前作「どうしても触れたくない」から、ものすごくお久しぶりの作品。
期待度はいやでも高まるってものです。
・・・で、感想は?というと
私は、主人公が置かれている環境設定が好みなので、素直に面白かったと思います。
色欲にどっぶり埋もれながらの受けでありながら、その男っぷりが際立っている矢代の
キャラクターにも強く惹かれます。
どMであって男らしい…ていうのも少々矛盾しているような印象ですが、それが矢代
なんですよね。
どMであるその事が、矢代の生い立ちを考えるとすごくせつなく思われます。
空虚なその心のうちを、自分を苛む事で埋めているような矢代が、こちらも又、複雑な心情を抱えている側近の、百目鬼とのかかわり合いで、どのように変化していくか楽しみです。
とはいえ、この作品は、好き嫌いが分かれるかもしれないですね。
基本的には、SやM系の作品は苦手な方なので、私も作品紹介を読む限りでは、
どうかな・・・と思っていました。
でも、ストーリーの進み方と人物設定の巧さで、そのあたりはあまり気になり
ませんでした。
あと、やっぱり、「せりふ」の間合いがすごくいいなあ・・・と感じました。
「嵐のあと」は、日高作品の中では、私的に1番印象が薄い作品なんですが、その中ではセフレの美山君のキャラが1番印象深かった私。
あのクールさ・・というか1本筋の通った卑屈さ(笑)は、なかなか良かった。
その美山君のお話。
初めて、発売前に予約までして購入したコミックです。
期待が大きかったせいか、初読みでは、なんとなく消化不良気味。
でも、なんとなく後を引きずって、再読するたびに印象が変化していきました。
読むたびに切なさが増して、美山が愛おしくなって・・・。
これ、高校時代のエピソードを分割して、現在に割り込ませているから、余計に2人の感情の揺れがダイレクトに響いてくる感じ。
やっぱり日高さんは、ストーリー展開が半端なくうまい作家さんだと思います。
補足ですが、美山君の高校時代がめちゃ可愛い。
裏表紙の2人なんてもう・・・。
そして、描き下ろしの「good morning」が最高なんですけど・・・。
最後のページ・・・仁科君に「今夜も泊まるから」と言われ、「うん」と俯くその姿と、その後の「んじゃ、行ってくるね」の「ね」に射抜かれました。