友人に勧められ、コミカライズ版から読ませていただきました。
私自身小説のBLは読んだことがなく、初めて読みました。一般的な小説のように堅苦しい感じのように想像していましたが、読みやすい言葉運びでとてもスムーズに読むことができました。
コミカライズ版と大方の流れは同じでしたが、文庫版の方が少し詳しく載っていました。
個人的に同僚の福田が好きではなかったので、その彼女があまりいい女性ではなかったというのが載っており少し嬉しかったです。
この作品を読み思った感想は、リアルだな、ということでした。
私が今まで読んできた作品は、松岡が男と打ち明けられたとしても受け入れてもらえるようなフィクション味が強いもので、それはそれで面白いのですが、現実離れしすぎているので、現実なら寛末のように受け入れることができないんだろうなと思いました。
松岡は女装していたという嘘をついていましたが、嘘だと打ち明け自分とまた一から関係を築いていって欲しいという願いに、寛末さんが受け入れることができなかったのも理解できます。
実際、私自身がストレートなので、偏見は無いですが、同性の方を受け入れるとなると自信はないからです。
そのため、その部分では寛末さんの気持ちは理解できますが、再会して、彼女もいるのに、松岡のことが気になると言って彼女をそっちのけで行動しているのをみると、本当に30代半ばなのかと感じました。本能で動きすぎだとも感じました
だからその後の松岡の
お願いだから 俺が寛末さんを好きだってことを、逆手に取らないで
にとても締め付けられました
どれだけ振り回されても、松岡は寛末が好きなんだと強く思わされる反面、寛末はそうしてまで松岡を引き止めたかったというのが伝わりました
物語が進まないと言われれば終わりですが、別れは最悪で、再会すれば自分が深く傷ついていた間に彼女ができており、忘れようとしても気になるからと近づいてくる寛末に苛立ちを覚えました
相手の気持ちになって考えることはできないのかと
寛末に嫌悪感を抱きながら、健気な松岡の幸せが少しでもいいからみたくなり、愛しいことを読みました
今までは絶版になり、手に入れることはできませんでしたが、電子で愛しいこと、愛することが配信されると決まったので、ぜひ美しいことを読んだ人全員に読んでもらいたいです。
攻めの獅子ヶ谷は半獣でありながら、アルビノでもあります。
(個人的な話ですが、アルビノ好きなんです笑)
そこからポイント高かったんですが、ガリ勉のくせしてヤリチン。なのに同室の発情期もまだきていない童貞黒斑にどんどん惹かれていって、気がつけば女では勃たない!
受けの黒斑も発情期がきたのに、女では勃たない体になってしまい、勃たせる練習として称して獅子ヶ谷と関係を持ちますが、自分の気持ちには気づいていません。
でも、関係を断つと言われて、やっと自分の気持ちに、、
ありきたりなストーリーだとは思いますが、獅子ヶ谷の赤面がかわいくて落ちました。
また、発情期の本能のまま行う行為が個人的に好きなので、レイプまがいではありましたが、とても萌えました。
全体の感想として、上巻のレビューでも書きましたが、下巻も"綺麗"という感想です。
ですが上巻とは異なり下巻では儚さを伴った綺麗さがありました。
下巻は千代森視点のお話でした。
自分のものに手を出したとして、千代森に折檻されているという痛々しいシーンから始まります
芳野も伊月もお互いを思い、自分の方を罰してくれと懇願する姿は愛でしかないんだと痛感しました。
千代森は愛してやまなかった相手と生涯を共にすることが叶わず、寂しく、虚しい日々を過ごしている中で、愛しい人に似た伊月と出会いました。
千代森の中で伊月に求めてもらえることは結城に求めてもらえることと同義だったと思います。
だから、自分とは違う相手と幸せになろうとしているのが、再び捨てられたようで、苦しくて、伊月を責めている言葉は、結城に向けて叫びたかった言葉のように感じました。
その後いろいろあり、千代森は田舎に、伊月は家督を継ぎ、芳野はその元で支えるという展開になりました。
(静岡にいこうと芳野に誘われた時の伊月がただただ可愛いかったです、、、
また、主人だったためというのもあると思いますが、両思いになれてからは芳野の後ろに隠れたり、笑顔が無邪気で、年相応の行動がみれて幸せでした、、)
田舎で暮らしていた環の元には忘れたくても忘れられない結城がやってきて、2人の視点からの回想シーンが見れます。
環の視点の回想シーンで、環に感情移入をしすぎて、結城が子供が産まれたと伝えにきたことがとても腹立たしく感じました。なぜ、わざわざ直接?爪剥ぎをした仲で、お互い言わずとも少しはわかっていたのでは?また環を傷つけるのか?と。
でも、結城視点の回想シーンで、先に想いを募らせていたのは結城の方だったと、一目惚れだったとわかりました。
子爵の家ということもあって、同性愛は受け入れられず、子供を成すことが使命という当時の考えがひしひしと伝わってきました。
環を傷つけた 君も幸せになってくれ の言葉は環と幸せになれなかったことを押し殺して伝えたことで、環を忘れたことは一度もなく、これまでずっと好きだったことも知れ、パーティーを開くため開いた名簿にある、環の名前を見て、責務を果たせたことから心が緩み心の中で本音が吐露されていくシーンで、本当にお互いがお互いを思い合っているのに、結ばれることができなかった2人をみて苦しくなりました。
その後、結城の子供の写真を見たあと、やっと伝えることができた環の想いに涙が止まりませんでした。
2人の子供を作ろうという結城の提案に馬鹿げているとは分かっていても、それに縋りたい環。
お腹が痛くても、出したくないと繰り返す環は愛らしかったです。
流産だったという環の言葉に結城は初めて言葉で環に想いを告げて、子供がいなくても2人きりでもきっと楽しいという結城の言葉は夫婦のようで、2人が何もしがらみもなく結ばれていれたらよかったのに、と酷く思わせる言葉でした。
結城は妻子持ちで、仕方のないことといえばそうなのかもしれないけど、結局は不倫になってしまうため、腐れ外道なんだろうと思い、辛い運命だと感じました。
情夫になることになってしまった伊月にこの言葉で表現するのはどうかと思いますが、ひたすら綺麗でした。
もともとビジュが私好みというのもありますが、芳野に自慰をしてもらったあとの月夜を背に踊っていたシーンがとても綺麗で息を呑む美しさでした。あれは昼間に見た芳野の踊りを思い出して、自分と踊っているようにしていたのかなと個人的に思いました。
伊月も芳野もお互いが好きで、両片思いのような状態でした。
伊月は自分には抱くことしかできないと思っており、一方、芳野は伊月を抱くものたちと一緒になりたくなくて抱かずにいました。
結局は上巻で、お互いの気持ちが通じ、結ばれることになりましたが、このお話はこの2人の話だけではなく、結城子爵と千代森の2人の話でもあるのかなと感じました。
それは下巻を読めばわかるので、楽しみです。
さっそくこれから読んできます!