牧さんのレビュー一覧

プルメリアのころ。 小説

尾上与一   

正直な二人

1945シリーズ、最後にこの作品を読みました。
ついに現れました。
戦争が嫌だとはっきり言う人物
戦争で死ぬなんてバカバカしいと考える人物が。
その二人がペアになり、お互いのために戦います。
強くて愛国心があった人ばかりではなかっただろう。きれいごとばかりではなかっただろう。
この二人は気持ちに正直で、一番共感できると思いました。弱い泣き虫の千歳を思って、同じくらいカズイが悲鳴をあげる…

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天球儀の海 小説

尾上与一   

頑なに思いあう二人

旧作未読
1945シリーズを順通通りに読まず、四冊目にしてこちらの作品を拝読。
もし最初にこの作品から読んでいたら先に進めず怯んでいたかもしれません。

一途に思い続けた人の身代わりで特攻隊員になるとはかなり常軌を逸したお話。
舞台は日本で戦場のことはほぼ書かれておりません。
愛する人をここまでしなけれはならないくらい追い詰められる状況だったのでしょうか。
そうでもしなければ兵役を免…

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碧のかたみ 小説

尾上与一   

番のふたり

1945シリーズのなかで、二人は実に健全な男子という印象。
家族もいて愛されて育った、すこやかで明るいペア。小気味よく読み進めました。

六郎が恒に惹かれるのと同時に読んでいるこちらがときめきます。やんちゃだけど賢く腕が良い、星のように眩しい子。
屈託無い素直な性質がシリーズの中でも珍しく、それが一層戦場との対比で切なくはなりました。
戦争でなければ出会ってない二人。
尾上先生が仰るよ…

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彩雲の城 小説

尾上与一   

唯一無二

この二人が大好きです。
すごく苦しい過去持ちの不憫なペア。読んでいて切ないのですがそれ故にかけがえなさを感じます。

最初は藤十郎が六郎を偵察員に熱望しているところから始まるので、月光ペアと同じ時間軸、同じ基地にいることがわかります。
割り当てられた機体は難しい「彗星」
苛立つ藤十郎と拗れた伊魚の駆け引きが切なくて焦れて、狂おしいほど萌えました。

尾上先生が「ボケもツッコミもいける…

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蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

しっかりと受けとめる

小説読書元年、こちらの作品を手にとるのには少し覚悟を要し時間がかかってしまいました。
期せずしてこの時期になり、結果よかったと思います。
先生の圧倒的な文章でまるで当時ありのままの情景が再現されているような感覚に陥ります。
是が非でもない状況で戦争の時代を生きぬく若者たち。
もし青春時代が戦時中だったら、と考えずにはいられない作品です。
「生きたいという気持ち」の大切さ
気付かされてう…

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蒼穹のローレライ 小説

尾上与一   

No Title

太平洋戦争中期の日本が舞台の作品です。

空路ラバウルの基地に向かっていた備科飛行班の整備員の三上徹雄が、敵襲の危機を一機の零戦に助けられるところから、ストーリーがはじまります。この零戦搭乗員は、一飛曹の浅群塁でした。

命知らずな戦いを続ける塁と、塁の機専属の整備員に命じられた三上とのお話なのですが、生命をうしなうかもしれないという極限の状況ではぐくまれる恋のようなものが、丁寧に描かれて…

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謹製ヘルブック 小説

尾上与一   

彗星を降りてもペア

彩雲の城、藤十郎と伊魚のお話が綴られています。
二人の軍装が美しい・・清い表紙に艶めかしいタイトルのギャップに期待が膨らみます。
あれっっっっ!?よーーーく見ると
伊魚の首にキスマある⋯????
尾上先生によると表紙はグラビア風if世界だそうです⋯♡
謹製(心込めて謹んで製造された)ヘルブック(海軍用語でエロ本)というだけあり、とても濃厚なお話もあるのですが
それだけではなく、切ないお…

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浜津少佐の受難

沢口中佐がラバウル基地から内地に異動がきまったとき、くれぐれも、と個人的に浜津少佐に頼んでいったことがある。
「目を掛けてやってほしい搭乗員がいる」
何も知らない浜津少佐は嬉々としてこの願いを引き受けるのですが、この時点で読んでいるこちらはぷふっと吹き出してしまいます。
鷹居千歳の艦爆ペア、緒方伊魚の彗星ペア、琴平恒の月光ペア。
名前を聞いてますます笑いがこみあげてくる。そして「早速浜津は…

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謹製ヘルブック 小説

尾上与一   

藤十郎と伊魚のヘルブック

旧版既読。 

旧版に他のSSも収録されモリモリの文庫本となって再び会えた喜び。
まずは表紙のイラスト。第二種軍装の二人の爽やかに見せつつ淫靡な雰囲気が漂うのにはさすがの彗星ペア 
牧先生いつもありがとうございます  

中身はヘルブックとした元々の同人誌の香りが充分しつつ、伊魚の痛々しい心の内とそれに寄り添う藤十郎の男らしい愛情表現が余す所なく充分に収められて大満足です。

コミ…

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『天球儀の海』1945シリーズコミコミスタジオ限定連作SSフェア小冊子「とりのはなし2 琴平希」 グッズ

青空の下をのんびり歩く

戦後、資紀と希が街を歩きながら青空を眺め語る日常もの。
このお話の肝は、資紀がなにげなく希の飛行時間(戦闘機の飛行歴)を尋ねたことです。
希からの答えは資紀の想像を絶するほど少なく、まるで素人同然の有様でした。希が予科練に入ったころは人も燃料も足りず、練度の低い者がろくに訓練もできない状態で前線に配備させられていた時代。片道燃料で敵艦に当たる行為も、一人前に操縦ができなければ成果を上げられない…

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