竹美家ららさんのレビュー一覧

おとぎ話のゆくえ 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

睦言よりも雄弁な言葉

寄せては返す波のように、さざめく感情が静かに
満ちてゆく過程と、飾らない言葉が魅力だと思う作家です。
一穂先生の作品にはそれぞれに色を感じる事が多く、
それは情景や風景の描写が感情の流れの奥に
佇んでいるからかもしれません。
今作は長閑でも緩く閉ざされた曇天の街、
薄墨色のイメージでした。

世が世なら殿様一家であるやんごとない育ちの湊と、
人にも物にも一切の執着を持たない根無し…

2

上海 小説

かわい有美子  竹美家らら 

上質のロマンス

萌萌萌。(MAX:萌萌萌:神に近い)
情景描写の巧さはやはり群を抜くかわいさん。
これぞロマンス。

租界が成立してからおよそ100年の間、美しく、妖しくその栄華を誇った上海。
あらゆるものが混沌とし、「魔都」の呼び名に相応しい蟲惑的なその都も、第二次世界大戦を前にして消滅します。
この話の舞台は、その消えゆく最後の数十年の上海。
イングランド貴族の嫡子であるレイモンドと、使用人の捨…

1

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

ときめき盛りだくさんな心にしっくりくる神作品

タイトルに惚れてほとんど衝動買いでしたが、大当たりだったと思います。
こんなにしっくりくる作品は初めてでした。
てかときめきすぎて心臓もたなかった・・・。

辛い過去を持つ桂先生とその生徒で純情少年な志緒ちゃんのお話。
一見ポピュラーでありがちな設定で、たしかに私もそれに惹かれて買ったようなものですが、この二人だとなんか違うんです。
普通教師×生徒の作品って、話自体は萌えるものの、二人…

14

羊とオオカミの理由 小説

杉原理生  竹美家らら 

良質なホームドラマ

弟の友人×ブラコン兄。
お兄ちゃんのずれっぷりが可愛い。
高林の悪い所にイライラするのではなく、料理上手だったり面倒見がよかったりに弟と自分の居場所を取られたように感じてイライラしてしまう空回りっぷりがまたなんとも。

高林の冗談から本気になっていく過程や、苦手が好きになっていくのが自然なので安心して読めました。

後半ちょこっとだけ出てきた高林の弟の双子ちゃんたちの可愛らしさと存在感…

2

羊とオオカミの理由 小説

杉原理生  竹美家らら 

お兄ちゃん、悩みます

わりとサクッと読める作品でした。
登場人物には悩みがあるのですが、ほのぼのとした雰囲気でした。

この作品はお兄ちゃんは物凄く、ブラコンなんですが、そのブラコンっぷり温かく感じられました。朝の食卓の様子など、本当に心がほっこりしました。
そんな弟との生活に突如現れた高林。最初は高林の存在を良くは思わない章彦なんですが、大切な弟のために高林が出したある交換条件呑みます。
この交換条件を呑むところが本…

1

上海 小説

かわい有美子  竹美家らら 

美しくて、純愛で、切なくて温かい気持ちになります。

執事、使用人の階級についても結構細かく書かれてます。
いわずもがなかわいさんは本当に文章が綺麗なので、この作品もはやBL小説というより、メロドラマ。
人間模様中心で、しかも恋愛という言葉では言い表せない、まさに「人生」そのもの。二人の間には大きな壁があり、それは性別しかり、身分だったり、戦争であったり・・・
スケールが大きい上に時間の流れも人一人の半生程の長さ。
1冊でよくおさめたよなぁ・…

4

帰る場所 小説

椎崎夕  竹美家らら 

大切なものを守るために

室瀬玲一のたった二つの生き甲斐は姉の残した小さな喫茶店と、彼女の忘れ形見の姪、桃子の成長を見守ること。
この小さくてささやかな世界を守ることだけに心を砕く玲一の前に、一人の男が現われた。
ある日店の前に倒れていた男は自分に関する記憶がないという。
その状況は七年前に姿を消した桃子の父親の時に酷似していた。
そんな時喫茶店が地上げの標的になって嫌がらせが始まって……

生まれ育ちのせいで…

1

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

綺麗でした。

今から1年前に本屋さんで出会いました。
題名が『雪よ林檎の香のごとく』
もともと北原白秋が好きで知っていたんですが
題からしても綺麗だなあとつい手にとってしまいました。
が、
すっごく良かったです!!
ふんわりと、やさしく心の中に入ってきてくれるんですよね・・・

けっこう本にはうるさい友人も
「・・・・・・すごい・・・・綺麗・・・・・・・」
と返しに来たときにいってくれました…

8

しもべと犬 小説

玄上八絹  竹美家らら 

ワンコは切ない

「愛されたい」
「愛しているから、愛せない」
お互いに深く愛し合っているのに、お互いを大事に思うあまり、求めることができなくて、すれ違ってしまう。
そんな、切ない、すれ違いラブ。

この「切ない、すれ違いラブ」を盛り上げるのが

犬として人の形に作られた生命体、人の血肉も、人の感情も持っているのに、人であって人間ではない信乃。
過去にある事件に関わってしまったがために、警視庁内の裏…

4

篝火の塔、沈黙の唇 小説

玄上八絹  竹美家らら 

ちょっと苦手かな

かなり痛い話でした。痛くて痛くて、途中読むのを躊躇されるものがありました。だからお兄さん達の鬼畜名場面はすっ飛ばして読みました。

2
PAGE TOP