水原とほるさんのレビュー一覧

徒花(アダバナ) 小説

水原とほる  水名瀬雅良 

受けの芯の強さ

普通に仕事をし、普通に暮らしていた受けの和彦。
たまたま通りがかったケンカの中にかつて同級生だった、そして好きだった赤澤を見つける。

高校時代に告白をし、振られていたが、まだ好きな気持ちは残っていて…
そこからは、ヤクザとサラリーマンで住む世界が違うもののお互いが少しづつ心を許して、体を重ねるまでに至る関係になります。といっても、和彦の方は、心を許すと言うより、赤澤への想いがしっかりとあ…

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囚われの人 小説

水原とほる  高崎ぼすこ 

歪で痛い縛りあい

どこのレビューサイトにも必ずある感想が「歪んでいる」という感想。
・・歪み加減に興味をそそられて2015/01発刊の古い作品だけど、電子版を読了。

電子版は表紙だけで、中の挿絵は無し。
後書の著者曰く「歪な愛によって縛り・縛られあう兄弟」の物語。

●竹下/有元克美:37歳
美月の父の婚外子。アリモトリゾートを後継して、有本姓に変わる
父の死後、性格豹変。美月を虐待。

●有…

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家路 小説

水原とほる  高星麻子 

道行 

後書によると「探す旅」がテーマの2016年発刊の本。
「ロードムービー」(road movie)とは、
旅の途中で起こる出来事で構成する物語。和ものでいう「道行」。
道行といえば、西鶴や近松門左衛門の悲恋を思い出すけど、この話は、ハピエンだった。

後書から、
●高校生・未来:
万年貧乏の母が、有り金全部を持って突然失踪。
母を探す旅が、自分を探す旅になる。

●整理屋・塔馬芳…

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氷面鏡 小説

水原とほる  真生るいす 

一卵性双生児 弟の巣立ち

凌辱や痛みだけじゃない水原ワールドが面白くて、全部読んでみようと目下追って読んでます。
一冊読み切りで、頁足らずで少しアレ?な作品もあるけれど、
言葉遣いや文法の間違いがほぼないし、
資料を良く調べて書かれているので、期ハズレ作品が少ない。
読みやすいのと、知らない世界を覗く面白さが魅力。

2008年の作品。
主人公は一卵性双生児の弟、母の手元で育った郁。

双子の母:
有名…

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見初められたはいいけれど 小説

水原とほる  ミドリノエバ 

心理描写が丁寧、二人の共通点は「寂しさ」

だいぶ以前の作品は、誰かが突然凌辱されたり、みんな殺されて独りだけ生きのこったり、悲しくて痛い結末を書く作家だと思っていたんですけど、最近、円熟したというか、痛くない作品が増えてます。

この作品は、心理描写が丁寧。
頑張っている人には、ジョッシュの言葉が、自分に言われているように響くかも。

●ジョッシュ・ブライス:25才
表紙の座っている黒髪、留学準備で来日したアメリカの大企業の御…

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夜夜の月 小説

水原とほる  町田九里 

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとは限らない

 竹書房の日セールに合わせて作家買いしました。表紙や愛人契約という言葉に胸を踊らせながら読みました。

 絵を愛している亮と絵を愛せない澤との物語でしたが、絵を題材にしているだけあって絵画や画材の名前がいろいろ出てきます。
 本作で美術の知識が全然ないことが発覚した私は、日本画には岩絵の具が使われることやイーゼルという名称すら分かってなかったので、知らない用語が出てくるたびにネットで検索する…

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The Barber(2) The Cop -ザ・コップ- 小説

水原とほる  兼守美行 

きぬぎぬにはエッグベネディクトを

「ザ・バーバー」の続編です。

身なりを構わない一匹狼の刑事・正田に惹かれる高級理容室店主・ハル、だが。
前作の事件が解決した後連絡が無い。
ハル自身も正田とは恋人同士なのか、この関係性に名前が付けられない。
パトロンの陳の存在を超えるような相手はハルにとっても初めてで、自分でも心を持て余すハル…
…という前置きがあっての。
なんと正田の方にも離れ難く絡み合った複雑な絆を分かち合う男…

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The Barber ~ザ・バーバー~ 小説

水原とほる  兼守美行 

美形バーバーと無骨刑事

美しきバーバー(高級理容室)店主と無骨な刑事の出会いと恋の巻。
続編がありますので2巻揃えて一気読みするのがおすすめ。

主人公の如月雅春(ハル)はセレブな男性用トータルビューティーサロンを経営しているが、顧客の1人が殺され、刑事の正田が聞き込みにやってくる…
…と始まります。
正田ははじめハルを疑ってます。
ハルはハルで、正田の美しい骨格と孤独な雰囲気に惹かれるものを感じてる。
2…

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女郎蜘蛛の牙 小説

水原とほる  高緒拾 

刑事×ヤクザ

あ、これは対決とかの意味の×でなくBL界の記号通り右が受けという意味です。受けは組長の元情人(イロ)で武闘派でなく頭脳派の美しきヤクザ、魔性の男です。BL界によくいらっしゃる大好きなパターンです。水原先生のスリリング物久しぶりに読みましたがやはり面白い。でもこれももう8年前の作品なのですね。

この話はヤクザより攻めの刑事・蓮見の方がヤバい奴です。危ない奴というか。刑事なのに奥泉に惹かれすぎて…

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涙の中を歩いてる 小説

水原とほる  梨とりこ 

世界観に入り込めなかった

BLは一話完結が主で、頁数の兼ね合いがあるからだと思うけど、経緯説明や心情描写が不十分だと思う。
水原さんの「痛いSMもの」を何冊か続けて読んだけれど、この作品は余り面白くない。

高林が歪んだ動機が不明だし、ユウが高林に執着する理由が幼い。
過激なSM場面を書きたいだけの構成だったんじゃないのかな?

心臓病の自分を執刀してくれた若い研修医。
その研修医と10年後に、なんと東京のゲ…

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