碧雲
有名な史実(説止まりの話も含め)をなぞらえながら、BLに落とし込む吹屋先生の手腕がお見事でした。もちろん若い男同士の絡みがメインでありながら、冒頭の『鬼ノ島』では耄碌した僧に若いかつての侍童が自ら抱かれるシーンも描いていたりと、当時の綺麗なだけではない同性同士の関係にも挑戦されていました。この作品を読むと、当時の僧侶や武士は男しかいない世界だから皆女の代わりに男を走ったのではなく、性別は関係なく…
いやぁすごいページ数でしたね。非常に読み応えがありました。武士の時代、親の仇は子の仇という時代ならではの復讐劇。話の大まかな流れは大体読めてしまうのですが、それでも1つひとつのシーンにおける2人の熱い、もしくは冷たい表情だったり、感情の滲み出る台詞だったりが素晴らしく、全体を通してエネルギッシュな作品でした。吹屋先生の画力の高さがあってこそのものだとも思います。
2人揃って刀爾郎を好いた…