この作家さんの舞台設定のうまさ、着眼点のよさにいつも感心します。
エピソードを積み重ねてリアリティのあるお話に仕立ててくれる作風も
健在で安心して読める作家さんの一人です。
今回の舞台は大学の馬術部。
実家が酪農をやっているという純朴でまっすぐな一年生と、
病院の跡取り息子というある意味サラブレッドに生まれついて
少しばかり偽悪的な仮面をつけている医学部三年生のお話です。
特別な血統でもない18歳のマンサクとJRAから厄介払いされてきたサラブレットのダーク
トルネード、2頭の馬の運命も二人の物語に上手に絡めてあってうまい!と思いました。
ただ一点、先輩の若宮に対する耕太の言葉遣いが所々気になりました。
そりゃ最初は事情がわからないし、鼻持ちならないと感じてしまうひとではありました。
んが、先輩にそりゃないんじゃないの とちょっと思いました。
でも、しっかりしたお話を探している方にはぜひ!とお薦めします。
海野先生×草間さんじゃなかったら絶対買わない本作の歳の差。
でも今回のお話は途中から伊勢君の理系脳恋愛を楽しみました。
伊勢君に気持ちをシフトして読むと、さすが海野先生!面白かったです。
おじさん受けは少々苦手ですが、
二人のぎくしゃくしたやりとりはやはり恋!ですね。
最後の伊勢君の恋文部分なんか最初の書き出しのころの
ぶっとんだ理系脳文からは想像できないほど切なくなりました。
そうなると現金なもので春井センセイもいい感じに思えてきます。
草間さんが大好きだからってのもありますが、
容赦ないおじさんの絵ですが許せました。
むしろおじさんに見えないおじさんの絵よりいっそきっぱりしていて
春井センセイらしいです。
萌はともかく(笑)いい恋でしたよ。
自分がどれだけ対等カプ好きか、お仕事すきーか再認識しました。
勢いでこの評価です。
SATです。野外訓練です。暑苦しい合宿生活です。そして事件です!
殺伐として、厳格で、暑苦しくて、汗臭い世界
でもそこを覗くのが大好き!(笑) 困ったもんです。
この二人はふたりとも好みでした。
命を張った最前線で互いに背中を預けられると無条件に信じている同期。
攻めは隊のだれからも信頼されている懐の深い男。犬伏。
男が惚れる男タイプ。ちゃめっけもあり、細やかな気遣いもできるひと。
受けはクールビューティ。橋埜。
黙って犬伏の動きをフォローする参謀タイプ。
沈着なのに犬伏限定で怒鳴りあうのがわかりやすくてかわいいです。
熱血過ぎて自ら怒りを納めるために写経なんかします。(お寺の息子です。)
そうそう実家のお寺シーンが良かったですよ~
この二人や隊員たちとのやりとりがおもしろく、けして甘甘ではないのですが、
言葉や態度の端々からこぼれるラブを拾って読むのが楽しいのです。
かわい先生なのでそこまで殺伐としてないし、どんぱち苦手さんでもダイジョブ。
ああ ますます対等カプ、お神酒徳利すき~になりそ。(最近少なくて…)
ひとつだけ…、なんでこんなすぐ忘れちゃいそうなタイトルにしたのかな?
のっけからお詫びですが、BLとしての評価ではありません。
甘さとかエチとか夢見ちゃうとかそっちの要素はまったく足りません。
でもっ
男のひと同士の、たぶん女性にはほんとのところ理解しきれない関係、
恋愛感情だけでもなく、友情だけでもなく、同志というかツレというか
わたしたちがわからないけどいいなと感じてるものが書いてあります。
谷崎さんはそんな関係を淡々とした語り口ながら、しっかり書き込んで
くれる貴重な作家さんです。
警察物好きですが、BLでここまで作りこんでもらえば御の字です!
ダブルシリーズが大好きでいつかまた…と思っていたら
昨年真音が出て快哉を叫び、今年は奈良さんとのコンビだなんて
幸せです。またいつか…を気長に待ってます。
最後もお詫びですが内容は茶鬼さんのがめちゃめちゃ参考になります。
キスもしたことがないポルノ作家って…
ここつっこんでいいーかどうかあれですが(汗)実在されて…いやいや。
設定に引かれて読んでしまいました。
弱っちい受けは苦手ですが、この弘文は愛いやつでした。
なにしろ初めてギュット抱きしめられて
「これはさばおりなのか?」と思うような子で(笑)
対するお相手は弘文が片思い中の幼馴染で
無口な板さんです。
お決まりのかっこいい兄さんですが、
このひと地味に名カウンセラーです。
上から目線じゃないカウンセリングぶりがいいです。
私も彼に見守られて和菓子を食べて、
「そりゃよかった」と目元をゆるめて欲しいものだと乙女な感想もちました。
二人の視点が交互に出てくるので
それぞれの内心の半端ないおたおたぶりが楽しめます。
久しぶりに海野先生ヒット!でした。
一話目だけならはなまるだったんです。
でも続きが…。
ああこのシーンを書きたくてむりくり二人を元彼のところへ
ツレテッチャったんだねってわかっちゃいました。
やっと結ばれた攻め君が不安になるようなところへ行くこと自体、
そしてふたりで怪しまれる行動をとること自体不誠実です。
そもそも、元彼君をこんな形でヒールにしたらダメでしょ
昔のことで傷ついたのはかれも同じ。お互い若くて至らなかったせい。
そのことがわかっていたから、一話では恋に心を閉じてたんじゃなかったの?
自分だけが傷ついたっていじけていたわけじゃないよね。
何もかも無くした彼もやっとりっぱに立ち直ったのに、
そのひとをこんなふうにまた踏んづけちゃって。
高遠さんはスペシャル神印がいっぱいの好きな作家さんなのですが
この作品だけちょっぴり残念なのです。
榊さんの文章は私にはキツイと感じることがあるのですが、
今回はそれがうまく作用して心にひっかかってきました。
病弱であることと、坊ちゃん育ちで過保護であることに甘んじて
無気力だった主人公の朱砂が、恋という感情を知って
心をきしませながら相手を思うことで成長していく話です。
ただ健気でいい子じゃないのがミソです。
お相手は10歳近く上で前科持ち。おまけに無口で不器用で
わかりにくい男なので経験のまったくない朱砂はかなりもがきます。
でも、自分の幼さ、至らなさに気付く聡さもちゃんと持っています。
世間知らずのぼっちゃんと逃亡者という立場で出会ってから10年、
相手に向かって手探りながら懸命に手を伸ばし続けて
周囲の理解者にも助けられ(いい感じの脇がいてくれてよかった)
やっと届いたときにはホロッときました。
やや前途に不安(過保護な親)はありますが、幸せを祈りたい気持ちです。
単にさわやかでもほっこりでもない、少しきりきりとしたお話です。
でも心にいつまでもいるような予感がします。
葛西さんの絵もいいです。
かっこいいのに意外とヘタレな攻め様の背中にはなまる!です。
ワンコといってもBLでいうへたれとセットのワンコではありません。
特殊な捜査能力を特価された人造人間のことです。
そのワンコと飼い主であるパートナーのお話です。
第三弾のワンコは金髪碧眼の見た目華奢な女の子風。
今回は飼い主に引き合わされた直後にその飼い主を狙撃され
ワンコはその場を逃走。たった一人で復讐の捜査を開始します。
ところが、その捜査は見た目を武器にしたハチャメチャなもので、
(ゴールデンビッチとよばれるのも無理ないです)警視庁大迷惑。
実は本人自身が極秘扱いのためついに捕獲命令が下ります。
その命令を押し付けられたのが、お相手の灰原大悟
CIA仕込の精巧な射撃能力を持っていますが、
ある事情で公安のワケアリ班にくすぶっています。
ワンコは人を食った性格ですが、主を殺された悲しみや、
敵をうちたい必死さが伝わってきて、大悟ならずとも
手を差し伸べたくなります。
大悟もトラウマ持ちですが、前2作の二人より扱いやすそうな男です。
いいカプだと思いました。
二人がCIAやらロシア人スパイやらその他いろいろ巻き込んで
追いっかけっこの末くっつくのを応援しながら楽しむお話になっています。
二人とは別に、大悟×同僚の笹谷もLOVE抜きでおいしかったです。
男たちの友情っぽいのをチラ見するのもいいですね。
このシリーズの第一弾智重×しのが大好きなので、まだまだ続いて欲しいです。
願わくは智重×しのは竹美家ららさんのイラストで 今回もいやじゃないけれど。
相変わらずそこここで読解に苦しむ独特なリズムの文章です。
でも慣れてくると、ああワンコシリーズを読んでるんだなと
この世界に帰ってきた気がする不思議な引力を持っています。
がんばって(?)読むといろいろ仕掛けもあり、面白いですヨ。