Sakura0904
上巻の冒頭で示された時系列の不思議が下巻で一気に解明され、そう来たかぁと思わずにはいられませんでした。すべて知った今となっては、敦也が眠っていた間、洋二はよく1人で耐えたなぁと感心するばかりです。遼一の犯した罪と、彼のせいで目覚めなくなった愛しい人。まだ大学生で、遼一の元で歪に育ってしまった洋二にはあまりにも重い現実だったのではないでしょうか。
彼がそんな重みを耐え抜くことができたのは、…
終始不穏な空気が漂ってはいるものの、なんだかんだ洋二に穏やかに接してくれる靴職人の敦也がいるシーンは心安らかに読めました。不穏な空気の要因は、洋二の兄の遼一。登場シーンはかなり少ないものの、弟にも同級生だった敦也にもかなり影響を与えており、2人の口から語られる度にどきっとさせられます。
2人の話を聞く限りでは、根っからのサイコパスという印象です。教えられなくても他人の懐に入り込む術を心得…