夏乃穂足さんのレビュー一覧

蜜月ライブラリー 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

虚構と現実の狭間で

今回は高校の図書塔に棲む精霊と活字中毒の高校生のお話です。

胸に虚を抱えた受様が攻様の助力を得て周囲との関係を再構築するまで。

受様は活字中毒者の高校1年生です。受様は去年の夏に参加した学校説明
会で案内された古い図書塔に魅了された高校に合格します。しかしその図
書塔は大掛かりな工事のてめに受様が入学した時には閉鎖されていました。

しかも再開予定は受様の卒業後で受様は青ざめ…

1

真夜中の寮に君臨せし者 小説

夏乃穂足  円陣闇丸 

斬新なスパイスで味付けされた全寮制もの

作家様独自の設定が面白かったです。
いわゆる富裕層出身の者が集まる全寮制の男子校ものではあるのだけれど、耽美だったり陰鬱な雰囲気はあまり感じられません。
どちらかというと爽やかさと華やかさを感じるのは、演劇面の描写が多いことと、メインキャラクター周辺の学園内で育まれる友人関係が密に描かれているからなのかな。
そして何より、主人公の性格がとても良い!
全寮制学園+演劇という斬新さに、オカルト…

10

蜜月ライブラリー 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

登場人物みんな魅力的

わくわくするファンタジーでありながら、ハラハラするミステリーというか、もちろんBLなんですけど、たくさん出てくる本とそのストーリーに絡めた、登場人物達の隠れた傷や、わだかまりをほどいていく過程がとても見事でした。
途中急に友達をまとめて紹介される部分があって、ありゃ名前が覚えられないなぁと思っていたんですがそれぞれに対してもストーリーが展開して、慌ててページを遡ったりもしました。
しかしそのど…

6

蜜月ライブラリー 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

ほんの少し、物足りなさが

前作『飼い犬に手を咬まれるな』から1年3か月。
『飼い犬~』での衝撃(特にあとがき)があったものですから、次作にあたるこの本がつつがなく刊行される様にと祈っておりました。
今月、もう1冊予定されておられるようですし、まずは「良かった」と思っています。
引き続き、夏乃さんのお話が読み続けられますように。

さて、お話の感想です。
やはり夏乃さんの『痛いエピソード」は半端なく、徹底的に痛い…

2

蜜月ライブラリー 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

レーベルは大事

大好きな作家様なので、何も情報を入れないまま読み始めたのですが、六芦かえで先生のかわいらしいカバーと甘めタイトルからは想像できないストーリー展開でした。

冒頭からすごく素敵で、本好きの清良がなぜ活字中毒になったのかや、彼の家庭環境、三年前に亡くしてしまった弟との関係が少しずつ明かされていきます。

(ロー)ファンタジーがお得意の作家様なので、主人公の清良が高校の図書塔に入り込んでしまうと…

4

蜜月ライブラリー 小説

夏乃穂足  六芦かえで 

決して甘くはない

〝蜜月〟という言葉に弱くて、甘美な恋愛を想像してワクワクしてしまうのですが、全くといっていいほど甘い話ではありませんでした。
少なくとも私には重かったし、読後はモヤモヤが残りました。

活字中毒の高校生・清良は、ある日自分の胸に穴が開いていることに気が付きます。
導かれるように向かったのは、今は使われていない図書塔。
そこで図書の精霊・詞葉に出会い、開いた穴を塞ぐための契約を結びーーとい…

12

飼い犬に手を咬まれるな 小説

夏乃穂足  笠井あゆみ 

異常な執着で一途に追いかける攻め と 期待される優等生を演じる高慢な受

明るく健気で努力家な受けや、コミカルで楽しく読める軽めのストーリー、動物が出てくるハートフルなストーリーが多いというイメージがある作家様だったので、このようなハードな展開の作品を書かれるとは思っていませんでした。
タイトルとカバー絵に二度びっくりし、読んで3度びっくりの嬉しい誤算でした。

物語は幼い頃から親や周囲の期待以上に出来の良さを披露してやがて一族の当主として立派にグループ企業を経営…

2

グッバイ、マイドッグ 小説

夏乃穂足  上田規代 

猫至上主義だけど、犬の可愛さもいいなと思った1冊

もう最初から最後まで涙と鼻水でずびずびでした。
保健所で殺処分になる寸前の所で受の璃人に救われた野良犬のイチ。
人間に対して恐怖心しかなかったけれど、閉ざした心をそっと解して開いてくれた璃人にイチは懐きとても充実した日々を送ります。
けれどそんな日々を過ごす中で、璃人は何者かによるストーカーに狙われ殺されかけてしまうのですが、咄嗟にイチが庇ったことにより九死に一生を得ます。
その代わりにイ…

3

飼い犬に手を咬まれるな 小説

夏乃穂足  笠井あゆみ 

愛と執着 獰猛犬です!

今年読んだ本の中でも 一二を争う傑作です。
一気読み まだ余韻でクラクラしてます。

お久しぶりの夏乃先生ですが 熱量が凄い。
長年に渡る因縁 執着 依存で
普通の関係 恋愛には辿り着けず
互いの感情が愛なのか憎しみなのか
壊れるまで追い込みあう壮絶な2人。


後継者として 父からは厳しく育てられ
母は甘え上手な弟にかかりきり
学校でもヒエラルキーに縛られ気を抜けず 抑圧…

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飼い犬に手を咬まれるな 小説

夏乃穂足  笠井あゆみ 

萌えなかったけれど感動した

お話もドラマチックだったのですが、この本で私が一番衝撃を受けたのは『あとがき』なんです。
夏乃さん、書けない状態だったのですね……確かに前作は4年前。
私は夏乃さんの熱狂的ファンという訳ではありませんが、好きな作家さんです。
なので、その間の心情を吐露したこの文章が非常に胸に迫りました。
それを読んだ後にもう一度本編を振り返ると、このお話がまた違ったものに見えて来るんですよ。
猛がほんの…

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