木原音瀬さんのレビュー一覧

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

日高さんの絵が凄くあっている

考えなしの若者が、おじさまで痛い目見ちゃうシリーズ…?
「NOW HERE」のおじさまも、何考えてるかよくわからない人だったけど、
こちらのおじさまはもっと上を行く、

15歳で秘密を抱えた日から、「擬態」してずっと生きて来た柴岡
そんな柴岡に翻弄される河瀬

人間の、弱さや、狡さを、これでもかと詰め込んだ2段組
でも、思いの外痛くはなかったし、「擬態」は身近な言葉だし、結構ぐいぐ…

5

箱の中 小説

木原音瀬  草間さかえ 

喜多川圭という人間

最も思入れが強いBL作品。
冤罪で実刑を受けた堂野が、刑務所という特殊な状況下で出会った喜多川との、束の間の恋愛です。
冤罪なのに服役しなければならない堂野の心情につまされますが、それ以上に喜多川という男に引き込まれました。
その純粋ゆえの恐ろしさに。

恵まれない生い立ちの喜多川。
それでも思うのは、堂野に出会うまで喜多川は不幸ではなかったということです。もちろん堂野が同情したように…

3

檻の外 小説

木原音瀬  草間さかえ 

一生大事にしたい本

この人は心底凄い作家さんだと認識させられたこの連作。
当時はそのネームバリューも知らないまま読み始め、現実を完全に忘れ貪るように読み耽り、そして読後は放心してしまいしばらくわたしは使い物になりませんでした。
尚視点の最終話「なつやすみ」を読み終わった瞬間、よく分からない感情の渦が込み上げ枕に突っ伏したのを覚えています。
穏やかな話にも関わらず、涙が勝手に次から次へと…。

喜多川というど…

20

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

擬態おじさんに最後まで翻弄されまくりました。

木原氏の新刊が出ると知り待ち遠しく思っておりましたが、表紙の絵に”え?老人、手首包帯って自殺未遂?”とかあれこれ想像がふくらんでおりました。
そして読んだ感想は・・・やられました!!
壊れた男・・・柴岡・・・何だよー、愛おしいじゃないか、本当は捨てておきたいのに!!気分は河瀬になってしまっていました。

部署移動をエサに体の関係を強要した柴岡。
頭がキレて、能力もあり、人当たりもよく人気…

6

恋について 小説

木原音瀬  大竹とも 

ほのぼのなのにどこか胸が痛い

表紙裏のあらすじ曰くほのぼのラブ☆。
ストーリー的にもそれは間違っていない。いないのだけれど、読んでいてこんなに心をえぐられるのはなぜだろう。
笹川はとにかく弱い。優しいけど弱くて繊細。告白される前に泣いちゃう攻ってなかなかいないよね。
一方の朝霞も笹川ほどではないけれど決して強くない上に結構ぐるぐるするタイプなので、中盤以降あきらかに両思いなのにいつまでたっても二人でぐるぐるぐるぐるしてい…

2

あいの、うた 小説

木原音瀬  宮本佳野 

二組のカップルのあれこれ

先日、宮本さんのマンガで出たのは田頭眞一と力の「The end of youth」ですが、巻頭の表題はその後の田頭が立ち上げた音楽雑誌のライター小菅とミュージシャン久保山のお話です。
二組の愛の形、それぞれに違うようでいて何気に近しいものを感じてしまう、そんなお話でした。

小菅は編集長の眞一はじめ編集部一押しのバンドのインタビューにピンチヒッターで出かけるのですが、好きでない音楽だったので…

3

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

ラスト数ページが神

発売前に発表になった日高さんの表紙で「おじいさん??」とびっくりし
発売後、先に読んだ方の感想で「愛がない」とか「救いがない」というのが多くて
ちょっと構えてしまいつつ、期待と不安を抱えて読み始めました。

上司の柴岡部長と親しくなり
たまに夕食を共にするようになった河瀬。
普段から大らかで、部内の采配に長けた好人物の柴岡から
ある日突然、希望の部署への転属を約束する代わりにセックス…

7

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

柴岡という男

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
非の打ち所のない上司が突然、部下にセックスを強要する。
体から始まる恋愛。そんな色っぽい展開を予想しそうだけど全く違い、心の深淵が描かれた重い1冊です。

この話は、柴岡という男に尽きると思う。
部下に乗っかり、翌日には平然とした態度。厚顔無恥とはちょっと違う。頭の回転が早く冷静で人当たりも良い、でもどこかおかしい。
やがて河瀬は柴岡の「擬態」を知…

7

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

病んだ男

一気に読みました。引き込まれて読んだし、評価は「萌え」になっていますしが、引き込んだものは萌えとは別のものでした。

攻めの河瀬は人間が小さい奴でした。
商品企画部への異動を餌に上司柴岡に体を要求され、シャワーを浴びながらの「ホモの変態。クソ野郎ッ」の悪態も小声で、聞こえないように気を使いながらという。(^^;)
まあ、本当に嫌なことを我慢して、自己嫌悪にまみれながらそれ以降も過ごしたとい…

2

夜をわたる月の船 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

またもや「ここで終わり!?」なラスト

ホント人の内面をえぐるような、底意地の悪い人物を書いてくれます。
三人称でも常に河瀬の視点で話が進むので、柴岡に振り回されて嫌な気分にさせられます。
柴岡の方を主人公にしてくれたら、すごく哀しく切ないお話になったと思うのですが。
基本的には矛盾を抱えた複雑な人物って好きですね。


何もかもあきらめているような柴岡ですが、本当はずっとずっと救いを求めていました。
河瀬なら救ってくれる…

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