一穂ミチさんのレビュー一覧

街の灯ひとつ 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

“受ざまぁ”な展開でした

受の性格を好きになれるかどうかが、この作品の好みを左右すると思いました。
私はちょっと微妙…(笑)
プライドが高いけどコンプレックスも強い、なんとも脆そうな主人公(受)。
しかも攻に対して思わせぶりな態度をとったり逆ギレしてみたり。
そういうのを含めて共感できたり、かわいいな~と思えたりすると勝ちなんでしょう(笑)

同窓会で見覚えのない美形の同級生と再会した初鹿野(はじかの)。
し…

11

さみしさのレシピ 小説

一穂ミチ  北上れん 

雨の匂いのするお話

この作品の匂いが好きです。

お話の中で「匂い」が重要なモチーフとして、あちこちで出てきますが、
知明の作る料理たちの匂いはもちろん、
慈雨の部屋の古い辞書の匂い
鬱蒼とした洋館の古い家の匂い
熟して落ちるすももの匂い
そして、雨の匂い
雨漏りのする家の中で
パリの街角で
そして、海の上で

一穂さんの作品って、「赤ん坊が日の光でキラキラ踊る埃をつかもうとして手を伸ばしてい…

3

さみしさのレシピ 小説

一穂ミチ  北上れん 

期待が・・・

評価が厳しいですが、一穂さんだからと期待していたので低めになってしまったところもあるかと思います。
今までの作品もそれなりに泣かせていただいたし、今回は題名からして泣かせてくれそうだったので、期待が高すぎたのかもしれません。
そうです、今回は泣くまでには至りませんでした・・・

家族の中で孤独を感じていた上、結婚も考えていた彼女に手ひどく振られて、仕方なく実家に帰ってきていた知明と、唯一彼…

3

オールトの雲 小説

一穂ミチ  木下けい子 

前評判がよすぎ

前評判がよくて、友人が絶賛していたこともあって、先入観をもって読んだせいなのか、あんまり楽しめませんでした。残念。

うまいとかへたとか、そういうんじゃなくて、ちょっとノリが合わない。
冒頭、くどい表現が続いて、ちょっとうんざりしました。
感性が合う人には、たまらないのかもしれません。
同じような、表現のくどさは、あちこちに出てくるので、わたしには、まどろっこしいだけでした。

また…

4

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

綺麗でした。

今から1年前に本屋さんで出会いました。
題名が『雪よ林檎の香のごとく』
もともと北原白秋が好きで知っていたんですが
題からしても綺麗だなあとつい手にとってしまいました。
が、
すっごく良かったです!!
ふんわりと、やさしく心の中に入ってきてくれるんですよね・・・

けっこう本にはうるさい友人も
「・・・・・・すごい・・・・綺麗・・・・・・・」
と返しに来たときにいってくれました…

8

さみしさのレシピ 小説

一穂ミチ  北上れん 

やっぱり好きだ一穂さん…。

いつものことだけど、一穂さんの作品を読んだ後は、どこが良かったとかどんなところが好きだったとかいう感想じゃなく、「好きな作品」としか言いようがないのです。
言い出したらキリがないというのもあります。ひとつひとつだと取るに足らない小さなエピソードの積み重ねで作品が出来上がっている気がします。

二階の雨漏り、日本にはない「ヴ」の発音、緑色のあじさいと左巻きのカタツムリ、のうぜんかずら、「腹へっ…

5

オールトの雲 小説

一穂ミチ  木下けい子 

自然と涙が溢れます

一穂先生の作品は3作目です。
前作までは特に感じなかったのですが、今作については是非感想を伝えたいと思いました。


内容については既出ですので省略します。


とにかくお互いを大事に思う気持ちがとても伝わってきました。愛しむ気持ちがそこここに溢れていて、何度涙が出てきたことか。とてもよかったです。
途中の葛藤も、嫉妬もいいスパイスになって涙を誘います。二人が幸せになる事を願わずに…

3

さみしさのレシピ 小説

一穂ミチ  北上れん 

淋しい人達

今回はいつものキラキラが影をひそめ、それぞれの心に傷を抱えた淋しい者同士の出会いと邂逅が、とても自然に表わされていました。
キラキラがなくてもやはり一穂さん、言葉の選び方や引用が独特でその世界は確立されているんだな、と心地よさを味わいました。

突然叔母の夫だったという雨宮という男から叔母が亡くなったという電話を受け取る千明。
とても厳しい母親に内緒で、家から絶縁されていた叔母と心を通い合…

5

おとぎ話のゆくえ 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

辛口かも。一穂さんゆえに辛口なのかも

辛口です。
すいません。

萌えたのはエレベーターのシーン。
あそこ良かったー。
流れが完璧。
神シーンでした。

で…ここから辛口です。
まず、野衣家の人間をみんな「物分かりのいい人」にしちたことに違和感。性善説で作品を構築するのがダメという意味じゃなく。
茶鬼さんの感想とちょっとかぶるのですが、脇役がみんな「いい人」なら違和感を覚えなかったと思う。「いい人」と「物分かりのいい人」、この二つは似…

7

おとぎ話のゆくえ 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

ずっとこのままでいられますように。

現代でも、まだ、お城の若様として、地方の城下町で暮らしている湊。
定職も持たず、人の空気を読むことだけで渡り歩いていた隼人。

それにしても、なんでこんな二人が出会っちゃったのかね?

という、根本的な疑問は持ってはイケナイ。
それこそがおとぎ話だから。

吾川という地方の城下町での暮らしは、紛れもないおとぎ話のよう。
なにも持たない、なにも持つ気がない隼人が、そんなおとぎの国に…

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