BLを読んでいると、まつげの長さに代表されるような(笑)相手を意識するポイントがあって、「かわいい」と気持ちを自覚したり募らせたりします。
そこで共感するよりも、「ここはかわいいと思うところなんですよ」と誘導されたような冷めた印象をもつことがあります。
そうなると作り物の世界と向き合っている距離感をすごく感じ、最後まではまれません。
マミタさんの作品はどれも登場人物が「かわいい」と発すると「そんなお前がかわいいよ」みたいな感覚があって、次第にその人物をとおして相手もかわいく見えてきます。
「かわいい」が自然としみこんでくる感じで、キャラに共鳴しながら読めるとやはりおもしろさや印象深さが違います。
特にこの作品の攻め青天目さんが受けのしろさんに言う「かわいい」は、上司だしふだんはミスを叱っているし、遠慮もある中でどうにもふわっともれてしまう感じがしてたまりませんでした。
青天目さんはしろさんのスーツ姿も女装のときも好きって感じですが、しろさんのほうは素のときはまだすこし戸惑いがある感じだったので、続きがあれば嬉しいなと思いますが、年齢や立場、見た目などから『40までにしたい10のこと』が似た感じなので、スーツのふたりのその後もちゃんと幸せだろうなと思います。
KindleUnlimitedにあったので読みました。
いきなり私事ですが、誕生日やなんやかや身の回りのものが4にまみれているので数字では4が好きです。
なのでマチさん4はそんなに悪くないから! 4を愛してあげて! と思いながら読みました(笑)
基本的にはハイテンションでスピード感のある展開でコメディ路線なので、サクッと読めて笑えました。
「楽しくいいもの読んだなー」って満足感。
トラウマのもとと会ったときのマチさんはツッコミいれる余裕すらあったけど、けっきょく向き合う勇気をもてた時点である程度は折り合いがついていて、そうできたのは与四哉くんがいるからなんですよね。
本当にイヤなら余裕で逃げ出せる旅程なので。
よしやくんは自分が恵まれていることに気づいていなかったけど、そうと気づかないくらい自然体で(必ずしも周囲に悪意がなかったわけでも、諦めがなかったわけでもないけど)生きてきたことが彼の大らかさでもあり、彼のその真っすぐさがマチさんの救いでもあり、やっぱり運命なんでしょう。
18歳は子どもだ。
このセリフに集約されますが、登場人物みんな、自分視点だけでなく相手の立場になって考えて行動してゆるして……って優しいお話でした。
シンプルに、いい、好き、そんな感想が浮かびます。
あらすじで菊池くんは鈍感と紹介されていますが、鈍感力と言ってよい長所で、進路相談中に熟睡かます図太さもおおらかさの裏返しで、そしてとてもフラットだから安心できる。
人によって態度を変えたり感情の浮き沈みが激しかったりすると疲れますが、菊池くんは良くも悪くもぶれない。
瀬戸くんは多くを望むことにブレーキかけてしまうけど、菊池くんがそんなふうにどーんとこいなので受け止められるいい組み合わせです。
当て馬的な人も出てくるし高3ならではの進路の悩みもありますが、絵も話も淡々と、激しく泣いたり笑ったりという動きはなくあくまで淡々と、でも青春の酸っぱさも眩しさもあって、気持ちよく読み終えました。
なんかこうじわっと「いいなあ」と染み込んでくるような作品でした。