シャリオス
歪みながらも、それなりに幸せだったのだと思う。
誰にも言えず、秘密裏に。激しく情交を交わし合う竹蔵と忍。
決して互いの生活にそれを持ち込まない様に。壊れ物を扱う様に。ひっそりと熱く。
ところが、幸せな時は短くて。突然終わりを迎える。
下巻は呆気ない程、短く感じられて。少々拍子抜けしてしまった。
彼等の幸せは小さな綻びから壊れて行く。義姉の全くの善意から、(彼女はこの時、実に呑気だ。)独身…
なかなかに病んでいる。
後妻の連れ子である竹蔵は、当主の息子、忍に盲愛している。
ひと目会った時から、それを看破していながら、受け入れる忍。
彼等の歪んだ愛執は、決して表沙汰にはならなかったのに。
その歪みは忍の息子である要に継承されている。
要は幼ないのに。叔父である竹蔵の執着を見抜き、一晩のアバンチュールを提案する。
父に怪我をさせて。目隠しをさせて。叔父に手袋を付けさせ、母の…