一穂ミチさんのレビュー一覧

ラブ~キス2~ 小説

一穂ミチ  yoco 

その苦さをこそ

 好きな作家さんのお気に入りの作品に続編が出る、っていうと、大概無条件に喜びいさんで発売日を指折り数えて待つものですが、今回だけはちょっと複雑でした。前作「キス」がそれだけ特別な作品だったから。つらい過去を持つ可哀そうな受けがスパダリな攻めにあふれるほどの愛を注がれていつまでも幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし…という、BL作品の王道、いわばお約束を根底から覆して見せてくれた。それは書き手と…

11

ラブ~キス2~ 小説

一穂ミチ  yoco 

どこかにいそうな二人だからこそ

明渡や苑のような人はリアル世界でもどこかにいそうだな、と思いました。
マイペースで屈託がなくフットワークの軽い明渡は今どきの若者だし、虐待される子どものニュースを耳にすると、苑のように家族や周囲の人たちと愛情をやり取りする経験を積まずに大人になる人もいるのかもしれない、と感じます。
苑の「自分は誰かに好かれたり誰かを好きになる価値などない」という頑なな思考が、物語に暗い影を落としていて、楽しい…

11

ラブ~キス2~ 小説

一穂ミチ  yoco 

これで、ようやく

「キス」の続編です。
というよりも、「キス」とこの「ラブ~キス2」が揃っての一つのお話です。
前作「キス」では、何とも曖昧なまま放り出されたように終わった二人のお話でしたが、この「ラブ」でも二人の物語は、やっぱり曖昧なまま、切れそうで切れない関係が続ている所から始まります。
お互いに好き合っているのは、第三者から見ればバレバレだし、明渡自身も「もう、好きで良くね」なのですが、苑が自分で自分の…

9

ステノグラフィカ 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

恋をして、仕事をして、生きていく。

面白かった〜‼︎

大きな声で一言、初めに書きたかったのです笑
『is in you』シリーズ3作目、今作のカップルはかなりの年の差ということで、読む前は若干尻込みをしておりました。
44歳は、一般的におじさんと言うのでしょうか?私見ですが、30代後半からは印象によりけり、その人となりによると思っています。結論からして、西口さんは私にとっておじさんではありませんでした。壮年期真っ只中の、魅…

6

ラブ~キス2~ 小説

一穂ミチ  yoco 

二人の出した答えに涙がとまりませんでした

「キス」続編になります。
読み終えた時、涙が止まりませんでした。

彼等の愛の形は、分かりやすく、また理解しやすいものでは無いんですよね。
でも、それこそが、彼等の愛なんだと思う。
たとえ、あの事故が起こらなかったとしても、結局はここにたどり着いたんだろうなぁと。

私は前作を読んだ時、ものすごくショックを受けたんですよね。
「愛」とは一体何なのかー。
心なのか、それとも脳の錯覚…

39

ひつじの鍵 小説

一穂ミチ  山田2丁目 

胸のキュンが止まりません。

究極の癒し系BLでした。

正直、一穂先生の作品群の中ではやおい度が高めというか、ストーリーよりもキャラ萌え重視な雰囲気でしたが、胸がキュンとして止まりませんでした。
たまにはこういった、考えるより萌える作品というのも良いな〜と。

特に一色さんのキャラ設定には、お見事としか言いようがありません。相変わらずお仕事のチョイスが素敵。カード会社のコンシェルジュサービスなんて、由緒ある庶民()…

5

アイズオンリー 小説

一穂ミチ  小椋ムク 

眼が見えるようになったら終わり、その気持ちが痛々しい。

一穂ミチさん5作品目
「ふったら~」「ハートの~」「さみしさの~」「ぼくのスター」
今まで読んで全部ハズレなし。鉄板作家さん認定しちゃう!
凄いですね。どの作品も全部キャラクターが生きてる。
BLの決まったオチに向かって似たようなキャラクターが似たような出来事を経ていく。
別にそれはそれでOKですが、一穂先生のキャラクター…というか人物設定なのかな?どれも具体的でリアルで個性がある。

1

ステノグラフィカ 小説

一穂ミチ  青石ももこ 

「萌✕2」+「趣味じゃない」=「中立」

一人で評価下げてすみません……
序盤と終盤は「萌✕2」だったのですが、中盤に引っ掛かりを感じる描写が数多くありまして……そのせいで評価低めです。

何に引っ掛かったかというと、攻めの西口の言動(と、それにまつわる受けの反応)。
本作の攻めは、「大人と子どもが互い違いに噛み合ったような男」で、「年甲斐がな」くて、「切羽詰まるとつい物言いが無神経になる」人なので、国会議事堂の食堂でAVの話をし…

4

ふったらどしゃぶり When it rains, it pours 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

雨の季節に

一穂先生の作品を読むのは、この本も合わせて5冊目になります。文章もキャラクター造形もどれを取っても、私の中ではハズレのない作家さんだなと思っています。『ふったらどしゃぶり』もとても良かったです。
読む前はあらすじなどから「これは不倫ものってことかな…?」と少し尻込みしていたのですが、決して変にドロドロした内容にはならず、逆に展開が気になって寝る間を惜しんで一気に読むほどでした。
雨の描写も、音…

1

ひつじの鍵 小説

一穂ミチ  山田2丁目 

人当たりのいいコンシェルジュも口の悪い素もステキ!!

変な題名だなと思ったので読んでみたくなりました。
読むとなるほどねという意味がわかりました。

資産家のお坊ちゃんお嬢さんの集まるセレブ高校に通う成金ながらそこそこの資産家の息子が、子供のくせに親の金を使ってお気楽に遊んでる、と見せかけて結構な苦労人な羊くんです。
お金があることを謳歌し楽しんでいるほうがお父さんが喜ぶ、なんて理由で深夜の帰宅にタクシー呼んじゃうのです。

根が庶民の羊…

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