Xでカバーイラストとあらすじが流れてきたのを見て、絵も綺麗だし面白そうだと思って電子版を購入。
1ページめくって
著:桂 訳:さわめぐ
とあり混乱しました。
購入するまで、海外作品の翻訳物だという情報を目にしていなかったので。
※Xで見た“今日の発売作品”を紹介する某書店の作品説明にもその情報がありませんでした。
漫画アプリで縦読み作品も数多く読んでるので、海外BLに抵抗はありません。
ただ、カバーに原作名(我的助理男友)も翻訳者の名前も記載されていないのは、作者様にも翻訳者の方にも、そして、コミックス派の読者にも誠実ではないと思いました。
フォロワー100万人越えの不動のNo.1インフルエンサー(伊織)とそのアシスタント(武実)の物語です。
翻訳モノのせいなのか、元々がそうなのか、とにかく文字が多い多い。
読み進めていくと作風に慣れてはいくのですが、セリフ、ト書きと説明につぐ説明で、特に2人の出会いから現在に至るまでも文字で済まされている、そして、分かりにくいのも残念でした。
物語は武実視点、そして伊織視点で進んでいきます。冒頭に文字でガーーーーーーっと説明されている2人の過去も徐々に明かされていきます。
伊織の性格が、ワガママというかオレ様というか女王様(なのか?)で、しかも私生活もとんでもないので、普通なら受け入れ難いキャラのはずなのに、そういう設定にしてあるのは、ちょっと興味深いです。そんな人物だと日本だと即炎上して終わるよと思うのに、目を瞑られるのは不思議ではあります。
伊織は、あとがきにあるようにどんどん可愛くなっていきます。
次の巻も含めて、それぞれの過去や伊織の変化など伊織への思いから発展する事件など、見どころはたくさんあります。
海外翻訳物だったり、スピンオフだと避ける人がたくさんいるとは思います。
あらすじ、カバーイラストから読んでみたいと思う人はたくさんいると思うんです。それだけに買ってから、マジか…となることがないよう出版社にはお願いしたいと思いました。
なにが2人を同じ時代に、同じ年齢に転生させたのかがイマイチぴんと来なかった。
「もしも生まれ変わってまた会えたら 次は俺があなたを幸せにする」
この“隊長”の言葉が2人を引き寄せたのは分かる。
が、そこまで拘束力のある言葉であったのか、よく分からない。
まず、2人の立場がよくわからないのだ。
“殿下”と呼ばれている彼。“殿下”とは王族への敬称だと思うが、“貴族様”と陰で言われている上、街へも護衛付きであるが簡単に出ていっている。それなのに“隊長”と呼ばれる人物に警護されているのだ。
それなのに、隣国の姫の元に婿に行く。
ささいなことかもしれないが、王家の末端なのか有力貴族の出身なのか、はたまた王子なのか、“体調”との身分の違いがハッキリと分かるようにして欲しかった。(そもそも“団長”も“隊長”だったり“団長”だったりよくわからん)
※のちに“陛下”と呼ばれているので“王配”か?“君主になる”と言われていたが、婿養子の身なので流石に王はないだろう。
転生ものというと、愛し合っていたのに引き裂かれた とか 道半ばで倒れた とか、そういう物語が多い。
まず“殿下”。世間知らずの坊ちゃん扱いをされていたり、隠れて泣いていたので、思ったような生き方ができていなかったのかもしれない。婿入りする道中で暗殺されてもいないし、婿入りした先で子どもにも恵まれているし、描かれている範囲では夫婦仲も悪くなさそうに見える。ましてや迫害されてもいない。
“隊長”が女性と一緒にいることを知っても、“安らげる場所を見つけた”のかと思っていたし、割とあっさりと彼を解放した。執着心もあまり見られないように感じた。
酔った時にキスを自分からしていたが、“隊長”への想いは家族に対してのものなのか恋心なのかはっきりしない。
彼の人生が不幸だったとは思えないのだ。
次に“隊長”。自分の世界の全てが“殿下”になってしまっていたとの記述や、“愛してるの言葉や”妻と子どもと一緒にいる殿下の姿を見て荒れていたので、彼に対して並々ならぬ感情を持っていたのは分かる。が、“陛下”から解放されてから彼がどうなったのか全く分からず、どう思いながらその生涯を終えたのか分からないのだ。
転生してからお互いが相手に執着しているのは分るし、おそらく前世も愛し合っていたのであろう。
全てを激しくあからさまに描く必要は全くないのだが、“隊長”が誓った言葉が来世に2人を巡り合わせるほどの拘束力があったことが分かるエピソードが欲しかった。
また巡り会えてよかったねと心から思いたかった。
ゆっくりゆっくり悠馬の気持ちに律の気持ちが追いついていって、やっと本物の夫夫になれました。
1巻で注文していたベッドがようやく届いたんだけど、置くのそこ!?とw
そもそも偽装結婚なワケだし、悠馬と律の部屋は別々にあると思っていたので、まさかこれまで寝ていた優馬のベッドの横にシングルベッドを置くとは思っていなくてビックリ。
あれ?新居は1LDKだった!?と思って1巻を読み直してみたら、ちゃんと律用の部屋存在してました。
なんでそっちに置かなかったんだろ。
一人寝が寂しくても、エッチなことがしたくても律の性格上、悠馬のところに来そうにないからですかねぇ。
本来の部屋で寝るようにした方が、より律も寂しく感じたし、どうやったら側に行けるかも考えるだろうし。喧嘩したり、感染る病気になることもあるか、部屋は別々の方が自然だったと思いました。
2巻で登場した当て馬の高坂。「高校卒業してから会ってなかったのに会社で再会したから運命かも」なだけで律を狙うのはちょっと不自然なので、せめて淡い恋心を抱いていた設定にして欲しかったです。
欲を言えば、もーっと律の幸せいっぱいの笑顔や、悠馬にとろとろにされてるところを見たかったです。
髪の表現にかなり癖があり、好みが別れるかも。
読み進めていると気にならなくなるので、序盤に“絵が…”と思っても最後まで読み進めて欲しい作品です。
プリテンダー=詐欺師
好きな人に好きになってもらいたい、仲良くなりたい。ずっと仲良しでいたい、好きでいてもらいたい。
そのため、情報を仕入れて、嫌いなものを好きといい、知らないものら予習をして、苦手なジャンルも好きという。そして年齢まで偽って。
本当の自分を隠し、相手の好みの人物になりきる。
そういう“詐欺師”さん。
千春と一緒にいたいから直(すなお)は本当に頑張るんです。
そんな直をどんどん好きになる千春。
そんなに上手く騙せるの?千春さん、そんなに簡単に好きになっても大丈夫なの?
と、思っていたら…千春の好きな自分は“偽りの自分”であることに罪悪感を感じ始める直。
最悪な事態に陥るのでは!?と思っていたら…
実は、騙されていたのは直の方でした。
自分を偽っていたのに気付いていたと。自分のために頑張ってくれていた直に惹かれたと。
千春の方が一枚上手でした。
直の好きなものもちゃんと受け入れてくれる千春さんでした。
よかったね、直。
と、実際のところ思いませんでした。
入院した時に年齢から芋蔓式に嘘がバレるのかと思ったら、そうはならなかったのは素敵な展開だと思いました。
自分のために無理をし続ける直を千春はどう思っていたんでしょうか…直が耐えられなくなって告白するまで気付いてないふりをし続けたんでしょうか。
帯に“嘘つきはどっち”とありますが、千春が気付いてる風には見えなかったので、無理を続けている直に対する罪悪感をもっと見せて欲しかったです。
そこが残念です。