木原音瀬さんのレビュー一覧

美しいこと 上 小説

木原音瀬  日高ショーコ 

ジリジリと痛む胸の内

江藤葉子の気持ちとしても、男・松岡の気持ちとしても、かなり早い段階から切なさが込み上げて涙を零してしまいました。

自分を「葉子」として見て入れ込む寛末に罪悪感が生まれても、自分を欲して止まない男の姿に優越感をひたすら感じる松岡は、性別を超えて共感するものがありました。
あれだけ自分だけを求めているんだろう、と分かれば、自身の熱だって上がるんじゃないかと思うから。

それが徐々に、自ら葉…

2

キャッスルマンゴー 2 コミック

木原音瀬  小椋ムク 

至って普通の話だと思ったのに…

 夏祭りの夜、万が女子達と一緒にいるのを目撃し、その場を後にする十亀。さらに、万の母が倒れ、家事を一手に引き受けることになった万。どうしても親戚に頼りたくない万は、アルバイト、そしてAV出演まで…。

 自分に降りかかったことを全て一人で抱えてしまう万と、万に近づくことをしない十亀。二人がずっとすれ違ったままで、もどかしさを抱えながらずっと読んでいました。正直、二人とも好きなら二人とも素直にな…

5

眠る兎 小説

木原音瀬  車折まゆ 

ミイラ取りがミイラ

 里見浩一は、友人が持ってきたゲイ向けの雑誌を、他の友人と共にふざけて眺めていた。
 そのうちに誰かが文通コーナーに書いてある相手に「手紙を出そう」と言いだし、相手が好みそうな内容をみんなで並べ立てる。
 その手紙を「里見の名前で出していいか?」と聞かれ、「いいよ」と答えてしまう。

 数日後、里見の下に届いたのは、「一度会いたい」と書いた手紙の返事であった。

「人の真剣な気持ちを笑…

2

リバーズエンド 小説

木原音瀬  小椋ムク 

恐すぎて

読むのが恐くて、読まないつもりでいましたが、
皆さんのレビューに励まされ、購入に至りました。

やっぱり、読むと面白い!
木原さん独特の世界観でたまに、私には苦手な世界があるのですが
このキャッスル・マンゴーは、好きです。

今回は、十亀さん中心の描写です。
確かに2人のラブラブな描写は少ないので、読む手としては
悲しいという気持ちはあります。
ただ、喧嘩していた2人が、再会す…

3

リバーズエンド 小説

木原音瀬  小椋ムク 

期待値

「木原音瀬はハードルが高い。私のようなズブの素人が読むには、心の準備が必要だ」。
自分の中で、ずっとそういう印象を抱いて敬遠して居ました。
色々な所で木原さんのお名前・レビュー等々を拝見する度に、何故だかそんな思いが膨れ上がり、読みたくても読めない、手を出せない、なんて勝手に思って居たのです。
(持っていても読めて居ない小説が実際有ります)

「キャッスルマンゴー」を読み、その後初めてこ…

3

箱の中(文庫版) 小説

木原音瀬 

ぜひ読んでほしい一冊!

ランキング上位に入っていて、ずっと気になっていたので購入しました。
『箱の中』を読むのも木原音瀬先生の作品を読むのも初めてで、この作品に出会えてよかったと思うと同時になんでもっと早く読まなかったんだ!とも思いました。

BL小説ではあるけれどそれだけじゃないというか…
男性同士の恋愛を読んで楽しむだけでなく、色々と考えさせられる作品でもありました。
BLが好きな人はもちろん、あまり興味な…

1

キャッスルマンゴー 2 コミック

木原音瀬  小椋ムク 

十亀の三白眼がいい!まさにドラ猫です(笑)

1巻から2巻まで随分長かったので、これはひょっとして出ないのかもなんて危惧しましたが、この分厚さ…ほんとうに読ませてくださりありがとうございますと、ここでお礼を。
互いに不器用で気持ちを伝え合うことができない二人をもどかしい思いで読みましたが、この万もまた、十亀ほどではないにしても、不運です。
父を亡くし、形見のラブホテルの経営状態は逼迫していて、母が倒れ入院。
小学生の弟のためににも、学業…

5

リバーズエンド 小説

木原音瀬  小椋ムク 

この作品にはムクさんのイラストで正解

cabの創刊号付録で途中まで読んでいたけど、もしかしてこの話はこれっきりなんだろうかと思っていました。
『キャッスルマンゴー』の付属的なお話として華を添えたのかなあと。
なのでノベルズになり、しかも『キャッスルマンゴー』のその後の話をたっぷり読むことができて、嬉しい驚きでした。
不運な生い立ちの十亀の悲惨な高校時代。
家族で路上生活をしていたこともあるから、屋根と畳がある家に住めるだけあり…

5

リバーズエンド 小説

木原音瀬  小椋ムク 

明るい未来に向かって

なんか、物凄くインパクトがありました。
他人の食べ残しのハンバーガーをゴミ箱から拾って食べるだけでも強烈なのに、
「思いがけず昼食にありつけた良い日」だと言う十亀。
中学生からお金が無くて昼を食べないのがあたりまえで、空腹には慣れている。
皆が毎日下着を替えているということも知らなかった。
読んでいて、どんどん眉間のしわが深くなっていきました・・・

十亀の両親は、その状況はある意味…

3

箱の中(文庫版) 小説

木原音瀬 

人間の醜さ、狡さ、弱さから目を背けず見つめる瞳とそこをえげつなく書きながら愛してくれる木原音瀬という救い。

 正直に告白します。
 私はディズニーランドが苦手です。もちろん素敵な夢の国だと認識しております。
 けれど、幸せそうな親子連れや素敵なカップルや元気いっぱいなキャラクターたちに囲まれたあの世界にいると「お前みたいな醜い、人間として汚れた人間の来るところじゃねえ!」と言われている気がして、居たたまれない気持ちになります。
 わかってます。ただの僻み根性です。

 勧善懲悪な物語が正直苦手…

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