兄弟BL×miso先生という好物のコラボにとても期待していたんですが、兄弟モノ(本作は義兄弟です)の醍醐味である兄弟であることの葛藤が希薄というか、結ばれてから親にもサラッとカミングアウトしちゃう(そして受け入れられる)ので、兄弟BLに倫理観や背徳感を求めるタイプの人はちょっと違う作品かもしれないなと思いました。
先に兄を好きになった弟の夏芽は兄を好きになってしまったことを悩んできたんだけど、酔っ払った兄にキスされてから兄が酔っ払う度にキスされることを期待してしまい、実際しちゃいます。
その日もまたそんなことになっていたのだけど、酔いが浅かったらしく弟が自分に欲情していることに気づいた兄...しかし、それに動揺する訳でもなく「可愛すぎ!」となってそのまますんなりえっちしちゃうし、そのままなし崩しにセフレみたいにセックスするようになってしまいます。
本の半分くらいまではこんな感じのノリで、私が期待したものとは違うかも...いつものmiso先生味はないお話なのかな?と思ってしまいました。
でも後半、少し空気が変わりはじめました。
ここで弟の葛藤や兄の抱えるトラウマや感情の重さが見え始め、miso先生らしくなってきたと思いました。
兄は最初から弟のことを溺愛しすぎてて、モテるのに別れてしまうのも弟が何より優先だったからだったし、置いていかないと信じられるのも弟だけだった。
読み始めは兄は恋情なのに兄弟愛だと思っていた鈍感さん?と考えたりもしたんですが、それよりはネジが飛んでるの方が近いのかも。
弟とか兄弟愛とか恋情とかいちいちカテゴライズしてないタイプのクソデカ愛を弟に抱いていて、弟より愛が重いのは実は兄の方でした。
病んでいるわけではないのだけど、心の傷を持っている為かちょっと近しい執着と狂気の片鱗を最後の方で味わえるので、そういうのがお好きな方はおいしいと思います。
私も後半の方が好みです。(首に残る圧迫の跡とか好き。)
今回は中立ですが、miso先生は読み手に考察の余地を作っている作家さんだと思います。
真意が汲み取れれば理解するまでとは受け取り方が変わるというか...なので、私が汲みきれなかったものがあるのかもしれません。
先生が兄弟BLを描いてくださったこと、読めたことは嬉しかったです。
シーモア→白短冊、カラーページあり