ふばば
アルとネーリよりも、読後はカッラーロが中心になっていたような印象を持ちました。弟と秘書に守られながら、カメラマンの恋人と自由に恋愛する彼。もちろん弟のメディア王・ジーノの力も大きいでしょうけれど、もっと根本的にカッラーロをスキャンダルから守るという意味では、秘書の暗躍が一番重要になっている。小言はうるさいけれど、カッラーロから自由を奪ったりはせずに、奔走する草臥れた秘書の心中が気になりました。カ…
いろんな男性を引き寄せる刺青師ガッドの物語。地に足着けた生き物である亀の刺青を背中に入れながら、その性生活は地に足が着いているとは到底言い難いものです。来る者拒まず去る者追わずな人生。ただし、快楽好きのビッチなのかと問われれば、それとはまた違うような。孤独を埋めるための行為にも思えないし、彼は一体何のために、不特定多数の男と関係を持つのか。
私には彼は不幸でありたがっているようにも見えま…
◆LA SCORTA 〜 amato amaro(表題作)
経済学専門の教授と、彼のボディガードを頼まれ知り合うこととなったアルマンド。教授は自分が脅迫されているという状況にも一切物怖じすることなく、論文を書き続けたり、挑発的な発言をしたりして、彼を心配する周囲を度々怒らせます。それでも彼がその態度を改めることはなくて。私は学者というのはこれくらい豪胆でいいと思います。誰かに何かを言われたから…
basso先生の線が太めで濃い絵のタッチが、イタリアの風景とインテリ男達によく合いますね。短い作品が何本も収録されていて、どれも淡々と描かれているのだけど、1人ひとりのキャラクターを丁寧に練ってあるなぁという印象でした。草臥れたおじさんのふとした時の色気、お人好しな青年の正直過ぎる気持ちの吐露、ベッドでは気怠そうな雰囲気だった受けが涙を見せる瞬間。日常に近いようで、結構ドラマチックな展開があった…