夏乃穂足さんのレビュー一覧

グッバイ、マイドッグ 小説

夏乃穂足  上田規代 

まさにワンコ!

既読の「くろねこのなみだ」と細い糸で繋がっている作品でした。前作は人間になった猫、こちらは人間になった犬(イチ)のお話です。それぞれ人間になるプロセスは違いますがファンタジーで、どちらも飼い主を救う存在として描かれてます。

プロローグとエピローグは犬であるイチの一人称、本編は飼い主である璃人の一人称で進みます。評価は前作と同じ「萌x2」ですが、両方の心情が分かるという点で私は今作の方が好きで…

2

茜色デイズ 小説

夏乃穂足  本間アキラ 

レモンとはちみつは初恋の味

主人公直也は中学二年生の時に転校先で英慈と出会って惹かれます。それは同じ大学に通う頃には恋と自覚をしていますが、男同士と同性だし、親友に好きだとは告白できませんので自分の好きだという気持ちが表にでないように必死で繕っています。前半、中学時代と、今の大学の部活生活が交差する構成が好きです。ボート部の青春って新鮮で楽しい。英慈に彼女が出来て、デートに行く前に、いつも作ってくれたレモンの蜂蜜漬けを受け取…

2

くろねこのなみだ 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

猫は泣かないのかな?

ファンタジーでありながら、夏乃穂足さんの、時に現実を容赦なく突き付けられているような気分になる淡々とした筆致が印象的な作品でした。私は特に動物好きでもないのですが猫好きだったら辛く感じる描写が結構あったように思います。

物語は主人公である黒猫・クロの一人称で進みます。クロは仔猫なのに思考が老成していて人間に対する警戒心が非常に強いのですが、ある日、獣医の克己に拾われたことが切欠でやがて彼の飼…

3

グッバイ、マイドッグ 小説

夏乃穂足  上田規代 

方舟の行方を見守りたい

犬派だとか猫派だとかいう派閥には属しておらず、しかもファンタジーはあまり好んで読まない人間です。
それでも前回のBLアワードの結果を見て以来、1年以上気になっていた。ようやく読むことができました。

イチが一夏になる経緯とか、一夏の期限付きの命が期限付きでなくなるところとかやっぱりファンタジー耐性のない私には少しだけ、のめり込めない部分もありました。
でもイチと璃人が心を通わせていく流れは…

3

茜色デイズ 小説

夏乃穂足  本間アキラ 

王道展開だけど

幼馴染の長い両片思いモノです。BL的セオリーがきっちり踏襲された展開で、衝撃的なことは何も起こらないのに、とても切なくて非常に萌えました。ふう。

なんでしょう、この甘酸っぱい感じ。王道設定をしっかり読ませる作品に仕上げることが作家の力量をはかるバロメーターの一つだとすれば、夏乃穂足さんはやはり実力のある作家さんだと思います。

攻の英慈の言動は身勝手だし、受の直也は発想が如何にも「自分は…

2

君の瞳のデイジー 小説

夏乃穂足  御園えりい 

置いてけぼり感

どこがどうと上手くお伝えできないのですが「惜しい!」と感じました。

良いところは沢山あって、舵と海里を彷彿とさせるライオンとサルの童話が章ごとにインサートされる構成や、数少ない舵のモノローグで彼の心境の変化が分かる点はワクワク感が増して楽しかったです。また、自分の愛情の重さを自覚しつつ海里を独占したいと苦悩する舵もなかなか不器用で愛おしいキャラクターでした。

ただ…オチ自体は前半でなん…

1

ドMとドSと、ときどきウサギ 小説

夏乃穂足  麻々原絵里依 

もっと長く読みたかった!

高丘(攻め)視点の表題作「ドMとドSと、ときどきウサギ」と、久住(受け)視点の続編ショート「ドMとドSと、ところによりジェラシー」が入っています。

普段はクールでキツい上司だけど、実はうさぎのぬいぐるみが大好きで無いと眠れないという秘密があるという高丘がカワイイです!

久住はゲイですし好きになるのはスムーズに分かるのですが、高丘が久住を年下の友人でなく恋愛相手だと思うようになったのは、…

1

ブルームーン、ブルー 小説

夏乃穂足  北沢きょう 

どこかで読んだことがあるような

タイムトリップで転生ものでしょうか。
使い古された王道ネタな感じですが、上手に読ませてくれます。
これがデビュー作ということですので、他の作品も楽しみ。

過去に遡って曾祖父の清巳(血縁ではない)と恋に落ち、媒体となる鏡を壊したことによって二度と清巳にあえなくなってしまった攻の要が、現代で清巳と瓜二つの望と出会い再び恋に落ちる。
こういうの大好きなのできゅんとします。
特に同じ時間を生…

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春の訪れ 終わることのない悲しみを番外編ペーパー グッズ

両面ともショートストーリー

最近のよく見かける「ペーパーの4分の1が表紙イラスト」で、残りがショートストーリーというスタイルではなく、両面ともに書かれています。

本編と同様に立花の視点で進みます。

立花が秋ヶ瀬の別荘に引っ越してきて一週間。
寝室にかけた絵を眺めながら感慨に耽ったり、立花が絵をもって別荘に訪れた日の寝室での出来事を回想したり。
そんな中、秋ヶ瀬の仕事相手であり肉体関係のあった「ギャラリー柊」の…

1

終わることのない悲しみを 小説

夏乃穂足  三枝シマ 

シリアスで重い

表題作とショート2作品とも、立花(受け)の視点で進みます。

あとがきによりますと、ブログの連載作品を文庫用に直された作品だそうです。連載時の作品は未読ですので比較はできませんが、シリアステイストな内容です。

立花は、友人からいじめられ、襲われて、逃げた直後に自殺されます。
秋ヶ瀬は実母に捨てられ、義母と関係をもたされ、父には疎まれます。
立花と秋ヶ瀬は親しくなりますが、立花は打算で…

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