主人公の能天気さ(「考えるアホ」に笑いました)に引っ張られてどんどん読み進みますが、こんな背景背負っている主人公、他でも見たことある感じ。
こんなストーリー展開、他でも見たことがある感じ。
だから神評価はつけられなかったのですが、少年漫画のようなキャラクターたち、純粋な主人公二人、友人・先輩・親・先生など脇キャラもしっかり立っていて、伏線もスッキリ回収。
中でも、突っ走り気味の主人公にうまい具合にツッコミを入れる友人二人がいい仕事をしています。
二人ともなんて優しいんだろうと感心することしきり。
親子の関係までスッキリ回収するとは思いませんでした。
あとはひたすらバカップルを続けるのか?
先も少し気になりますが、先の話を読みたいと思うより、ドラマCD出して欲しいという欲求が高まっています。
演技のシーンがあるので、面白くなると思うんですがいかがでしょうか?
大変久しぶりにレビューしたくなりました。
当初表紙を見て、こんな可愛らしい少年たちの話では、典雅さんの面白さが出しにくいのではないかと思ったのですが、そこは問題なかったですね。
しかし、評価がマイナスになった理由がそこにあります。
私としてはもう少し大人な感じのイラストでお願いしたかったなと・・・
内容に関しては他の方が書かれているので、いつも私が典雅さんに期待している『道徳的』な部分について少し。
二人で浴室から帰る時の会話が、192~193ページにまたがってあるのですが、男前な受くんが攻くんに求める恋人像に、うんうんと頷くばかりでした。
それから、端々にドイツ語やクラシックの名曲が出てきます。
ドイツ語は、注釈付きなので私にとっては邪魔にもならず、楽しめました。
攻くんの脳内に度々流れるクラシックの名曲が、BGMですぐに流れてくれたら申し分ないと思いました。
とにかく、嫌な人が出てこないので、典雅さんの小説は癒されます。
あとがきでも書かれていますが、『読むと和んで元気になるビタミンBL』を今後も期待したいと思います。
仕事は出来るが子持ちでダルダルな魔性(ここ重要)の探偵・川崎がある日拾った酔っ払い・田村に押し倒されちゃって・・・
前半は、川崎に惚れ込んだ田村(リストラサラリーマン)が、ストーカーのように付きまとい、どうにか気に入られようと頑張るお話が中心です。
性格も外見も、仕事ぶりすら申し分無い田村が、なぜリストラにあい次の仕事先がなかなか見つからないのかは後々分かってくるのですが、とにかく前半は、大型忠犬田村に、だめだだめだと思いながらもどんどん惹かれていってしまう“良き父”であろうとする川崎の懊悩が楽しめます。
そんな反面、仕事で失踪者の捜索に関わるお話も平行して語られます。
後半は主にそちらの話が中心で、命に関わるほどの事件に巻き込まれていくのですが・・・
田村の二面性にクラクラし、川崎が自分の気持ちに蓋をして父親であろうとするところに感動し、ただのヘタレワンコ×ツンデレオヤジではないお話が読めました。
それにしても、そんなところに伏兵が・・・だったので、なんだか悲しくもなりました。
近々アパートを追い出されバイト先のコンビニも閉店することになって途方にくれている天涯孤独のソラのところに、亡き祖父に世話になったお礼と言って高梁という投資会社社長がやってきます。
彼は、遠慮するソラにたたみかけるように、自宅での同居や仕事の斡旋をしてきます。
戸惑いは感じながらも、背に腹は変えられずその誘いに乗ったソラは、高梁との同居生活を始めるのですが・・・
せめてものお礼に家事をこなすソラと、少しずつスキンシップが濃厚になってくる高梁。
次第にソラは高梁の手練手管に篭絡されていくのです。
ところが、ある人物に、高梁がソラに近づいた本当の理由は他にあると知らされて・・・
展開としては、シンデレラストーリーにちょっとS気味な攻というスパイスを効かせたお話なんだなと思っていたのですが、後半はサスペンス仕立てという、まるっきり違ったテイストの展開となりました。
拉致監禁あり、アクションあり・・・そういう意味では一冊で二度楽しめるお話ですが、私としてはどちらかに絞ってじっくりと展開していただいた方が嬉しかったなと思います。
ちなみに、投資会社の仕組みが垣間見られたのは勉強になりました。
高校時代からの恋人であるはずの義隆と喬一の、俳優とカメラマンになってからも続く恋の駆け引き(?)のお話でした。
いい男で俺様で、よくモテて飽きっぽくて、知らないうちに俳優になっていた義隆。高卒と同時に義隆に告げずに渡仏し、時々帰国してはスルリスルリと義隆の腕から逃げてばかりいる喬一。
初めのうちは単に、美人でしたたかな喬一(受)に手のひらの上で転がされている、俺様な割に間抜けな義隆(攻)の、エッチ重視のお話なんだと思っていました。
そうでなかった訳ではないのですが、お話はもう少し複雑で、思いっきりひねくれている喬一に義隆のみならず、読者までもが振り回されちゃったと思えるくらいの展開になります。
喬一はよくもまぁ次から次へと“マイナス”なことを考え付くものです。
この頭の回転をもっと他に使えばいいのにって思っちゃうくらい、先読みして予防線を張り、それが破られそうになるとさらに次のことを考える・・・
Mが痛めつけて欲しいから、わざとSの気に入らないことを仕掛けるってやつです。
いたちごっこでしょうか?
まぁ、夫婦の倦怠期もマンネリから始まるのでしょうから、何かにつけ危機感を持ちながら生きていくのは結構なことじゃないかと・・・
夫婦喧嘩は犬も食わないって言いますから・・・
ちなみに、2話目の「解放の呪文」に出てくる薫くん。
いいひと過ぎるのですが・・・せっかくいいキャラなので、当て馬にするだけではもったいなかったなと思いました。
これだけ長いお話で、最初から積読にせずきちんと読み続けているのはこれくらいじゃないかしら?
正直、登場人物紹介ページを3倍にしていただいて、人物全員の紹介ととその相関図をお願いしたいところです。
ラウルとヤン、海斗と和哉、ジェフリーとナイジェル、それぞれの場所での展開が描かれています。
海斗やジェフリーとまるっきり違う次元で行動しているラウルとヤンですが、少しずつヤンの背景がはっきりしてきたので、
一番気になるのは、この後ラウルとヤンがどんな事件を巻き起こすのかというところです。
一方海斗は順調に回復しているものの、ジェフリーのことが気になって仕方がないので、和哉のサポートを得て現代で彼の足跡をたどろうとします。
必死な海斗を過保護なくらいに支える和哉の、片思いとも言える気持ちがこのあとマイナスに働かないで欲しいと願うばかりです。
とにかく和哉は、今のところ全く悪いことをしていないのに、どうも貧乏くじを引いてばかりいるような気がしてなりません。
かといって、和哉の気持ちを大事にすれば海斗とジェフリーがハッピーエンドになれないし・・・
ほんと、どこがどうなっていくのか未だに予測がつきませんよね。
ジェフリーは拷問に耐え、生き延びてはいるものの瀕死であるのは変わりません。
ナイジェルやキットの努力で道は開けたように見えるのですが・・・
しかし、海斗の時もそうでしたが、獄吏・レイヴンは不思議な存在です。
拷問は非情なのに、根本は面倒見がよく優しく冷静で、とってもいい人に見えちゃう。
特に、悪役(?)ウォルシンガムが偉い人なのに悉く悪いイメージなので、レイヴンの評価がなおさら上がっちゃいますよ。
早く続きを読ませてね。
既刊「逃亡者」のスピンオフといってもいいのでしょうか?
こちらの主人公、大手銀行の支店長を棒に振り、息子と同年代の若い恋人・祐二と逃避行する50過ぎの男・関晃一は、「逃亡者」の主人公・関朋彦の父親です。
大きな街に行けば新しい人生が開けると思い田舎から出てきた祐二は、4年以上経っても思うような仕事にもつけず、初めは優しかった恋人も今はDV男で、自分名義のアパートにも帰れない日があるような生活を送っています。
ある日、空腹の祐二が書道展のギャラリーで、ふるまいをむさぼっていたところに声をかけてきたのが晃一です。
祐二は、恐る恐る食事に付き合い、時々顔を合わせ、身の上話をしあううちに、年の離れた友人という立場になっていくのですが・・・
おおよそ不倫などしそうもないような、真面目人間の晃一だからこそ己の人生に行き詰まり、祐二という存在に救いを求め、
体を慰めあう恋人はいても心を開ける友人はおらず、常に孤独だった祐二は初めて出来た友達に安らぎを求めるのです。
片方は妻子持ち、片方にも恋人がいて、二人が取った行動は“駆け落ち”でした。
心の中の隙間を埋めあえる存在としてお互いが求め合い、純粋な愛情で結ばれていく。
他への迷惑を考えなければ純愛を貫く物語だし、お互いを優しさで包みあう二人に、ぜひ幸せになって欲しいと思えるお話です。
ただ、祐二がそれ以上堕ちずに済んでいたのは皮肉にも元カレ・健介のおかげだし、財産を全て妻子に残してはきても、家庭崩壊のもとを作ったのは晃一なのです。
最終的に健介を振り切り、「逃亡者」にも出てきたシーン・晃一と朋彦の再会もあり、和解するわけですが、彼らの悲しみの上に二人の幸せは築かれているということを忘れてはいけないよって思いました。
願わくば、弱くて寂しがりの健介さんが更生してくれますように。
ちなみに、繁華街のはずれの雑居ビルの3階で開業している医者が「夜間診療所」の上嶋かと思ったのですが、佐々木さんだそうです。
そうですよね、上嶋は難民支援の医療チーム出身ではないし、診療所の場所も2階でした。
ホテルマン(東堂)と花屋さん(尚紀)のお話です。
お話の導入部で、背中にあこがれるという設定はなんだか新鮮だったし、気持ちもよく分かるのでいいなと思ったのですが、そのあとはホテルに花を生けに行く花屋さんとホテルマンという、ほぼ王道な展開だったし、ちょっと強引にお話がすすむ場所もあったので、評価が低くなりました。
とにかくシャイで後ろ向きな尚紀と、カチンコチンな真面目青年に見える東堂なので、あまりに言葉が足りないもどかしさでいっぱいでした。
尚紀の背景はただの花屋さんのままこのお話だけで終わってしまうのはもったいないと思えるくらいドラマが有りそうだし、東堂は別にホテルの跡取りっていう設定じゃなくても良かった気がするし、もうちょっとイレギュラーな展開が欲しかったな。
ただし3話目の、東堂目線で描かれている「この手で咲かせたい」に関しては、結構好きな展開です。
うじうじしていない分読みやすいのかしら?
(尚紀って相当うじうじしてますよね。)
つまらなくは無かったのですが、いかんせん短いのと、ほとんど子供時代のお話だったのとで萌の下止まりです。
野分(CV.神奈延年)の誕生日がらみのエピソードです。
相変わらずツンで、デレる前にきっかけを逸してしまうヒロさん(CV.伊藤健太郎)ですが、今回のメインは子供時代。
声は女性声優さん(ヒロさん:喜多村英梨、野分:白石涼子)が担当していますが、性格はそのまま(あたりまえ)です。
ふたりとも、子供の頃から聡明でいらっしゃって、なんだか疲れそう・・・って、疲れちゃったから家出したのか。
大人次元では、津森先輩(CV.千葉進歩)がかき回し役で登場する分、嬉しいようなエッチが無くてがっかりのような・・・
原作通りなんでしょうが・・・