藤たまきさんのレビュー一覧

天水桃綺譚 小説

凪良ゆう  藤たまき 

神話ベースの「天の桃の精」の話

あとがきによると、デビュー前の作品の改稿が「亨とモモ」の話。
書下ろしが「白虎様とコモモ」の話。
出だしは、こんなスタイルから始まったんだなーと、弱者や不器用な人に向ける視点=芯は変わらないけれど、くるんでいた小説の肉付けの違いに少し驚きました。

桃園の主、亨は言い訳や鳥繕いが苦手な正直すぎる不器用。実はとても繊細で傷つきやすい人。昔の恋人の元へ逃げた妻へ自分の不器用な態度を詫びたくて罪…

2

縁側のレシピ コミック

藤たまき 

受けの攻めへの向き合い方が好き

 表紙の色合いから、もっと穏やかな雰囲気をイメージしていましたが、いろいろと予想外の要素が多い作品でした。肥満体型だった英太郎のダイエットに親身になるうちに、恩は彼に恋をし、英太郎も恩に惹かれていく。そして、痩せた英太郎と恩がすんなりゴールイン。かと思いきや、物語はそんな簡単な結末ではなくて。

 太っていた英太郎が痩せてかっこよくなる、というのはこの作品の中ではほんの些細な導入に過ぎません。…

1

蛇崩、交差点で コミック

藤たまき 

誰のせいでもないはず

 爽やかな表紙の雰囲気、軽いタッチに反して、なかなかハードな人生を歩んできたキャラが描かれていて、読み応えがありました。本来男同士での性行為と切っては切り離せないHIVですが、意外と扱っている商業BLってまだまだ少ないですよね。人にもよるとは思いますが、ガンなどと異なり年月をかけてゆっくり悪化していき、徐々に弱っていく病気。その人の死に向き合う準備期間が長くて良いと捉えるか、いつ死ぬか分からない恐…

0

蛇崩、交差点で コミック

藤たまき 

1つ

懐かしの藤たまき先生
この作品は初めて読みましたが、記憶の中の藤たまき先生そのままでした。腕なんか折れそうで薄幸の…ただ口は悪い美少年と、優しいけれど若さゆえの足りなさがある少年のロマンス。

龍は攻められるほど酷いことをしたわけでもなく。家が持ち崩した割には育ちが良かったからか擦れることもなく。円を包み込むだけの心の大きさはしっかり育まれていて、穏やかな気持ちで最後まで読み切れます。

0

流星と真夏のクリスマス コミック

藤たまき 

美しい涙

◾︎流星と真夏のクリスマス
なかなかにグロいシーンもあるけれど、どうも藤たまき先生の繊細な絵とキラキラした雰囲気に流されて大団円のような気分になる。若さで溢れている。いいのかな、これで…と青春から遠く離れた自分は思ってしまう。山口も大人だよな〜。あれで焦ってるけど冷静な山口、付き合うなら彼。

◾︎11月のペイルベーゼ
藤たまき先生のモノローグで物語が進行していく作品、詩的で大変好き。短か…

0

Don't look back 小説

ジョシュ・ラニヨン  藤たまき 

読みやすい

凝ったミステリーを求めると拍子抜けかもしれませんが、シンプルで私はとても読みやすかったです。
今回は記憶喪失という要素がありまして、その失われた部分が徐々に分かってくるところも楽しめました。

「フェア・ゲーム」と同じ作者さんだったんですね。
読み終わってから気付きました。
劣勢な受けがお好きなのかな…?

彼の作品は相手のこれこれこういうところが好き~、魅力はここ~と連ねるのではな…

1

寄せては返す波のように 小説

六青みつみ  藤たまき 

波打ち際の砂浜のように洗われて消える記憶

大洪水の後の世界。地上と海底の二つの居住区に分かれている。・・という背景。
「蒼い海に秘めた恋」の続篇。

★「蒼い海に秘めた恋」のあらすじ。
”特効薬開発の生体実験を受けていていたショアは、養父である開発室長のエルリンクに裏切られ研究所を逃げ出す。そして幼い頃から憧れていたグレイに会いたい一心で彼の元にやってきた。
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・・・と言った前巻。
養父のエルリンクは、裏切った訳じゃ…

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天国までもうすぐ 小説

五百香ノエル  藤たまき 

虐待から恋人を救う美少年の話

(感想を書いたら、消えてしまった 面倒だな、と思いながら書く、つまらない内容の感想です。)

物語は、曉君について従弟の五月君の視点で主に描かれています。ドロドロな情交シーン描写が得意な作家らしいのですが、この作品はシーン少な目です。
未成年が主人公で子供目線だと、歯がゆい場面が多すぎるので、私には合わない。
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アル中の母親から毎日暴力を受けていたリスを助けたくて、色々考えたけど、…

1

縁側のレシピ コミック

藤たまき 

姉が強烈

姉の性格の悪さ、口の悪さが酷すぎて、話が入ってきませんでした。自分の性格が悪いのは周りのせいって開き直ってるのも感じ悪すぎ。1ミリも同情共感できず…ただでさえ、BLに女子がでしゃばるお話は好みではないので、最後まで読むのがしんどかった。

ほわほわ穏やかなやり取りから、英太郎がどんどん執着心を見せて暴走していく様は、ゆったりと苦しさを両方味わえて面白かったです。姉にページさくより2人のことをも…

1

この喝采を彼に 小説

T・A・ウェブ  藤たまき 

こんなに素晴らしいM/Mロマンス小説があったなんて

‪親友に恋する地味な高校生と美しい幼馴染 ゲイ同士のお話。

‪読みながら何度も声を抑えきれないほど嗚咽した。すさまじい衝撃の作品だった。

‪エイズが憎い。たった一度の過ちが、輝かしい青年の未来と最初で最後の恋を根こそぎ奪っていった。

これほど、感動のあまり言葉が出てこない作品にはもう巡り合えないかもしれない。素晴らしい名作。‬

短編とは思えない、重厚なストーリー、繊細な情景…

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