"その場のノリでグループセックス"
の煽りの通り、パリピ達がその場のノリでずんどこずんどこ…
下品でしたね、すいません。
ですが、本当にそんな感じでした!笑
12人の作家さん達が、パリピをテーマに描かれた作品集。
ちなみに私は、カシオさんが好きなので、カシオさんの名前を見つけ購入したのですが…
全体の感想としては、ちょっとついていけなかったかな〜という感じですかね…
ページ数の少ない短編の中、パリピ達があれよあれよとエッチを始める作品ばかり続き、あ〜も〜〜〜アンタ達ま〜た始めて〜!!
みたいな。汗
BL漫画はファンタジー、とは言いますが、
それでも、そんなことあるー⁈とか、なぜそうなった…!というツッコミどころが多くて…。
ページ数の少ない中で説明不足は仕方なく、パリピBLなのだからとりあえずエッチ!という感じなのは、分かるのですが…。
エッチなの好きですよ?大好きですよ?でも…やっぱり過程とか、ラブに至るまでも楽しみたい…(;ω;)
それならハナから、こういうスタイルの漫画を買うな!って話なのですが…。
結局、好みの話ですね…。
楽しみにしていたカシオさんの作品も、他作品に比べるととてもページ数が少なく、
これだけ…?と…。泣
…でもやっぱりカシオさん好きだけど…。笑
ストーリーだとか過程だとかはとりあえず置いといて、気楽にエロを楽しむ作品集だと思います!
パリピ達がグループセックス!は前提ですが、色々なテイストがありますので、深く考えなければ全然、楽しいお話ばかりだと思います。
最後に、個人的に気に入っている作品を紹介させてください。
作品自体はあまり、好みではなかったのですが、全体の雰囲気と最後の先輩のセリフがどうしても胸に響いて魅力を感じでしまう
『赤いスティック』
余裕綽々のタチ専がいきなりヤられてしまうっていう萌え展開の
『オレかアイツか恋なのか』
『I want you! I need you!』
頭空っぽに楽しんでください。
一巻から引き続き、相変わらずキレッキレの東京ジャックの面々。
今回は、美しくて凶悪なプログラムと評されるコンピューターウイルスの謎を追ったりだとか、危険な組織に潜り込んだりとかしていますが、個人的に特に圧巻だと思うのが本当に電脳世界にダイブして目的達成のため駆け回り暴れ回る話。
一巻でも、克郎、電脳世界にダイブしていますが今回はとにかくメンバーが豪華…!!
前回はダイブしたのは克郎だけでしたからね。やっぱり、東京ジャックの面々がいると爆発感が違います。
さらにとってもキュートで可愛い少年少女も登場するんですよね〜(〃ω〃)少年探偵団みたい…
生意気で素直な子ども達と克郎達の絡みも可愛いし、この子たちがまあそれぞれ魅力があって、チラリと語られるバックグラウンドに、もっとこの子達のことを教えてくれぇぇ!(特にヨリチカくんのこと知りたい)となります。
この話で克郎とシーナ、そしてモズの誕生のルーツが垣間見れたりもするのですが、なんか…エモいんですよね…。
ここで、まだ胎児だった克郎達は育ったんだ。機械の母体の中で、隣にいた存在を覚えていたんだ…。
本当に彼らはなんというか、面倒くさいことは一切なく純粋にギブアンドテイク、
でもきっと、ここはどうでもいいゾーン、そしてここは好きな人間達のゾーンみたいな感じでちゃんと分かれてる。
友情とか愛情とか絆とか、ひょっとするとわざとらしかったり臭くなってしまったりしそうなものを、語りすぎたりせずにサラッと表現している感じが好きなんです。
そういう描き方が、石原先生は本当にお上手なんですよね…!
そして本編に加え、書き下ろしやカラーでの追加ページもあります。
本編ではあまりバシッとした見せ場がなかったシーナが実はこんなカッコいい男だったんだ…!って感じられたり、
何よりラストのカラー漫画…!!
漫画家さんの絵柄の変化というのは避けて通れないものだと思いますが、そして好きな作家さんなら絵柄が変化していこうと、ずっと好きですが!
大好きな石原さんの中でも特に最大に好きな時期の絵柄で描かれているんですよ…
多分、あふれそうなプールの中期〜後期あたりとかの時代かな?
この時の石原さんの、スッとした切れ味鋭めの美しくてカッコいいイラストで、カプセルヨードチンキが読めるとは…(T-T)
すき…(T ^ T)
最終的にレビューというよりオタクの一人語りみたいになってしまいましたが、いいですよね…
迸る好きは止めらんないですもんね…
近未来の東京を舞台にしたサイバーパンクストーリー…といえばなんだか小難しく聞こえてしまいますが、実際それなりに難しい!
ストーリーは理解できても、難解な単語が多く、多分私も総合的にいうと8…いや7割くらいしか理解してないです。
だけど…面白い!!!大好き!!!
最推し作家さんである石原理先生の作品は、おそらく全て読んでいるハズと自負しておりますが、大好きな石原節の炸裂っぷりに喜びと嬉しさで胸が苦しくなります。
どこか退廃的な世界観に、瑞々しく自由に生きる男達…あぁ〜…これだよこれ…
人工子宮システムなんてのがこの世界にはあって、へその緒も母親の愛情も知らず産まれた克郎とシーナ。2人は電脳世界に精通していて、その筋の天才。
そして、"東京ジャック"の名を掲げる公道レースチーム(違法)、モズ、カラス、アケ、エージの4人。
この2人と4人の出会いから始まる物語ですが、当初は克郎とシーナにどこか懐疑的だった東京ジャックの4人が、共に色々な事件やらを解決していくうちに本当に仲間みたいになっていくのが良いです。
甘いBLや、しっかりラブしてるBLがお好きな方にはオススメできません。
非BLに分類されているだけあって、確かにBL…ではないです、が!
石原さんの描く男達はなんというか、存在するだけで色気がすごくてエロいんですよ…(T-T)
電脳の申し子で天才的頭脳を持つ克郎、
克郎と同じ場所で産まれた幼馴染シーナ、
デンジャラスビューティー男前なモズと相棒(?)カラス、
可愛くて意外と出来る子アケ、
おバカでおバカでとにかく可愛いエージ
何より自分達が楽しいのが一番‼︎な彼らは、仲間だけど友達とはどこか違うし、仲良し〜みたいな関係ではないんですよね。
もし仲間がピンチでも、自分が楽しめないなら、自分を犠牲にはしない。多分、「悪いな〜」なんて言って見捨てるのかな、なんて
思ってしまうくらいの関係。
でも、しょーがないな!ってなんだかんだ体張ってくれる、そんな気もする。
狭くて息苦しい東京で、広く果てしない電脳世界と共にとにかく限りなく自由に遊んで生きている姿は本当に眩しいです。
何より凄いと思うのはキャラクター達の生き生きしたリアルさ。それぞれの価値観や性格がしっかりと確立されていて、かといってコイツはこう!と固定されている訳でもなく、人間だからどこかふらついたり迷ったりもしてる…
何気ない会話、仕草、表情、石原さんの周りには本当にこういう人達がいたの?ってくらいリアルで(まあこんなデンジャラスな人たちが何人も周りにいる現実もどうなんだ…とは思いますが)愛おしくなるくらい…
そして個人的に大好きなのが、モズ…ッ‼︎
モズに限らずですが、作中誰も、なにも、なにひとつ!BL描写は出てきません、キスすらないです。
におわすセリフくらいならありますが本当に非BLです。
そんな中で男にモテモテ(別の意味で)のモズは、向かうところ敵無しの最強色男だと思ってます。
ビジュアルはもちろん、ビッグマウスをビッグマウスにしないくらいの実力と、クールなのに意外と面白いこと言ってたりノリが良かったり。
さあ、推しができれば、あとはもう妄想でなんとかなります。
BL成分が足りない!なんて方も、これで大丈夫ですね!
楽しくなけりゃ生きる価値なし!が帯の謳い文句ですが、まさにそれを地でいく彼らの物語はとても自由で楽しく、格好良く美しいので、気になった方はぜひ…。
前作「カレノドロイド」が、今までの石原さんの作風から少し変わった気がして、もちろん良かったし好きなんだけど、だけど…と思わずにはいられなかった…
が!今作で、これだよ石原さんのこの感じがまた読みたかった…!と感激しました。
訳ありの少年達を受け入れる、山奥の閉ざされたシェルター。
飄々としてるけれど、自分を抑えつける大人達に決して屈せず抗い続けるソーマ、
実父による虐待から逃れるためシェルターに来たハル。
2人の少年が、強烈に出会って惹かれて、お互いが自分の思うように生きるために闘い続ける物語です。
時系列が、成人後の現代と少年時代を行ったり来たりしますが、その切り替わりが映画を観ているようになんとも滑らか。
ソーマは、はじめ、なんだか得体がしれない。
何者?良いやつ?悪いやつ?何でシェルターにいるの?となかなか掴めないキャラクターです。
それがまあ…読み進めるうちにですよ…
めちゃ良い子T_T イケメンだしT_T あとエロいT_T
ぶっきらぼうだけど根は優しくていつもなんだかんだ助けてくれるイケメンを地でいくやつ。
逆にハルの方が色々と複雑なものを抱えています。
実父からの虐待は精神的・肉体的・性的なものを全て含んでおり、更に父親本人は警察官僚ときていて、誰も助けてくれないと諦めています。
だから逃げるしかない。ただ、逃げて逃げて…
シェルターで出会ったソーマとハルは、初日からお互い強烈な第一印象を受け、なんとなく心を通わせます。
ですがお互い本当の意味で心を通わせていくのにはまた過程を経ていくんですよね。そこがまた、良くて…。
父親にシェルターに居ることがバレて、逃げることを決心するハル。
でも1人じゃ無理。
助けて欲しい時、ソーマにかけた言葉が、「お前が必要だ」なの凄く男っぽくて良い。
そうしてソーマ、ハル、そしてシェルター仲間で少し年下の銀とクロの4人は派手に脱走し、少年達の逃避行が始まります。
この逃避行がまたね…なんだか眩しくて。
この4人の少年達には何の力もなくて、行き場所だってないのに…。
ただその時を一生懸命生きてるんですよ。
そしてこの時間を通じて、ハルとソーマは真から心を通わせたのかなと感じます。
身を潜める場所を探していた時、見つけた空き家。そこにあった、孤独死したであろう死体。ソーマは、この家はやめよう。死体は放っておくしかない。そう言ってその場を去ろうとします。
けれどハルが言うんです。
"警察を呼ぼう。ちゃんと弔おう。心に反したことはできない" ───
1番逃げたいのは、逃げなくちゃいけないのはハルなのに、その心があまりに綺麗で真っ直ぐで、愛おしかった…。
そしてクロと銀の存在もあまりに愛おしい。
銀はしっかりものだけどまだまだ子どもだし、クロはおバカでどんくさくて、いつもふわふわしている感じ(可愛い)。
足手まといになりそうな2人だけど、この逃避行に2人がいることで、ハルはその心の清らかさを守れたんじゃないかなとも思います。
銀の、小さい体で誰よりもしっかりしていようとするお兄ちゃん気質なところや、
クロの、トロかろうがおバカだろうが全然卑屈にならずに、いつだって純粋に彼等と共に
いようとする感じが、すごく好き…。
そして石原さんの作品で本当に好きなのがセリフとシーンの見せ方です。
今作も本当に、なんだか神がかっているほど、好きでした。
屈しかけてた時、花火を見た。
その花火はずっと、ここにある。
深いところに、ずっとある。
お互いが、大人の身勝手に巻き込まれて傷ついた無力な少年時代。
大人になっても、その頃の苦しみや葛藤の鎖はより強く絡まっていて、何も解決できていない。
だけど、ソーマがいれば…
ハルがいれば…
守りたくって遠ざけていたのに、ソーマのあまりに熱い熱に絆されて、素直になったハルの頼り方が、少年時代と重なり合うのにあまりに言葉の重みが深まっていてしんどいくらいに尊い。
ハルの、あの表情よ…。
ずっと1人で抱え込んでいたハルにかけたソーマの言葉も、あまりに優しくて堪らないんです。
"怒りに焼けそうになったら、俺が愛してるってことを思い出して"
ソーマって…。炎のようで、暖炉のようで、本当に熱くてあたたかい人…。
段々と、深く深く2人が繋がっていく過程が分かって、その絆に悶えそうになるのです。
身体を繋げるのも同じ。
ソーマがハルを抱くのか?ハルがソーマを抱くのか?
読み手としてやはりその前後には好みがありますが、もう、どんな形でもいいか…この2人が、繋がれるのなら。
そんな風に思える2人なのです。
石原さんはエッチシーンは基本的に控えめな作家さんですが、今作も控えめに少しだけ。
充分なんです、これでもう…。
ストーリーやキャラクターの関係性に燃えられれば、エッチシーンは…そりゃああれば嬉しいですよ、嬉しいですけど!でも全然、無くてもいいんです。
キスだけでも充分(さすがにキスくらいはあってほしいと思うのが乙女心ってやつですね)。
彼等が性別を超えて、性的に、そして人間的にも惹かれあってるのが分かれば、それだけで尊いんです。
それを描くのが、石原さんは抜群に上手いと思うのです。
ただ…やっぱり…全BL作品の中で1番大好きな作品、石原先生の個人的最高傑作、私の魂のバイブル「あふれそうなプール」時代に比べると、絵柄やストーリーの乱れを感じる時はあります。
石原さんの作品は好きなものが多すぎて、自分的神評価が多すぎて、それならば今作は好きだけど、他の石原さん作品と比べた時どうだ?と少し迷いました…が…
読み直して、ああ〜やっぱり大好き(ToT)!となったので神評価をつけさせていただきました。
石原さんは、ご自身も色々と闘い続けている方だと思います。だからこそ、描く作品からメッセージが強く伝わってくる…
そして描き下ろしでは、泣きそうになりました。
蒼馬と破流。この2人の物語を、まだまだ見守っていたかったです。
「誤算のハート」でスパダリ攻めとして大活躍した烏童くんのお兄さんのお話!
長身スレンダー、泣きぼくろがなんとも魅惑的な烏童兄。ちなみに受け。
バリタチ・両刀として恋愛イージーモードで生きてきた風に見せかけて、実は中学生の頃から密かに片想いしている相手がいるのです。その名も清竹。
あの頃は自分よりずっと身長が低くて、そして更に身長の低い女子と付き合ってたアイツ。
手に入らぬと分かっているから、せめて誰のものにもなってほしくない。
だから彼女を奪って、泣かせて怒らせて傷つけた人。
そんな2人が大学生になって、合コンの席で再会してーーー
な感じなのですが、いや〜烏童兄、女々しい〜!天邪鬼〜!捻くれてる〜!
しかし同じく女々しい天邪鬼な私は烏童兄に共感できる部分が多くて、彼が辛い思いをする度に、ああ〜優しくしてあげて〜(ToT)てなりました。分かってるんだよ…自分が悪いってことは…。
特に、大学でのバスケコースでの一件からの弟からのあの一発は…デカかった…。私だったら泣く。兄の気持ちがなんだか痛いほどわかって、胸が苦しかった。
ただ、バリタチとして男女問わず遊びまくってた烏童兄が、清竹に対して"抱きたい"ではなく"抱かれたい"だったのは、そもそも彼の本質はそっちで、でも抱いて欲しいのは清竹だけだったから他の人間に対してはあえて自分が抱く側になっていたという感じなのでしょうか?
少し気になりましたが、そこを深掘りするのは野暮ですかね。
でもそこの心情がもう少し理解できたら、もっと物語に入り込めたかも。
清竹は良くも悪くも普通の、ちょっとイケてるかも?な男子で、でもそれがある意味リアル。
いますよね、こういう、普通にかっこよくて普通に優しい人。もちろん恋愛的にもノーマル…な彼が、色々クセ強でぶっとびめな美形男子とどんな風に恋に落ちるのか!
ギクシャクしたまま離れて、再会したらなんだか意外と悪くなくて、烏童兄の気持ちに少しずつ触れていくうちに、気になって仕方がなくなって、なぜだか愛しくて…
清竹が烏童兄との関係性を変化させていく過程が丁寧に描かれているのが良いです。
烏童兄は完璧に見せかけて実は色々不器用なタイプで、ボロが出てくる度に人間臭さが増していくのが良いです。笑
本当は全然、完璧なんかじゃね〜よ…って。
ただ三城くんへの態度の変わりようは少し残念でした、本当に嫌な女みたいな感じで汗
でも烏童兄は本当に共感度が高いんですよね〜(T_T)
特に本編のラストページ。
自分が幸せだと実感した時に初めて思える感情。ああああぁ〜私も全く同じ経験がある!!!
美しい締めくくりでした。
「誤算のハート」でお馴染み、烏童くん(弟)と三城くんも結構出てきて、烏童くんは相変わらずスパダリだし三城くんはすっかり可愛くなっちゃってるのでそこも見所ですね♪
表紙とタイトルでまず、アラブものかぁ〜…と思いました。個人的にはそんなに興味なかったんです、自分からは読まないタイプで。
ところがどっこい、しょっぱなでやられました。
なので、アラブ系興味ないな〜、そんな風に思っている人にこそ読んでほしい短編集です。
表題作ももちろん良かったのですが、『溺れる魚』がとても好きなので読んでほしい…
●溺れる魚●
もしかしたら緒川さん作品で1番好みかもしれない…!
自分が好きになる時は本気、なのに相手に好かれると急に冷めちゃう、そんな困った恋愛観を持つ宇佐美。
水泳部の岸は、フラフラして彼女をとっかえひっかえしてるように見える宇佐美のことが苦手。
だけどあることをキッカケに2人の距離は縮まり"友達"みたいな関係になるけど…。
なんでしょう、この…
2人が抱える、ゆらゆらしててヒリヒリしてて、確かにある感情なのに名前に出来ない。
どんな年齢でも生まれる感情な気はするけど、この10代後半のこの時期だからこそ何よりも刹那的で危なっかしくてキラキラしてるように見えるんですよね。
もうそれがすっごい詰まってて(T . T)
石原理先生の「あふれそうなプール」という作品があるんです。BL作品の中で1番と言っていいほど好きなのですが、その作品も10代特有の危なっかしさや刹那的な青春が描かれていて、同じプール繋がりだからか…とても似たようなものを感じて、胸を掴まれました。
制服、夏の暑さ、揺れる水面、塩素の匂い…。
完全に、個人的好みの話で申し訳ないのですが…。
正直、宇佐美の、"相手に好かれたら冷める"という恋愛観は理解できないし、それを持った彼が果たして相手も自分も幸せになれる恋愛ができるのか?というのが読みながらの心配事だったのですが、とても良い形で着地してくれたのではないかと思います。
そして2人の背景がちゃんと描かれているのが更に物語に深みをもたしてくれています。
宇佐美のバックグラウンドはやはりどこか浮世離れしていますが、岸の方はすごく刺さる…。
親にだって色々あるんだ。
両親を、ただ岸くんを振り回す悪い親ではなく、彼らなりの悩みや葛藤を持った上での過程や結果であったこと、そしてそれでも最後に笑顔の描写があったことに、きっと岸くんだけでなく読者である私もどこか救われました。
整理しきれない感情に追われて、本音は全部、水の中に置いていく…。
いつも、濡れている岸。
恋を自覚した時の岸の涙、
ラストのプールサイドでの2人、
めちゃめちゃ良かった…。
うわ〜…好き…と胸を掴まれるシーンがいくつもありました。
夏の雨の日に読みたくなる作品です。
●ラクダ使いと王子の夜●
表題作でもあるアラブもの!!
とても優しい物語でした…。
それぞれの環境でただみんな一生懸命生きていて、そこで奇跡みたいに出会った2人、アルファルドとカマル。
この2人、本当にどっちも純粋で心が優しくて…
こっちまで優しい気持ちになります。
何より…。
巻末にその後の物語が描かれているのですが、それを読んだ時に少しだけつかえていた何かが無くなって、全て浄化されたような気持ちになりました。
●いびつな欠片●
いや〜…。好きです…。
兄に異常に執着する弟と、
そんな弟を酷くあしらいながらも"ご褒美"として身体を許す兄。
ガチ兄弟ものには少し抵抗があるのですが、なんでしょうね…
2人のビジュアルがとにかく良いのと(お風呂のお兄ちゃんがツボ)、お互いヤバい方向に振り切ってる感がむしろ良かったです。
どっちもぶっ壊れてるのになんか綺麗だなーって思えちゃうのは、
大切なものに対して堪らなくて泣けてくる、みたいな描写があるからでしょうか…。
感情が昂って泣けるのってめちゃめちゃ人間臭いですもんね。
理解できない2人ですけど、その中で理解できる部分がすごく刺さって、美しい物語になっていると思います。
●くさった螺旋●
「いびつな欠片」以上にヤバい2人が出てきます…。
あっちの2人は好きになれたのに、こっちの2人は全てにおいて理解できないのでなかなか…。
しかしタイトルが秀逸ですね、
なるほどまさに、というか。
こんなドロドロした関係やめてよ〜(T . T)ってなっちゃいます。笑
でも、不思議と嫌いではないこの話…。
あたるくんの、それこそ誰よりもぶっ飛んだイカれ具合がなんか少し良くて。
しかもそこに歪すぎるけど確かな愛があることがちらついちゃったらね…。
けど物申したいのは秀さんですよ。
過去の話には、ちょっとちょっと…それは違いますって…(T-T)とツッコミたかった。
そんなことしたって…ダメだって…やめときな…って、誰か止めんかったんか…
まあ止めれる人がいたらここまで歪まんかったですよね…。
でもまあ色々ありますよね、
自分が理解できることが全てじゃないですからね…。
作者さまも、読む人を選ぶと仰っていますし、萌えがあるのかと不安もあったそうです。
萌えがあるかは別として、物語としては読み応えのある、面白い作品だったと思います。
4作とも良かったと思いますが、やっぱり「溺れる魚」がとても好きです。
男子高校生×プール×曖昧な関係
って、萌えしか生み出さないじゃあないですか…!!
緒川さんワールドがたっぷり詰まった短編集です!
♦︎ ♦︎ ♦︎
『世界は君で廻ってる』
表題作です。
私はこの作品の、牧くんが好きでしてね…。
自称"見事なまでの地味顔"な牧くんなのですが、そんな牧くんのことを"すげーかわいい"と言ってストーカーばりに付き纏うイケメン・深町。
この深町くん、緒川さんの描かれる"攻め"感が凄いです。
イケメンでクラスの人気者なのに、ちょっとヤバいくらい受けに執着してるタイプ…。
どこか狂気的なのに、この深町くんはストーリーが進むにつれ同時に純粋さも感じられるキャラクター。
そんな深町くんにずっとツンケンしながらも、実は結構心許してきちゃってる牧くん、いやー可愛い。笑
♦︎
『エセ床屋漫画』
この短編集で一番好きなお話\(//∇//)\
緒川さん初めてのBL漫画だそうです。
この頃から、絵柄やキャラクターの雰囲気はそのままな感じがしますね。
休み時間になると校内で簡易理容室を開く男子高校生・悠士と、常連の寝癖っ子・忠近。
仲良い友達だけど距離近すぎない?
でも、男同士だし、恋人なんかじゃない…
なのに、なんでキスとかするんだろ?
みたいな、すっごく絶妙な距離感の男子高校生、大好物でして…。笑
悠士は割とアピールしてるんですけど、どうしたらいいか分からない忠近が逃げ回ってる感じ。
でもなんというか、あくまでも悠士は忠近に、自分から落ちてきて欲しいんですね。
だからアピールはするけどがっつきすぎない。それがまた忠近の心を振り回して…。
そして作中で悠士が忠近のある行動に怒って髪をひん掴むシーンがあるんですけど、それって仮に男女だったら、「この男最低…」と思ってしまうのですが、男同士で、しかも好きな相手にそれをやるのって、なんだか燃えてしまう…!
悠士のそれは嫉妬や独占欲からきたものでしたが、少し暴力的な愛情表現って、男同士ならではの気がするんですよね…。
そして、悠士の気持ちに悩み逃げ腰だったのに最後はしっかり男前な忠近が良い。
やっぱり受けってカッコよくなきゃ!
♦︎
『おろかしくも うつくしく』
優しく面倒見が良いクラスの人気者・亮平と、自他共に認める"顔だけが取り柄"のクズ系美男子・晴海。
晴海みたいな、"美"に執着して人を見下すタイプの男性は攻めでも受けでも(受けの場合は特に)好きではなく、そして攻めの亮平にも特別惹かれるものはなかったのですが…
タイトルの通り、"愚かだけど、確かに美しい…"と思ってしまった時点で負けですね。笑
亮平に嫌われたと思って涙する晴海は美しく、そしてとても可愛くて…。
ラストのキスシーン、そしておまけページ?の冒頭。私も感じてしまいました。
" 晴海はかわいい "
♦︎
『ヤスイタマシイ』
はぁ〜やめてくれ…。
後輩×先輩は弱いんだってば…(しゅき…)
100円で1回、身体の関係から始まる2人。こういう始まりにも弱い。
にしたって100円はあまりにも大安売りな気はしますが…しかもそれ言い出したの攻めっていう。笑
でも口実が欲しかっただけなんですよね。
どっちも慣れてるようにみせて、実はお互い不器用。
素直じゃない後輩と先輩、とても可愛かったです。
♦︎
『極上デザート』
イケメンモテ男眼鏡・加地くんと、イケメン甘党男子・夏目くん。
女子の手作りお菓子プレゼントを毎日のように受ける甘党の夏目くんは、スイーツフィーバー状態でしたが、同じくらいのモテだったはずの加地くんにいつしか大きな差をつけられ、自分にお菓子が回ってこなくなり、飢餓状態に追い込まれ…
飢えた自分を弄ぶような加地の言動に、つい意地を張って喧嘩みたいになっちゃう2人。
加地くん…緒川さんの作品では珍しく、どこか淡白な攻めですね。
優しいんだけど、執着心が薄いというか…。
もっとガチガチに執着してよ!受けが拒んでも離さないでよ!と思うのですが(笑)、その分受けの夏目くんが素直で可愛かったです。
♦︎ ♦︎ ♦︎
収録作全部が面白くてキュンとして、読みやすくて満足感もありの一冊でした!
攻めはかっこよくて受けは可愛い、緒川イズム(勝手に言ってる)を存分に堪能できました(*^^*)
クールで真面目な烏童×奔放でチャラい三城
思いつきで遊びみたいに付き合った2人の男子高校生のお話。
緒川さんの描く受けって、カーストヘヴンでも思いましたけど、"雌"みたいな男の子が多いですよね…。
私はちゃんと、身も心も"男"な受けが好きなので、雌感強めな受けは苦手なんですが…
そこでなんか好きにさせてしまうのが、緒川さんの上手さというか…!
表題作の受けである三城くんも、ま〜しょっぱなから雌感ビンビンに出してくるビッチですよ。周りに女の子をはべらかしてるのに、出てるのは"モテ男"っていうより"女王様"なオーラ。
そしてまるで男女で付き合ってるかのように当たり前のように堂々と烏童と付き合ってイチャついてるし、そして他の女子に嫉妬され陰口を叩かれるという、本当に存在が女子な三城くん。笑
こういう受けは好きじゃない、私はそう思っていた…
な・の・に!
読み進めるとどんどん出てくる可愛げ(T-T)尊
奔放なビッチかと思いきや(まあ実際そうなんだけど)、ガチ恋愛は処女ってタイプだから、烏童への初めての気持ちに動揺しちゃってドキドキしちゃって、ヤバいって焦るの可愛すぎるしエロいしなんなの…。
1話より2話、2話より3話と、
『あれ?苦手だと思ってたのに、もしかして私…三城くんのこと、好きになってる…?』
と、好きを更新させていく恐ろしい受けです、三城くん…。
しかしその三城くんの良さも、烏童がいてこそ…。
また良い攻めなんだこれが…。
は??真面目で優しくて誠実なイケメンが時々見せる雄味、は??
穏やかさと激しさの同居…これぞ…。
男子高校生のキラキラしててエロくて純情な青春ラブでした!
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
表題作以外にも短編が2本入っております^_^
「ラストサマーブルース」
甲子園を目指す高校野球部を舞台にした、切ない青春群像劇。
こういう、"青春"を大きな軸にして展開される淡いボーイズラブって大好きなんですよ…。
全然エロくないのに心情とか夏の汗とかに色気があって、確かに好きなのに宙に浮いてどうしようもなくふわふわしてるだけの気持ちとか、すごく綺麗だなって思うんですよね…。
野球に青春を捧げてきたけど後悔を残したまま野球から離れた久住先輩と、久住にまた野球部に戻ってきて欲しい市ヶ谷。
飄々とした中になにか抱えてるような久住先輩と、クールで生意気な中に情熱を秘めた市ヶ谷、2人のやりとりがなんだか本当に眩しい。
なんだか青臭いなぁって思えるシーンも、だってそれが青春じゃん…甲子園を夢見る野球部だよ?先輩後輩だよ…?って、全部キラキラになります。
今作に限らずですけど、想いはあるのにBL未満の2人って、なんだか愛おしすぎます。
少し切なくて、だけど暖かさを感じられるお話でした。
爽やか〜…(T-T)
「無防備な午後」
こちらはうってかわってリーマンもの!
自分が社会人になったからでしょうか?
昔より圧倒的に、社会人BL大好きになってます。笑
人当たりの良いモテ男営業マン・田町×仕事は出来るけど不器用で性格キツめの大村(美形メガネ)、正反対な2人の同期ラブ!
私…大村さんみたいな上司だったら絶対無理です…(T-T)笑
なくらい、鬼厳しい大村さんですが、元々自分でも部下の教育なんて向いてないと思ってる不器用な人。
"年々分厚くなるレンズ…"のくだりに、そんな彼の苦労感が現れててなんだか可愛い…。
ある出来事をきっかけに距離を縮めることになる田町と大村ですが、大村さんが可愛いんですよ…!
あの鬼キツのメガネがこんな可愛らしい人だったなんて…って、気づけば心掴まれています。
そして田町さんも良い男ですよね〜…。
緒川さんの攻めって、さりげないスパダリが多いような気がします。
さてこんな感じの一冊でしたが、どのお話も面白いしキュンとするしかなり満足感のあるものになっていると思います!
ライトにも読めるし、でもしっかり響かせてはくるし、緒川さんの良さが詰まってる一冊だな〜と思いました(〃ω〃)
患者自身に好意を持つ者に対して、性的興奮を誘発させる"フェロモン症"。
そんな病が蔓延する世の中を舞台に、濃厚なラブが繰り広げられます…!
複数のカップリングがあり、
①コミュ力高めのお弁当屋さん×無愛想なサラリーマン
②オタクな陰キャラ男子高生×派手なチャラ系男子高生
③フェロモン症を研究する変わり者博士×その下で働く研究員(リバあり!!しゅき…)
④世話焼きゲイ×真面目天然系ノンケ
⑤ガチムチツンデレ年下男×ヤバめのストーカー系年上男
…といった感じの、どれも濃ゆいCPが揃っております。
1話1話しっかりと話が作り込まれてるな〜という印象で、とても読み応えがあります。
フェロモン症はオメガバースと似たような印象を持ちました。もちろん、男女の概念はそのままなので妊娠しないし番とかもないですけど…。
フェロモン症を発症した患者と、それに誘発された相手とのsexはとても凄いことになってまして、いやまぁ…凄いですよ。笑
余裕こいてた攻めが、余裕なくなったりだとか、
逆に余裕こいてた受けが、もうやめてってぐちゃぐちゃになってるのとか、う〜〜〜ん、
好き…!
ただ、④と⑤のお話はフェロモン症あまり関係ないのかな?
④は本当に、純なカップルって感じで好きです。受け攻め2人に、大人の色気がある中に純粋な部分をすごく感じて、胸キュンさせてもらいました。
そして⑤ですが、いやぁ濃いい!!笑
う〜ん、攻めの真澄くんは好きなんです。
クールでドライに見せかけて、ここぞという時すごくゾクゾクと魅せてくれる。
ヒゲ剃ってくれて更にタイプ。笑
ただな〜!受けの藤生(ふじお)がな〜!ヘビーすぎて!!
受け次第ではすごく好きな作品になっただろうな〜…と、個人的に思っています。
本当に全体通して読み応えある一冊で、人気があるのも頷けますが、好みは少し分かれるかもしれません。
癖もあるし濃厚だし、私は少し胸焼けしました。笑
あの、沼の目をしてた雛胡が…。
死なんて笑って享受しようとしていた雛胡が、好きな人のために焦ったり尽くしたり一生懸命になるなんて…。
続の見所はここに尽きる気がします。
強引で、穏やかさなんて欠片もないけど、どうしたって優しくて、自分を救おうとする鴉門に少しずつ絆されていくんですよね〜。
表情がくるくる変わるようになったり、意外とたくさん喋ったり、記憶を失う前の雛胡は本当はこんな感じのとても可愛らしい性格だったのかな〜なんて。
特に、別荘での2人のエッチシーンは…可愛くて、エロくて、尊い…(;_;)
その後の展開とか、もう、鴉門さん男前すぎて…!!
レオパードシリーズのカップリングでは、燐花×薬師寺推しだったのですが、ああ〜この2人もすごく好きになってしまった〜(TT)
正直全巻までではそこまで引き込まれなかった2人ですが、続でグッと掴まれました。
しかしなんでしょう、ヤクザ×世捨て人な美形の組み合わせって好きなんですよね〜…。
お互い死を受け入れていたはずなのに、いつの間にかお互いのために生きようとする2人…
愛ですよ…
心の欠けた部分を満たしてくれる相手。
真っ暗だった心の中に、光を灯してくれた相手。
やっぱりこれは、救いの物語なんですね。
そして、恋情とか無しに、ただただ鴉門を心底信頼して、鴉門が大切にする相手は自分も大切に扱うけど、そのスタンスは鴉門の安全が絶対。
対等の立場で接するのに、鴉門を唯一無二の男として扱い守る郡司さん、ある意味一番カッコいい男だと思います。