目で決まった誰かを追ってしまう、「視線」が語る恋心が通奏底音にあるとしたら萌えたかもしれません。序盤では凄く効いていた描写だったように思うのですが、最終的にはほとんど印象が薄れてしまいました。コミックだったらどうだったんだろう?などと、普段は考えないのにチラっと過ってしまった…。

時代物は好きですが、小説で読んだのはこの作品が初めて。先のレビュアーさまもご指摘されていますように、あとがきに今市子先生のイラストありきの時代設定とありました。作家さまの、資料調べが得意ではないから…との発言に、ご謙遜だとは思うのですが、なんだかちょっと興醒めしてしまった感があります。初めて読んだ先生のあとがきに「ですよねー」とは同調しにくくって…。他の現代物や色々な作品もじっくり味わってみたいと思います。

0

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