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ストーリーを大まかに纏めると、彼女と付き合ってはいるけれどドライな関係になりつつある攻めの北村が、受けの南原が自分に好意を持っていることを知り、なし崩しで体の関係に発展してしまうところから始まります。北村はなかなか頭で同性を受け入れることができず、酷い男だと自覚しつつも彼女と南原の間でふらふらしながら、徐々に南原に向いていく自分の気持ちを認めて彼を受け入れる覚悟を決める、という流れです。相手に尽…
上巻とは打って変わって一気にシリアスになるかもしれないと構えましたが、雰囲気はほとんど変わることなく、最後まで記憶喪失ものにしてはライトな作品でした。古藤の表情が憐れさを誘う時もあるものの、やはり下巻でも濡れ場が多く、そっちに持っていかれた感はありますね。エロと記憶喪失、なかなかお目にかかれない組み合わせだったなぁと改めて思いました。
結局藤井が2年間の記憶を取り戻すことはなく、自分が古…
記憶喪失ものの作品だとずっと重厚感の漂っているものが多いイメージなのですが、少なくともこの上巻に関しては、割とライトに読める作品だったかなぁという印象です。もちろん、付き合っていた期間の記憶を失くされてしまった受けの古藤は気丈に振る舞っていても内心は辛いのでしょうが、自由人な性格は変わらずなので、そのお陰で読者もそこまで沈鬱な気分にならずに読み進められます。
それに加え、濡れ場がそこかし…
◆僕のカタギ君〜みんなの唄(表題作)
私は個人的に、痛々しいとかグロいとか救いがないといった作品にまったく抵抗感がないので、少数派かもしれませんが、この作品はそこまでショックや重苦しさを感じずに読み進めることができました。ヤクザものを読む時はどんな展開が来てもいいように、自然と受け入れる器を広くしているのかもしれませんが。目次で短編集かと思わせて、実は4つの短編が時系列を入れ替えて、すべて繋が…