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◆禁覧の肖像〜プリンス オブ サハラ(表題作)
間に挟まれる祖先達の話が素晴らしかったので、現代編の方は少し霞んでしまったかなぁというのが正直な印象ですが、それでも最後にカァディルの方からアンリに歩み寄る展開は素敵だなと思いました。家の葡萄畑を守りたいというだけのためにここまで行動したアンリを無謀だと感じるか、健気だと感じるかはそれぞれの感性に委ねられるでしょう。私は質素な彼の願いを微笑ましく…
前半は香藤と洋介の回想、香藤を失ってからの岩城の生活、洋介の想いがメイン。最終巻の終盤は怒涛の展開で、何度も自分なりに噛み砕いてなんとかハッピーエンドだと思えた、というのが正直なところだったので、香藤と死別した後もけっして岩城は辛かったばかりではなく、ちゃんと周りの温かさを受け取れていたんだなというのをこちらで知ることができ、ようやく心から結末を受け入れられた気がします。洋介の存在も、本当に岩城…