okerokerさんのマイページ

レビューした作品

女性okerokerさん

レビュー数0

ポイント数0

今年度--位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 小冊子
  • GOODS
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

読後は雨上がりの煌めく青空のよう

何を言うにもネタバレに触れちゃいそうなので色々語れないのは寂しいが、一途な愛のお話を読みたかったらめちゃくちゃ勧めたい、と思う作品でした。
テーマは重いかもしれないが、それゆえしっかり愛がちゃんと描かれていて、それでいて物語の舌触りはなんとも爽やか。
30代男性が猫の肉球風手袋はめて「にゃあ」と言う場面が出てくるから、いくらなんでもちょっと…と思いそうだが、最後まで読んだ時にはまさかその姿に泣かされるとは思わなかった。
ものすごくちゃんと惹かれ合った2人だったんだな、と本当に愛の大きさに泣いちゃいます。
よかった、出会えてよかった。もう一度最初から読み返すと、本当の本当に、新聞購読の勧誘の場面はものすごく味のあるものに変わる。
泣いちゃいました。愛だね〜!

花見コウ 電子 コミック

TAN 

独創的で読む人を選ぶかも

ストーカーモノです。
タイトルの「花見コウ」、合ってるか分からないけど、ググったら囲碁言葉みたいです。
「どちらか一方には負けても大した損害は無いが、もう一方には負けたら大きく損害の出る手」というような意味だそう。
おそらく完結?まで読めたので、これで納得しました。
以下はネタバレ。未読の方、大どんでん返しは無いけど、あらすじは読まずに本編を楽しんでいただきたい。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ネタバレです。
ざっくり言うとストーカーからそのままストックホルム症候群みたいな話です。

やや不気味程度だったストーキング行為ですが、割と早い段階で犯人が現れエスカレートの一途をたどります。
もうほぼ居候。主人公があまりにも受け身すぎて(多分ダメな人はダメだろうなあ…)、私生活にズカズカ入ってこられてるのに拒否できない。
コミュ力がイマイチで誰にも相談できず、自分で「まだいける、自分で解決しよう」と抱えてしまう受。そんな受が好きなので、私は楽しめました笑

決して多くはない登場人物が全員怪しく見える。
ストーカーとその友人が描き分け不十分?で似てるので、もしや多重人格モノか?と思ったけど違いました。

物語はほぼ明るい展開は無く、終始曇天のような雰囲気、綱渡りをずっと続けさせられてるような不安定感に苛まれたまま突き抜けます。
正直息苦しいですが、なぜか読む手が止められませんでした。

お互いに歪んでいて、合う歯車であるはずないのに、奇跡のような確率で歪み合った2人の人生の歯車が、ガチャガチャ言いつつも合ってしまった、みたいな感じの物語でした。

攻にやられっぱなし(本当にやられっぱなし)の受が、あまりにやられすぎて自分自身でも思いもよらない行動を起こす。
それでも攻は余裕だったんだが、さらに受のとった行動が、攻にとっては見放されたような気になり一気に形勢逆転する。
受にとって攻が今までに無い相手なのは明白だが、攻にとっても受が今までに無い相手になったんですね。
そこから急に、攻が可愛く見えてきました。

韓国の執着愛って本当に良い。
別作品名だして申し訳ないですが、キリングストーキング を思い出しました。あちらのほうがドス黒くて救いが無くてトンデモ展開なのですが笑
似てると思ったのは、攻がサイコだったのに、人格が卑屈に歪んでしまった受と一緒にいる中で、攻が最初は巻き込んだはずなのに、攻がいつのまにか受に振り回されてるようなところ。
相手を思いやるような愛など持ち合わせていなかった人間に、それに似た感情を芽生えさせてしまう受。

できればバックボーンとか描いてくれるともう少し人物像をつかめて読みやすかったかも、と思うけどそれはさておき。

色々な愛の形がある、と思わされた一作品でした。
荒削りな部分ももちろんあるのですが、それでもこの愛の話は、深みや味わいを感じて良かったです。

タイトルの花見コウ、結局、受攻、どっちが損害が大きいほうだったのかな?
攻なのかな???
そのへんも考えるのが楽しい作品でした。

現代アートシーンも学べるし色々

現代アートシーンを学べてすげえ!てのが1つ。

てかもう。語り尽くせません。

お仕事のお話が中心でエロ少なめですご注意を。
エドは糖度5000%以上でした。ニヤケしか出ません。
でも礼が少しでも嫌がれば辞めます。(エド紳士!)

樋口先生の素晴らしい点。今回も、物語の材料に対しての情報収集に余念が無いです。
好きだからこそすごい熱量。脱帽です。
つい実在かな?と思って見てます。
現代アートのお話も純粋に勉強になりました。より興味を持てば、もっと奥が深そう。

本編ですが、何しろ3巻も経てぶつかり合ってるエドと礼。2人の衝突はあまりありません。
礼と社会のぶつかり?礼が社会を受容する印象が強いです。

いつも思いますが、本当に本当に本当に礼は頑固ですよね。
まあそこはね!!!3巻読んで分かってはいましたので、今回は覚悟して読みました笑笑
相変わらずでしたが、それでも頭ごなしにエドにすぐ突っ掛からなくなったし、レベルの差などを受け入れなかった頑なさが減ってきてました。進歩!

とにもかくにも感動したのは、周りが倍速で大人になっていて…!
精神的な話です。
エド、ギル、オーランド、ジョナスが、学生時代以上に、精神的に大人でした!!!感動した!!!
礼の性格を隅から隅まで理解し、見守り、本人から救いの手を求められた時に初めて、諸手をあげて全力で力になる。

もはや、礼は生まれて初めて1人で歩こうとしている幼児であり、エド達4人は、それをさりげなく、でも転んだ時にすぐ助けられるようにと全神経を注いで眺めて見守り、初めて歩き出す瞬間を待ちわびる親のようです。

さすが会社のトップに立つ者、それも経済界でも上位に立つ者達のスキル!!人を成長させる為の腕前!!!
私もその会社に入りたい!!!(静かに)
エドもだし、ギル、オーランド、ジョナスも登場シーンが少なめで少し寂しさはありますが、存在感は学生時代よりあります!!!
痺れます!!!

エドが!!!エドがほんとに!!!ようやくやっと礼と一緒の暮らしを手に入れたにも関わらず、それでも、自分の持つ力で礼を傷付けないかと不安を見せる!!!
たまりません!!!
さらに、礼に「3日やる。覚悟を決めれば俺の力をお前のために行使できる」的なことを言ったあの時の本当になんというか、ようやく自分のやりたいことをできる、みたいなエド。感動します。
エド、エド、あーほんとに、礼と出会って礼を愛して、今まで権力に縛られても耐え抜いて本当に良かったね…(号泣)です。

礼を助けたいけど力は押し付けない。
しかも気遣ってる風にも見せない。
痺れる…じわじわと、4人の凄さを感じています。
本当に素晴らしい恋人と友人を持ったものですよね、礼。

礼に対していつも、素直になればいいのに、と辟易してしまうのですが、お恥ずかしながらいつも終盤で気付くんです。

礼がどうしてこの4人と渡り合えるかといえば、やはりそれはずっとこだわっている「対等でありたい」という思いから。
見栄でもなんでもなく、心から敬愛するからこそ。
相手に敬意をはらっているからこそ出る「対等でありたい」とする高潔な精神を持つ礼。
だからこそ4人は力になりたいと思い、礼の悩みに寄り添いたいと思うのだなと…。

礼は今回の巻でしきりに自分のことを「何も持っていない者」と認識して落胆していますが、圧倒的な権力を持つ恋人、友人がおり、しかも彼等は心の1番大事なところで礼に対しても敬意を表している。
そのような人脈があることそのものが「持っている者」だということなんですね。
ただ、礼はそのことを気付けず、ずっと4人のことを自分の「持つもの」ではなくて、「利用」することになるのではと引け目に感じていました。
覚悟が決まってよかった。大事なことですよね。

4人のことばかり言ってしまいますが、デミアンとロブについてだって語り足りないし語り尽くせない。
一歩間違えばお互いにお互いを傷付けて大変なことになっていた2人の関係。
どこかでもっと交わってくれたらいいなと思いつつ、でも交わらないながらすれ違いを重ねる関係も良いなと思いつつ。
終盤、デミアンがスピーチするシーンでは泣きました。人の成長はなんとも美しいですよね。

樋口先生は本当に素晴らしい作家だと思います。
BL枠なのがもったいなく、お金をかけて映画を作ってもらえないかなと思ってしまう。
今回は特に、アートシーンの理想と現実は、割とどこの業界でも持ち合わせている問題だし、読み応えがありました。
この作品も読めて良かったです。

瀬野の可愛さで三度読み

良すぎましたー!!!
瀬野、幸せになって良かった…!!!

ためこうさんの構成と、難しい設定にも関わらず無駄の無い表情描写が素晴らしかったです!

名塚が一途に想っていたけど、一番の自分の想いを白島には告げなかった部分。
名塚の親が、血が繋がっていないことを伝えなかったのと同じようなことですよね。

相手のこと大事に思えば言えない言わない。
それは好きを通り越して愛じゃん…。

名塚は一見、白島に対して臆病っぽいですが、野蛮に自分の想いを押し付けることはできなかったように私は思えました。
愛ですね。白島のこと大事なんですね。

実は愛の深い名塚。
そりゃ長年どんだけ片想いしてたとしても、自分に唯一の特別な愛を向けてくれない白島よりも、自分のことしか見えず真っ直ぐ愛を向けてくれる瀬野が少しは可愛く見えますよね。
家族に対しては、血縁でないために引け目を感じてる名塚にとって、何のしがらみもない瀬野は、より愛が真っ直ぐ入ってきやすかったでしょう。

ほんと瀬野が…幸せになって良かった…
白島と名塚に比べて、瀬野の薄幸は過ぎる!!
ない!幸せどこ!?3ミリくらいしかない!!
名塚を好きになってからの頑張り方が、不器用にも程があるの、良すぎませんか?
ありがとう不憫な生い立ちゆえ頑張り方が不器用な受。


白島は終始空気の読めるいい奴でした。
唯一名塚の想いにだけ気付かないという天才。

白島は名塚の想いに気付かず、名塚は白島の苦しい恋心に気付かなかった。
なんだかんだゆうても、実はお互いに自分のこともあって、相手のことを受け止め切るほどの余裕が無かった。
じゃあ仕方ない。そんな関係ではどれだけ時が流れても、名塚の想いが通じることはないでしょう。

一方の瀬野は、全部を捨てて(そもそも持っていたものもあまりに少なくて)、名塚だけを生きる糧にしてたから、名塚を受け止めることができる。
生きるか死ぬかみたいな問題だから。
瀬野にとっての名塚はどれだけ大きい存在だったのかを考えようとすると頭から湯気出そう。

幸せになって良かった。
もっと2人のその後、細かく言うと、本当の素の瀬野を見たかったです。

瀬野が可愛い。想像力が必要な話かも。

以前試し読みはしてました。
けど、入れ替わり?ファンタジーか、て冷めた目で流してしまってすみません。
良かった…!

ためこうさんそんなに読まなくて、泥中の蓮を読んで、「え、ええやん」と思っての今作品です。

はらださんほどではないが、それでもなかなかの泥沼設定。
それをさらりと清く?見せられるのがためこうさんだと思うし、ためこうさんは設定泥沼だったり人が病んでたりはするけど、メインカップルは幸せになってくれるから、私はとても好きです。

なので私は嬉々として読み終わり、「こりゃ名作〜!」と思ってちるちるを開いたのですが、他のレビューを見てびっくりでした。
名塚、クズなの!?な、なるほど。

もやもやされてるかたもいるので、人は選ぶようです。
ためこうさんの泥中の蓮とかで、なんとなくちょっとでも違和感持っていたら、読まないでいいと思います。
ためこうさんは、キャラありきのストーリーではなく、ストーリーありきのキャラです。
「え、そうなの?」「そうなるの?」と、キャラの心の変化にツッコミたくなる人は合いません。
はっきり言いますすみません。合いません。
ためこうさんのキャラに精神が健全な人なんか出てきません。
皆さん心のどこかが壊れてたりネジが外れたり歪んだりがありますよ!
でもそれが小さいので普通の社会に溶け込んで見えるだけ。
だから常人のよくある心の動きや恋愛感をあてはめちゃいけないと思いました。

特に気にならなければ!ぜひ!読んでいただきたい!
瀬野が!!!瀬野がかわいい!!!
不憫×健気×普通な受ちゃんが好きな方にはおすすめします!

エドの気高さ、礼の姫感、臨海突破

あらすじとかは他の方がお書きになってるので、純粋に自分の感想をしたためさせていただきます。

ため息しか出ません。
エドの気高さの証明。
もうその感覚、中世なのでは?
愛が深過ぎませんか?
生きてるの本当に現代ですか?
エドにとって礼は、前世でも前前世でも前前前世でも死に別れた姫なんですか?
ってツッコミが追いつかない。
エドがどれほど一途だったか。
その愛の深さと気高さの証明が始まります。

そうです、始まるんです!!
エドがどれ程気高いのかの証明!
なんとこの続編の 八年後の王と小鳥 編でも、証明が続くんです!!!
エドの気高さ、止まるところを知りません。
やっぱエド、中世からいらっしゃったのではないか?

素人なのに偉そうな話ですが、大体CEOとかを小説に出そうとすると、どこにでもフラッと現れたりするから「なんなん?暇なん?」となってしまう作品も多いと思うんです。
ファンタジーだからそんな偉そうなこと言わずにふつうに読むんですけど、樋口先生は違うんです。
これは本当に実力をお持ちなのだと思うんですが、「本当にエド忙しいんだろうなー」と、忙しいバックグラウンドを想像できるのがすごいです。
だから、礼を手に入れる為の努力が、いかに血反吐吐くほど、血の滲むほどのものだったかを想像してしまう。
泣ける。それほどまでに、ただただ礼の愛を一途に求めたんですか…

この作者様の「分かってるな」と思う部分は、思いが通じた後も、すぐには甘々の生活は始まらず、お互いにプライドをきちんと持ってるから仕事に打ち込む為にまた離れるんですよね…!
えー!!!もういいやん!結婚オメデトーでいいやん〜〜!!!
次の離れ方はまあ、心はようやく繋がって堅く結ばれた絆なので、物理的なだけでも、読者はいくらか胸が休まります。
でもー!!それでもー!!!
ずっと礼のことだけ考えて、誰にも弱音を吐かずに頑張ってたエドがー!!!可哀想ー!!!
もう無理だ!息が!もう体力が続かない!
エド幸せにしたってー!!
と私の中の関西人が叫びまくっていました。

でも面白いのが、学生時代と違い、礼は自分の世界を持ち、自分の軸を持つようになったので、エドに言われるだけで終わらず、言い返すようになったんですよね。
いいですね。
段々ケンカも微笑ましく見えてきてました。
やはり気高い王には、同じくらい気高い姫じゃないといけないわけですね…。

yoco様はエドの学生時代から、大人への書き分けがものすごくいいです。
美しいエロさ。眼福です。

フジョシの好きなもの全部盛り贅沢BL

コミック関連で、自分好みの健気受けを読み尽くしてしまった為、小説に手を出してみようか、程度の軽い気持ちで手に取りました。

そんな軽い気持ちで、読んではいけなかった…!!

身分違い?義理の兄弟?しかも親がいない?
事前情報で!このコンボは!ズルすぎます!!!(樋口先生、ありがとうございます)

さらに冒頭読み始めるだけでも、攻のエドは全てを手にしていながら愛されてなくて?受の礼はいじめられていて?エドしか頼ることができなくて?どちらも美人で?礼は自分の美しさに無頓着???
え、えぇ〜〜!?!?
皆が好きなの全部盛りしました!みたいなBL、あっていいんですか…

それがしかも、全寮制・禁欲的・規律が厳しい・歴史がある・髪の乱れ1つ許さない・ハイクラスの美しい東欧人ばかり……みたいな、とにかく美味しい世界で繰り広げられる…
なんと背徳的に美しく、愛と肉欲の描写がされていることか…
鬼畜責めですが正義ですね…もう正義正義…萌が、萌が追いつきません。

たまらないのは礼がどんなことにも耐え抜くところです。
もう例えるなら、雪の下で永遠と思える程長く、じっと春を待つ植物さながらのいじらしさ。
アジア人というだけで陰湿ないじめを受け、さらに守ってくれる人はおろか、味方もいない。
え、アニメ世界名作劇場か?おしんか?というほど、これでもかってレベルで主人公を虐めぬいてくれるんですが、何ですかこれ…

礼はそれもこれも全部、エドへの愛だけで乗り越えるんですね…は?これに泣かずして一体何に泣けるのか?(言い過ぎ)

檻の中の王 編では、礼がメインで、エドの思惑が見えてこず、酷いやつだ!くらいにしか思えないのですが、群れを出た小鳥 編で、エドがどれほどの覚悟と努力で礼を守ったのかが描かれます。
涙!!!こっちも涙!!!
エド、気高過ぎーーー!!!
王様だね、そうだね、王ですわ、そりゃそんな気高いなら王様ですわ…脱帽です。

樋口先生はなんなんでしょうか?パラレルワールドで実際に生きている、エドと礼にインタビューして書いてるとか、そういうことじゃないんですか?
そうじゃないと、この、物語や人物の厚み、どういうことなんですか?
自分の生活からは離れまくってる設定のはずなのに、とてもリアルに情景が浮かびます。

幸せになってほしい、しかない。
2人は引き離せないですね。ガチガチの運命の糸が見えます。

とにかく若いエドは気高くエロい。
素晴らしいです。

イラストのyoco様も、素晴らしいセンスで描かれ、その静謐さにスタンディングオーベーションです。
大満足の一冊になりました。
何度でも読み返します。

不完全100%の2人から目が離せない

続きます!!書籍からの方は、続くので要注意!!

レジンコミックスサイトで読了済。
あちらで課金したくせにコミックスもポチってしまいました。
待ってました書籍!!
1巻だけ届いた状態。
続きは順次発売されるんでしょうか?
本編の長さを考えると10巻くらいいく気がしますが…。
サイトの方では完結してるので、続きがどうしても気になる方はそちらでも有料で読めます。

画力素晴らしいです。
最初は人物の特に顔が少しだけ、気になるのですが、物語が進むにつれ上手くなっていきます。
息を呑むほど陰鬱になっていきます。
フルカラーでアメコミらしいタッチです。
常に湿度の高い暗澹な雰囲気漂っています。
次が予想できなくて常にドキドキ。
世界観に高速ダイブ。

すこしネタバラシですみませんが、ウジンは冒頭あたりで足をやられますので、要注意。
他も何かと流血沙汰の多い作品ですが、内臓取り出したりとかは無いので、まだ綺麗な方かと思います。

ストーカーな主人公ウジンも、監禁する攻サンウも、どっちも最初から常識がぶっ壊れてるので、物語はどんどん予想外の方向へ。
ずっと不穏な空気が続き、正直胃に悪いです。が!!!それでもちゃんと読みたい〜!となってしまうほど、物語のテンポがいい!魅力的!引き込まれる!!!
ただ惹かれてしまうんです。
目が離せないんです。
怖いもの見たさみたいなもので見てしまいます。

本作品には歪で理解し難い愛があります。
サンウもウジンも、育った家庭が機能不全だった為に、欠けた情緒で生きているのが痛々しい。
2人の関係が最初は理解できず、予想外だと思ってしまうのですが、物語を追うごとに、なんかこう、2人の形なんだなと思えてきます。
脈略ぐちゃぐちゃですが、甘い言葉なんて無く、終始酷い言葉ばかりですが、人として完全に不完全な2人ですが、2人にしか、作り上げられない関係。

擦り寄って自分に心許しちゃうヤツ殺しちゃう系サイコパスなサンウ。
興味が無いサンウ。
この人本当に周到だから、よっぽどのことが無い限り、疑われずに人生やり過ごせたはずなんですよね。
ウジンいつも被害者ヅラだから、(いや被害者ではある)つい、ウジンに同情しそうになるんだけど、後半にいくほど、サンウはウジンに心を踏み散らかされていくのですよね。
なぜか分からないけど、思い出の蓋などが開けられてしまう。
サイコな面で補っていた、社会生活の為の情緒を、ウジンとの関係が深まる中で崩れていってしまうんですね。
ウジンと遭遇してしまうことで運命狂わされていくんですよね…

物語が終わる時には号泣でした。
まさか紙媒体で手元に置けるなんて最高です。

とにかく話の重厚さにスタンディングオーベーションです。
映画を見たような充足感と没入感でした。
早く2巻以降も出て欲しいですね。

櫻狩り 上 コミック

渡瀬悠宇 

傷付きながらなぜ生きていかないといけないか

BLというエンターテイメント傾向の強いジャンルではくくりきれない。ヒューマンドラマとして傑作。

読んだ後は綺麗事じゃなく自分の生きることへの執着に悔し涙を流させられた。

他の方々おっしゃられてますが大正版「残酷な神が支配する」です。まだ桜狩りの方が可愛げがあるほうかな…。

ずるずる引き込まれます。難しいテーマかもしれないけど、読んで損は絶対無い。

わたしには「生きること」「人と向き合うこと」が綺麗事無しで生々しく描かれていると感じられた。
時代柄、心の傷を誰も、誰にも助けてもらえないまま皆が大人になり、歪んだ関係が折り重なってしまう。
がんじがらめになっているそこに、正宗も深く傷付いてなお、向き合っていこうとする。それは想像も絶するくらいだし読んでるだけのこちらも血を吹きそうなほど苦しい。
歪んでしまった大人達だが、でも、子供の時に愛したかっただけ、愛されたかっただけ。

でも人生ってこういう難しさがある。
あとがきまで読んでもらいたい。
桜狩りというタイトルが痺れる。
私はこの作品と出会えて良かった。