続き物の第2巻です。
タイプがまったく違う二人が、社交ダンスを通じて徐々に強く惹かれ合っていく様子を魅力的に描いた作品です。
舞台は社交ダンス界、主人公はラテンダンサー、お相手となる人はワルツ等に代表されるスタンダードのダンサー。ダンスのタイプそのままに、主人公は大胆でワイルドで男らしいセクシーさをもった直情的なタイプ。女の子はくどきたい典型的なラテンの男です。
反対にお相手は、少し複雑な性格でちょっと意地悪。そして高飛車。ストイックな性格だけど真面目というのとは違い、いわゆる「いい性格」といった印象です。
関係性の重要なポイントは、種目は違えども、いわゆるライバル関係に似た雰囲気があること。また、性格がまったく違う故の反目、そして逆に惹かれてしまう部分があること。どちらが攻め・受けでもおかしくないような雰囲気。こういった関係性が好きな方にはたまらない作品だと思います。
1巻までは恋愛よりもダンスを主題としたストーリーがメインに展開されてきましたが、2巻に入り、ようやくBL要素が見えてきました。BL的展開はもちろんのこと、ストーリー部分にも十分厚みがあり、社交ダンスの世界を楽しみことができます。
現時点で受け攻めはまだはっきりしていません。多分主人公が受けなのかな?という雰囲気はありますが、逆になる可能性もあり、どちらでも楽しめるという方におすすめしたいです。
男らしい体格同士、女性的でなく男性的なセクシーさと積極性を持った受けが好き、また、どちらが攻めかわからないようなリバっぽい雰囲気が好きな方にはとにかくおすすめ。
萌えとストーリーとボリューム感をすべて満たす商業作品と出会うのはなかなか難しいですが、個人的には、キャラ設定が好みな上に、ストーリー展開や社交ダンスの要素も楽しむことができ、ここ10年くらいで1番萌えた商業作品でした。
攻めは、浅黒い肌で体格がよいネイティブ・アメリカンな男前。さっぱりとした性格だけどいちゃいちゃ好きっぽいわんこなかんじ。ストレート。
受けはプラチナブロンドできれい系。ちょっとツンだけとエロいことにはそれなりに積極的。童顔。ゲイ。リバっぽい描写あり。
もともとストレートの男が、運命めいた絆により、男を愛するようになるっていうのがポイントの話だと思われます。
雰囲気が洋画っぽいところが特徴です。作者がアメリカ人の方なのであたりまえではあるのですが、ちょっとした文化や行動様式とかが違うため、まるで洋画を見てるような雰囲気を感じられたのが、個人的にはとても楽しめました。
ただ、作中のアメリカンジョークはあんまり笑いどころがわからなかったけどw
また、この話が特別なのか、他もそういうものなのかはわかりませんが、愛情表現や恋愛のあり方が日本のBLよりストレートでオープンな印象を受けました。
話の筋は、日本の一般的なBLよりエロが頻発するものの、基本はストーリー重視。
アメリカ映画では、トワイライトなどをはじめ狼男を題材とした話がよくありますが、多分作者がそういうのに萌えて書いたんだろうなという気がします。
多分あるある設定だという気はするのですが、作者が設定萌えしているんだろうなということが伺え、そういう部分に凝った作品が好きな自分は好感が持てました。
話はとても楽しく読めましたが、カップリングの攻め受け設定がそれほど好みでもなかったので☆3つの「萌え」評価としました。
さっぱりわんこ系男前攻めと、きれいめで気の強い受けが好きな人は、すっごく楽しめると思います。ただしリバるので注意が必要ですが。。
一番書いておきたかった要素ですが「これはもしかしてスピンオフになるのでは…?」と思われるカプが作中で発生するということです。
そして、おそらく受けになる人が、根性悪の乱暴もので男前系の見た目といった人物。
性格の悪い受けが大好物の私としては、そのカプが続編で描かれることを非常に期待しています…!
性格悪い受けが好きな方は、とりあえずチェックしておくとよいと思います。
こちらで中立評価が続いていたので覚悟して読んでみたのですが、受け攻めの設定が自分にとって萌えるものだったため、とても楽しく読めました。
ただ、「展開が早い」「いきなりのエロに置いてけぼり」「ご都合主義すぎ」などの評価が出るのも理解できるな、とも思いました。
そもそものテーマが「淫魔」というところでエロが多いだろうというのは想定の範囲内だったのですが、通常のBL小説に比べるとエロに入るタイミングが30ページくらいは早い印象でした。そしてエロ重視なのかと思えば、ねちっこいわりにあまり密度を感じられない。わりと細切れに入っているからかもしれません。
また、読ませる系の話ではなくトンデモ設定のライトな話なので、ストーリー練度に期待するとがっかりするというのもあるかと思います。特に恋愛模様の描写が少ないので、そのあたりに物足りなさを感じます。
個人的にはこの作家さんの文章のテンポが合うようで、楽しみながら読むことができました。なんだかんだと言いつつもBL小説での評価の最大基準は「自分にとって受け攻めが萌えるかどうか」というところ。これによってストーリーのアラが気になったり、逆にまったく気にせずに読めたりすると思います。
口が悪い、男っぽい、さらっとした性格の受けが好きな人におすすめ。読んで間違いなし。
ともあれ、外見は比較的きれいめのおっさんのようです。攻めは、無口で真面目だけど独占欲がしっかりあるタイプ。がたいがよくて侍系の外見。年下らしい可愛げも感じられます。萌ポイントは、攻めの嫉妬・無自覚にもてる受けというあたりかなと思います。
同シリーズの続刊があるみたいなので、購入したいと思いました。
設定が変わっているので期待して読んでみたのですが、残念ながらあまり合いませんでした。
受けがジャストな好みではないため、のめり込むことができなかったというのもあってか、普通よりもいろいろアラが気になってしまいました。そもそも、作者さんの文体も合わなかったように思えます。。
まず、キャラクターの容姿や性格の描写にしょっぱなから1ページほど費やすというところが受け入れられませんでした。そういうのは物語の進行のうえでさり気なく語ってほしいです。親切といえば親切ですが、あまりにも説明的にすぎるように感じました。
そういったひっかかりがあったため、所々の突っ込みどころが気になって仕方ありませんでした。
物語の進行上必要な展開や設定についても、BLでしかもコメディという娯楽作品だとは言っても、もう少しなんとかならなかったのか……と思ってしまいました。
攻めは色気ある中年オヤジなランプの精。男くさいセクハラ気味なおじさんですが、ワイルドな男前という設定。受けは、作中で何度も何度も昼行灯と称されているとおり、ぼんやりとした人柄の善人。一見地味ですが、バランスの良い整った顔立ちという設定。敬語気味なキャラクターです。
全体的なお話としては、いわゆる「よくある」かんじの話ではなくて珍しいタイプのお話で、展開もサクサクとテンポがよく進みます。おそらく萌えるポイントや文体が合うとすごく面白い作品なんだと思います。
それだけに、自分にはあわなかったことが残念でした。
「ウサギの王国」のスピンオフ作品です。私は前作を読まずに単体で読んだのですが「前作はこんな展開だったんだろうか……」としばし考える部分はあったものの、概ね問題なく読むことができました。
あらすじのとおり、主人公である受けがうさ耳の人が住む島にトリップしてしまうという話です。
コメディ要素が強いのですが、BLらしいラブっぽい雰囲気もちゃんとあって、とても楽しく読めました。また、異世界ものらしい数々のトンデモ設定についても、個人的には違和感やストレスを感じずに受け入れることができました。オリジナリティのある異世界設定で、ねりこんでるなぁと感心させられました。
受けはいまどきの普通男子。描写上では「普通」と言いつつ「普通じゃないじゃん」というキャラ設定であることが多いものですが、この受けは本当に普通の男の子というかんじ。比較的身長が高めで、やや目つきの悪い普通顔という設定です。かわいいかわいいした受けが苦手な方でも大丈夫なタイプの受けだと思います。
攻めは強面設定。絵柄上そこまで強面には見えないですが、作中では「山賊のような」と表現されるような容姿。ややぶっきらぼうな喋り方ながら、反応がうぶいのがかわいいポイントかなと思います。
攻めと受けとの関係は、比較的対等。萌えポイントは体格差ではないかと思います。トリップ先の異世界では、住人の身長が2m近くあるという設定なので、高身長の受けでも小柄になってしまうのです。
やや残念な点は、攻めが受けに矢印を出している理由をもうほんの少し作りこんで欲しかったなぁというくらいでしょうか。
個人的には気になりませんでしたが、もしかしたらご都合主義的に感じる方もいるかもしれません。
と後書きに書かれていた本作ですが、まさにその言葉のとおり、リラックスして楽しめるお話でした。
鬱なエピソードはなにひとつなく、物語はさら~っ流れるようにと展開し、でもちゃんと山あり谷ありエロもありの計算されたストーリー。作者さんの意図したとおり、なにも考えずにゆるりと楽しめる作品だと思います。とても読みやすい。
受けはおおざっぱに言うと強気女王様というような性格で、きれいめでかっこいいタイプなのですが、いかんせん素の部分はバカともとられないレベルで世間知らずで純粋。その点のバランスをとるのは難しいものだと思いますが、本作の受けにおいてはギリギリのところで「こんなやつはいないだろう……」というのを免れているのではないかなと思います。
攻めはガタイがよくて世話焼きの長男タイプ。生活能力のない受けについつい世話をやいてあげたくなるという性格。大事なことですが、年下攻めです。
「片付けられない受け」と「定期的に男をもふもふしないと辛抱たまらなくなる攻め」というのはあらすじのとおり。
受け攻めタイプの好みについての個人的な感想として、「まぁ嫌いではないタイプの受け」と「結構好きなタイプの攻め」という微妙なところなのですが、作品自体のクオリティが高いので十二分に楽しむことができました。
属性がストライクでない方でも楽しめる作品だと思います。
本作の見どころは、受けに対するギャップ萌え。普段は比較的ツンとした人柄なのに、実際はわりと真に受けやすい純粋なタイプで、エロに対する知識が疎い点。またエロシーンにおいて、普段は世話焼きなタイプの攻めがややS気味になるのが萌えどころかなと思います。軽い言葉責めが入ったりするので、普段は受け上位、セックスの場面では攻め上位という関係性が好きな人にはおすすめです。
重苦しいタイプのBL本を読むとき、あいだに挟んで読みたいタイプのお話だと思います。
今のところマイベストBL本。
6つのお話が入っていますが、ひとつとして捨話はないと思っています。
絵柄やストーリー展開などで好みはわかれる部分はあるかなぁと思う作品及び作家さんですが、個人的にはなかなかこれを超えるものはないというくらいの神作品です。
受けも攻めもみっともなくてバカみたいだったりふざけすぎてたりするんですが、それ故に根っこの部分のシリアスで痛々しい感情の描写が生々しく感じられ、キュンキュンします。
コメディ部分とシリアス部分のアップダウンが激しく、息もつけないかんじがとても良いです。
レビューでは、受け攻めの傾向を書いていこうと思っているのですが、そんなものはもはや関係ないくらい素敵な作品です。
攻めはかっこよく、受けはかわいいめという基本はあるものの、どちらもどこかで崩れていて突っ込みどころのあるかんじ。そんなシーンは画面の枠でしろよ!と言われかねないようなの素な一面も描写しているところが個人的にすごく好きです。
全体の傾向として、性にたいしてあっけらかんとした感じの受けが多いです。そして登場人物は、定職についていなさそうな人が多め。特に本作は90年代チーマータイプの不良文化というか、そっち方面のアウトローな雰囲気が強いので、そういうのがお好みの方におすすめ。
1999年の作品なので、服装だとか空気感だとかに90年代の雰囲気が現れています。90年代好き・懐かしい雰囲気に浸りたい人におすすめ。かといって「古くさい」というかんじはまったくしないと思います。
主観によるざっくりとした表記の仕方ではありますが、傾向としては以下のようなものになるかなと思います。
■ESCAPE
大人びた不良×ちょっとすれたボンボン
■ソウルフルチェリーボブ
チャラく見えて純情な年下×それなりに世慣れた強気
■何処へも帰らない
ヘタレ小説家×白痴ショタ
■明日どうやって笑えっちゅーの
寡黙無口×ちょっとスレたエロ漫画家
■昔の名前ででてんじゃねーよ(上記の受けが再登場)/■LOVE & CATASTROPHES
自信過剰なアウトロー系自由人×ちょっとスレたエロ漫画家
表題作は、面倒見がよくて包容力のある受けとドジっ子な攻めのお話です。
受けはかわいらしいかんじの外見ですが、ちゃんと男の子っぽくしっかりしたタイプ。包容力があって、優しいです。仕方ないなといっていろいろ許してくれそうな人柄だけど、「自分」はしっかり持っている。
攻めは見た目がかっこよくて寡黙クール風なのに、実はドジで思い込みが激しく、頼りないタイプ。おまけに口下手。一途で独占欲が強いところがあるようです。
ちなみに二人は幼馴染。このような要素にときめく方におすすめです。
登場人物のキャラクターについては、「よくあるかんじ」といえばそう言えなくもないですが、細かな設定がちゃんと作りこまれていて独自の要素があり、そこが魅力的でした。
恋愛までの過程を、重すぎない程度にさらっと描いており、気軽に楽しめる作品だと思います。
なにより良かったのは「これは作者さんも萌えていて楽しんで描いてるなあ」と思えた点です。そういう作品なので、キャラクターや話にも魅力を感じられたのだと思います。
個人的に特に萌えるタイプの受け攻めではなかったのですが、お話の完成度が高く楽しめたので「萌え」評価にしました。
カプ傾向がはまる人にとっては、「神」評価にもなる作品なのではないかと思います。
他の方もおっしゃっているとおり、表題の「カナさん」が出てくる話は1話のみ、あとは同設定のお話が3作、短編が2作収録されてます。
個人的にカナさんの性格が好みだったので、萌え作品としました。
掴みどころのなく、さっぱりした性格の受けが好きな人におすすめ。カリスマ性のあるタイプなのですが、それを表現するのが上手だなと思いました。懐かないかんじとややデレたときのバランスが良かった。
攻めは朴訥とした雰囲気だけど、トロくはないタイプ。
全体を通しての感想として、現代の風俗が比較的リアルに描かれているところが好みでした。また、脇役などの登場人物も、ちゃんとキャラクター設定があるんだろうな、 というところもお話を魅力的にしていると思います。
BL要素は薄め。一般的なBL作品よりも群像劇みたいな要素が強いように思えます。
そういうのは一般向けの作品で楽しみたい、という方には少し不向きかなと思いました。
本作は「恋する丸メガネ」という作品のスピンオフ作品です。
読み進めるうちに「?」となる部分があったので、私は前作も購入しました。
コメディタッチの作品で、ライトなノリです。重くないお話を気軽に楽しみたいときにおすすめです。
個人的に、受けの性格がとても好みなので、それだけでも楽しめました。
女々しくない、いわゆるBLの受けっぽくない、性格が悪い、主人公をいじめる端役の小悪党のようなかんじのイケメンが受けで、そのあたりにひっかかる方にはおすすめです。
残念な部分は、全体的にあまり掘り下げられていないところ。
特に攻めが受けのことを好きになった経緯については、もう少し掘り下げてもいいのでは、と思いました。
ラブコメだということを差し置いても、もう少し動機づけがあったほうが盛り上がったと思うので、残念です。
また、BLのキモであるロマンス要素もちょっと薄いかなあと思いました。
そのあたりをさらっと描いてるのは、裏を返せば魅力のひとつでもあると思うのですが、個人的好みでいえばもう少しラブってほしかったなと思います。
とはいえ、それらの問題は、作者さんの実力というよりはページ数的な問題に思えました。
この後、もう2.3話分ページ数があったらもっと面白くなるのではないかなと思うので、続編が出たら読んでみたいです。