キム・フィールディングさんのレビュー一覧

犬晴れのクリスマス 小説

キム・フィールディング  Dite  冬斗亜紀 

ストーリーテラーなお犬さま

犬が!可愛い!衰弱しているところを拾われて、自分のように相手を幸せにしようと使命感を持つアンナ。ショーンとオースティンの出会いからその先までが、全てアンナの導きによるもの。奇跡のような不思議な物語だった。

犬のアンナ視点から始まる作品。アンナの中で名付けは人間を従えた証拠で、ショーンは自分のもの。幸せをもらい、自分と同じくらい幸せにしてあげようと頑張っている。

ショーンは元彼と別れて独…

0

犬晴れのクリスマス 小説

キム・フィールディング  Dite  冬斗亜紀 

運命の出会い

モノクロームロマンスの電子短編小説。

「犬」を中心とした視点での冒頭が翻訳小説らしい。
一度は可愛がられ、その後厳しい環境に置かれた一頭の雌犬。
「彼女」が逃げ出して、ひとりの男性の車に轢かれそうになって…という冒頭。
結局彼(ショーン・大学教授・ゲイ)が彼女を引き取って、アンナと名付けて飼うことになります。
アンナとの生活。つまりお散歩とか色々?
インドア的生活が変化していくショ…

0

犬晴れのクリスマス 小説

キム・フィールディング  Dite  冬斗亜紀 

きらきら光る、”犬の恩返し”

はー……くさくさしていた心に染み渡った。。
わんこ(リアルな方です!)大好きな自分には嬉しい、犬が結んでくれたご縁の物語。

アメリカが舞台のM/M、クリスマスのお話です。
捨て犬となり街をさまよっていた犬・アンナ視点から物語が始まり、彼女を拾って
くれた40男・ショーンの恋が描かれます。

このアンナちゃんの活躍がもーー、本当に素晴らしい!!!
散歩中にショーンを文字どおり引きず…

2

Speechless 小説

キム・フィールディング  スカーレット・ベリ子 

ラストのspeechlessなシーンが良い

片眼を失った旋盤工トラヴィスと失語症の小説家ドリューのお話。

大きな事件は起こらず、二人の出会いから仲を深めていく様子が描かれる。お互いに引け目に感じていることを認め合ったり気にしなかったりしていて、二人が心から受け入れ合っていく感じがとても良かった。

ストーリーはやむを得ない事情で離れた二人が再会するところで終わる。別れた後も未練を残すトラヴィスだが、戻ると決意するきっかけが突然出て…

1

ALASKA 小説

キム・フィールディング  藤たまき 

二人の二十年の物語にじわっとくる

どうしようもない子供二人が別々の道を歩み、お互いを精神的な支えにしてどうにか生き抜き、最終的に……というお話。1993年から始まった物語は2013年にエンディングを迎える。二人の二十年の結末がこうなってくれて本当に良かった。

幼少期を共に過ごしたスコットとマルコは、その後クリスマスに二度会っただけ。ふらっと現れた一度目と、偶然出会った二度目と。マルコの生活は常に家族を養うためだけに消費され、…

3

ALASKA 小説

キム・フィールディング  藤たまき 

ふたりの20年間

レビューしている方がいた。
おまけにあらすじ紹介が綺麗。
なのでどんなお話なのかは、ふばばさまに乗っかってしまって感想だけ書きます。

あたし、こういうお話に徹底的に弱いんですよ。
日常に追いつめられているふたりが「ここではないどこかに行こう」って約束しちゃうお話。
自分らを囲む現実は過酷で、向き合う相手を何とか救いたいのに、あまりにも自分は非力。だから「アラスカに行こう」って言うんで…

3

Speechless 小説

キム・フィールディング  スカーレット・ベリ子 

文学だなぁ……。

BLやM/Mはちょっとね……という人でもサクサク読める短編です。

舞台はアメリカだけど、中上流階級ではなく今にも押し潰されそうな底辺の人が主人公で、ある意味格差社会アメリカっぽい物語かと。レイモンド・カーヴァーの短編とか、映画『スタンドバイミー』に漂ってるちょっとやるせない雰囲気を感じますね。

BLとしてどうか? といえば、日常ほっこり系BLとしてはレベル高いのではないかと。

個…

1

ALASKA 小説

キム・フィールディング  藤たまき 

聖夜の愛のクロニクル

つらい境遇を生きる2人の少年・スコットとマルコの愛のクロニクル。

養護施設をたらい回しにされているスコットと。
祖母と幼い妹2人と暮らして身動きが取れないマルコ。
2人は離れがたい親友であり、兄弟のようでもあり、とにかく魂で結びついている。
マルコは、拠り所のないスコットを救いたいし、
スコットは縛り付けられているマルコを自由にしてあげたい。
その象徴が、アラスカ。
2人でアラス…

4

Speechless 小説

キム・フィールディング  スカーレット・ベリ子 

ウィスキーとシトラスが香る

CPの片方、ドリューは失語症で、セリフが一切ないという珍しい作品。物語のテンポが悪くなったり読みづらいと感じることは全くありませんでした。キム・フィールディング先生の作品は初ですが、冬斗先生の訳文もしかり、お二方とも大変お上手なのだろう。

発声ができない失声症と混同していましたが、失語症は単に声が出ないというモノではないのですね…万人に辛いことは明らかだけれど、小説を書くことを生業としていた…

3

Speechless 小説

キム・フィールディング  スカーレット・ベリ子 

ほっとする物語に潜む愛と経済の問題

電子での海外BL短編。

ある町で、旋盤オペレーターのトラヴィスは1人の男性を気に留めるようになる。
仕事帰りに通る道のある家の前の石段。ギターを弾く男。
気になりだすと、ほぼ毎日彼がいる事がわかってきて。
気になって気になって、ある日、思い切って彼に話しかけてみた…

それが2人の出会い。
ギターの男はドリュー。小説家。
そしてドリューは失語症。相手の言うことはわかるが自分は話…

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