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もう、泣けちゃうよね

純粋で寂しがりやな人狼と、不幸な境遇の修道士。
そんな孤独な二人が寄り添いあって・・・と言う、切ないんだけどとても優しくてあたたかいお話でした。

もともと栗城先生のおとぎ話風BLって大好きなんですけど、今回は特に良くてですね。
ストーリーとしてもすごく読み応えがあるんですけど、とにかく主役二人の恋愛部分が萌えるし感動するしでいいんですよ~。
や、作者さんもおっしゃられてる通り穏やかなお話ではあるんですけど、何故か無性に切なくもあると言うか。

孤独だった二人が互いにかけがえのない相手と巡り会って、ずっと欲しかった「家族」と言う存在を得る。
そう、故郷も何もかも捨てて、自分を選んでくれたー。
もう、泣けちゃうよねと。

ちなみに、繰り返しになりますが、ストーリー自体も大変面白かったです。
おとぎ話の真相って、大概残酷だし陰惨なものだったりするよね。
あと、結構血生臭いシーンもあったりするので、苦手な方はご注意下さい。
獣に襲われる系はね、また違った怖さがあるよねと。

内容です。
村の子どもが浚われる事件が続き、その犯人である狼男を退治する事になります。
そこで、白羽の矢が立てられたのは元孤児の修道士・シリル。
一人、死を覚悟して山に向かいますが、怪我を負い動けなくってしまうんですね。
すると、何故か恐ろしい化け物であるハズの狼男が助けてくれてー・・・と言うものです。

で、怪我が治るまでの間、自らを「狼男」ではなく「人狼の一族」だと名乗る青年・グレアムと、雪に閉ざされた山奥の小屋で過ごす事になるシリル。
残忍だと言う噂とは正反対の、思いやりがあって純粋なグレアムに惹かれて行きますが・・・と言う流れ。

と、こちら、噂では残忍な化け物、実際には純粋な青年にしか見えないグレアム。
彼の本当の姿とはー?
また、村人を襲う「狼男」の恐ろしい真相とは?
そして、種族も生きる世界も全てが違う二人。
彼等の恋の行方とはー?
このあたりが、見処になってくると思うんですけど。

とりあえずこちら、しつこいですが、ストーリーとしてもとても読み応えがあるんですよ。
や、最初から伏線がしっかり張ってある為、真犯人に「ん?」と違和感を覚える部分なんかが多いんですよね。
また、本当に展開が面白くて。
えーと、なかなか真相が酷いものだし、人間の残酷さと言うんですかね?
普通の村人である彼等の、自分達にさえ類が及ばなければそれでいいと言う醜い姿にはゾッとくるものがある。
ゾッとくるものがあるんですけど、だからこそ、主役二人の純粋な姿、そして純愛が際立つと言うか。

や、これね、二人が共に過ごす時間と言うのが、とにかく優しいしあたたかいんですよ。
群れからはぐれ、たった一人で孤独に生きてきたグレアム。
そして、誰かを守ったり人の為に行動する事はあれど、逆に自分は誰からも守ってもらえない。
大事にはされないシリル。

もうさ、グレアムがめちゃくちゃ純粋なんですよね。
一人きりで過ごしていた家に、シリルが来てくれた。
そして一緒に生活してくれる。

こう、シリルが居てくれて嬉しい!と、全身で喜びを表している彼の姿が、可愛いのに切ないんですよ。
最初はただ純粋なばかりのワンコかと思いきや、思いもよらない哀しい決意なんかも知ってしまうと。

また、シリルもとても純粋なんですよね。
彼はそんなグレアムに対して、強い罪悪感を覚えるんですよ。
本当は退治しに来ただけに。
そして、その事を秘密にしただけに。
くっ、もっとズル賢くなればいいのに!
心のままに、ワガママになればいいのに!

まぁだからこそ、二人が結ばれた時は嬉しくて仕方ないんですけどね。
真っ直ぐ信じてくれる人が現れて良かったね。グレアム。
そして、誰でもない、自分を大事にしてくれる相手が現れて、本当に良かったね!シリル。

ちなみに、書き下ろしでその後の二人が語られます。
故郷の里を出て、遠く賑やかな港街で暮らし始めた二人。
グレアムは、自分と同じではないかと感じる青年と出会って・・・って感じでしょうか。

これ、新キャラである他の人狼族・オリバーがめっちゃいい味出してました。
彼、いい男なのに、てかいい男だからか、貧乏クジだよね。

あと、二人がわりとしょうもないスレ違いを繰り広げてて、微笑ましかったですよ。
彼等のこれまでの境遇を思えば、臆病になっちゃうのもしょうがないよね。
でも変な遠慮はしないで、エッチはどんどんやってくれて構わないのよ。
読者も、って言うか私が嬉しいから。

と、そんな感じでちょっと切なくはあるけど、とにかく優しいし感動的だし泣けるしで、めちゃくちゃ素敵なお話でした。
本当、良かったよ!!

いや、意味が分からん・・・

「異世界で年下騎士に世話を焼かれています」第2巻にして完結巻になっています。

個人的に、2巻での展開がとても気になっていた為、こちらも購入したんですよね。
したんですけど、読み終えての感想が「え?」しか出てこなくて・・・。
これ、明らかにお話の途中だよね?
伏線全然回収されてないし、何もかも中途半端のままよね?
でも、しっかり「全2巻」ってなってるよね?と。

いや、レビューしようかどうか迷ったんですけど、めちゃくちゃモヤモヤして気持ちの持ってきどころが無い為、すみませんが語らせて下さい。

えーと、巻き添えで異世界召喚されてしまったリーマン・光岐。
彼が異世界で自ら得た仕事を頑張る傍ら、年下の副騎士団長・ヴォルクと関係を深めて行くと言うのが前巻。

今回ですね、ヴォルク視点でこれまでの事が語られと、1巻での謎部分が補足される形になっています。
あと、せいぜい恋愛のスタート地点でしかなかった二人。
彼等がゆっくり心を通わせ、互いに無くてはならない存在となるまでー。
こう、BLの醍醐味である恋愛がしっかり語られ、すごくこの部分は良かったし萌えるんですよ。
萌えるんですけど、同時に全然納得行かない、めちゃくちゃ引っ掛かる部分なんかもあって。

そもそもこちら、1巻の時点での感想が、オリジナリティに欠けてると言うものだったんですよね。
それもあって2巻では、どのように作者さんの個性を発揮してくれるか期待してた。

いや、う~ん。
光岐が召喚された魔方陣の謎とか、怪しい神官長とか、作者さん独自のストーリーが展開されるんですよ。
されるんだけど、ただこれ、全然回収されてないな?

や、二人が自分の気持ちをしっかり見つめて、互いにかけがえのない存在だと気付く。
おしまい!みたいな。

しかもこれ、めちゃくちゃ駆け足なんですよね。
え、終わった?と狐につままれたような気持ちでいると、描き下ろしでいきなり激しいエッチに突入しちゃって、目が点みたいな。

えーと、1巻で他作品に酷似してると言う意見がたくさん出たからこそ、作者さん独自の展開や設定が大切だと思うんですよ。
でもその部分が、まるごと放置されてるんですよね・・・。
いかにも悪役って雰囲気を漂わせて登場し、意味深な事を告げてきた神官長。
彼はどこに行った?
一緒に召喚された女子高生。
彼女はどうなった?
主人公が発見した、二人が召喚された謎の魔方陣。
あれも結局何だったん?
そもそも絨毯がかけてあるだけって、魔方陣の隠しかた雑すぎぃー!
みんな気づいてなかったって、あり得ないだろ!!

なんかもう、ツッコミどころが多すぎるし、これだけ放置状態で終了って、これはいくら何でも酷い。
や、過失を認める事になるから打ち切りは出来ない。
でも非難の声が大き過ぎて長々と続ける事も出来ないから、無理矢理2巻で終わらせた?くらいの不自然さですよ。
穿った見方をすれば。

いや、う~ん。
二人の恋愛部分は良いからこそ、めちゃくちゃ残念。
評価を迷いましたが、あまりに読後感が酷いのでこれで。
グダグダと失礼しました。

もう、めちゃくちゃ深くていい話ーーーー!

片想い相手への報われない恋に、苦しむ主人公。
「人の心を食う」と言われる美しい蝶に、いっそこの気持ちを食べてくれたらと願うんですね。
すると、本当に恋心が消え失せて・・・。
と言った、ちょっぴり不思議な現代版ファンタジーになります。

私は海野先生の大ファンでして。
今作も当然チェックを入れた上で、勝手にラブコメを想像して楽しみにしてたんですよ。
や、あらすじ等から、受けの一途な恋心の上に胡座をかいて、好意を当たり前に受け止めていたズルい攻め。
そんな彼が、突然受けから興味を無くされ「え・・・? ええ?」って感じでショックを受ける。
そう、ムカつく攻めが痛い目を見るお話ね!的な。
こういう、要は攻めザマァ、大好きなんだけどー!的な。

が、内容的には確かにその通りなんですけど、実際はラブコメってよりどちらかと言うとシリアス寄りだし結構苦しいお話なんですよね。
でも、めちゃくちゃ深くていい話なんですよー!
なんと言うか、人を好きになるって苦しいし、怖くもあるよね。
でも、とても素敵な事だよねと。

えーと、そもそもですね、主人公である朝陽ですが、重度の昆虫オタクで変わり者なんですよ。
で、周囲から浮いてしまうそんな彼を、唯一受け入れてくれたのが攻めとなる国吉。
ただしこの国吉、誰に対しても平等に「優しい人間」でして、逆に言えば特別な相手が一人も居ないんですね。
こう、朝陽の「大好きだ!」と言う告白に対しても、いつも笑顔で流してって感じで。

で、そんな彼への片思いに疲れてきていた朝陽・・・。

繰り返しになりますが、私は攻めが痛い目を見るのが大好きなんですよ。
気持ちを失ってからの朝陽ですが、奇行が無くなった事で周囲とも上手く付き合え、更に国吉の言動に振り回される事も無くなってと、全てが順調に見えるんですよね。
で、逆に国吉ですが、朝陽から急に相手にされなくなってショックを受けと、その毎日は精彩に欠ける。

普段ならこの展開って大好きでして、意地の悪い喜びに浸ってるハズなんですよ。
ハズなんだけど、今回は読んでてひどく切なくて。
や、何でか考えたんですけど、朝陽の告白を受け流しとズルい事を繰り返してるクセに、国吉の言動って朝陽への深い愛が感じられるんですよ。
どんどん感情を無くして人形のようになって行く朝陽に対して、必死で働きかけ続けてって感じで。

また、海野先生と言うと、しっかり掘り下げた心情描写が素晴らしいと思うんですよね。
国吉の本当の気持ちと言うのは後半で分かりますが、だからザマァ状態の時に嬉しいどころか切なく感じたのか!と。
彼は、思ってたよりずっと不器用だし、臆病だったんだなぁと、ここでガラッと印象が引っくり返ると言うか。
そして逆に、主人公の強さに感嘆すると言うか。

えーと、テーマと言うのがですね、「感情」がある事が幸せか否か?になると思うんですよ。
最初こそ、感情を無くした事が幸せだった主人公。
それが、やがて失ったものの大切さに気付き、後悔する。
何より、大事な人の為に取り戻したいと強く願う。
こう、すごく心を打たれて。
もう、めっちゃいい話ー!
とにかくめちゃくちゃいい話ーーー!

ちなみに、毎回思うけどオチが秀逸でしたよ。
「そう来たか!」と、思わずニヤリとしましたよ。
その後の展開には、萌え転がっちゃいましたよ。
朝陽、それは可愛いすぎるわーーー!と。
そう、気持ちってどんどん溢れ出るものなの!と。

若干、と言うかかなり攻めはヘタレだと思うんですよ。
あと、どちらかと言うと結構切ないと言うか、重めのお話だと思います。
でも、めちゃくちゃ心に響く素晴らしい作品だと思う。
シリアス系が苦手じゃなければ、ぜひ読んで。

続きが読みたすぎて身悶えてる

「鳴けない小鳥と贖いの王 ~彷徨編~」に続くシリーズ二作目で「再逢編」になります。
ちなみに、今巻で完結予定だったのが延び、以下続刊となります。
作者さんは完結出来なかった事を謝罪されてましたが、先生、大丈夫ですよ!
六青ファンなら想定内です。
むしろ、今刊の内容に涙を流して感謝してる。

そう、こちら、壮大なファンタジーであり、運命の悪戯によりスレ違い続ける二人の切なすぎる物語になるんですけど、あまりに(受けに)辛くフラストレーションを溜めに溜めまくった前巻から一転。
萌え爆発の、素晴らしい巻でして!
もう、あまりの面白さに一気読みですよ。
クラウスの馬鹿さ加減に、一緒に泣きましたよ。
ものすっごく不本意だけど、クラウスが可哀想で心が痛くなりましたよ。
ルルが出した答えに、胸がいっぱいになりましたよ!!

そもそもこちら、前巻に引き続きストーリーとしてめちゃくちゃ面白いのです。
ルルが国外追放になってからのクラウス側のエピソードが語られますが、運命の片翼だと思っていた王妃の裏切りに、あの日、癒しの民が襲われた真相。
そして、この世界の驚くべきカラクリー。

こうね、驚きの真相の数々に、もうページを捲る手を止められないと言いますか。
いや、びっくり。
あの出来事の裏にこんな恐ろしい事実が隠されていたのかと。
まさかここまで壮大な広がりを見せるとは想像してなくて、ただただ感嘆しちゃうと言うか。
いや、すごい事になってきたなぁしか出てこないんですけど。
もう本当、ファンタジーとしても深みのあるストーリーとしても、めちゃくちゃ面白い作品だと思うのです。

思うんですけど、実は個人的に一番心を揺さぶられたのって、主役二人、特にクラウスの心情部分なんですよね。

実は前巻のレビューで、彼に対して死ねだのお前にはガッカリだ!だの、怒りのままに散々わめき散らしてしまいまして。
これ、その時は頭に血が上りすぎて、自分でも何にそこまで腹が立ってるのかよく分からなかったんですよ。
えーと、ルルと生きる道を一旦は選んだのに、ハダルが現れた事で心変わりをした、と言うか楽な道に流された事に腹が立ったのか?
性悪女にいいように騙くらかされて、ルルに酷い仕打ちをした事に腹が立ったのか?

これね、本当に許せなかったのは、ルルを信じてやらなかった事なんだと後から気付きまして。
ルルが疑わしい状況に置かれた時に、クラウスは「何か理由があったんだろう?」と来たんですよね。
それもう、最初からルルがやった前提じゃねーか!と。
こう、例え世界中が受けの敵に回ろうとも、攻めだけは受けの味方でいるべき派なんですよ。私は。
どれほど疑わしい状況でも、彼はルルを真っ直ぐ信じるべきだったのです。
民を守らねばならない王としての責務とか、立場とか、彼には彼の事情がある事も承知してる。
でも、そんなのは全然関係無く、ルルを信じる事だけは出来たはずなのです。

まぁそんなワケで、クラウス!
自己嫌悪や後悔にのたうち回る程度じゃ私は許さんぞー!
多少痛い目に合おうとも、丸め込まれたりせんぞーー!的に鼻息も荒く読み始めたのですが、いや、何だろう・・・。
今回ですね、お話としてはクラウスのターンだと思うのです。

実はルルが居なくなってからのクラウスですが、何もかも上手く行かなくなりと、わりと悲惨な状態になるんですよ。
「癒しの民」であるはずの王妃。
しかし、彼女の正体への疑いの声。
そして、王妃の死産と同時に分かった裏切り。

何よりクラウスですが、王の座に着き、運命の片翼がそばに居て、更に子供の誕生を待つばかりと幸せそのもののはずなのに、何故か心は常に焦燥感に苛まれと、ちっとも安らかではないんですよ。
そう、それは、ルルが傍らに居なくなってしまったからー。

しつこいですが、私はクラウスに対して怒り心頭だったんですよ。
ただ今回、彼があまりに馬鹿だし、そしていじらしいしで、読んでて怒り続けるのが難しくなってきちゃうんですよね。
強い喪失感に苦しみながら、あれは卑劣な裏切り者なんだと自分に言い聞かせたり。
運命の片翼であるはずの王妃ではなく、ただ道端で拾って助けただけのルルに対して強い執着を見せて実際に言動に出してるのに、それに自分で気付いてなかったり。
何より、王妃に全て仕組まれた事で、ルルが冤罪だと分かった瞬間の、後悔では言い表せられない絶望ー。

えーと、実はですね、ここから前巻のラスト。
ルルとの再会に繋がります。

記憶を無くしてしまったからこそ、素直にクラウスを受け入れるルル。
そして、そんなルルを壊れ物のように大切に扱い、もう何一つ辛い思いをしないように、ただただ大事にするクラウス。
そう、ひたすら償い続ける。
でも、例え記憶を無くそうと、大切な人に裏切られた胸の痛みをルルは心の奥底で覚えていた。
そして、無意識に再びの裏切りを恐れていた。

これさぁ、テーマが「スレ違い」じゃないんかいってほど、これでもかと二人がスレ違う物語なんですよね。
今度はですね、クラウスがどれほど真心を尽くそうと、ルルの側が受け入れられないんですよ。
クラウスが自分を利用しようとしてるんだと誤解したルルのですね、あまりに切り口鋭いセリフに、ザマァどころか可哀想になっちゃって。
ちょっ、ルル。そこはクラウスを信じてあげて。的に。

ただ、ここから記憶が戻ったルルの出した答えにですね、めちゃくちゃ感動もしちゃって。
こう、人を赦すのって、すごく難しいですよね。
でも、赦さなきゃいけないなんて、誰が決めた?
そして、素直に自分の気持ちと向き合った時に、自身が本当に望む事とはー?

泣けましたよ。
ラストが怒涛の展開ですが、ボロボロ泣いちゃいましたよ。
ここで「続く」って、先生はドSか!?と身悶えつつ。

とりあえずそんな感じでですね、めちゃくちゃ面白い二作目でした。
くあ~っ!
めちゃくちゃいい所で以下次巻で、今身悶えてる。

このタイプの溺愛もの、素晴らしい!

ロイヤルファミリーに政略結婚、+オメガバースと言ったお話になります。
なんか、甘くて幸せなお話がとにかく読みたいわ~って事で読んでみました。
若干ですね、義月先生だから「溺愛」ってなってても大丈夫か!?と不安ではあったんですけど、しっかり甘かったですよ。
えーと、攻めが最初から分かりやすく溺愛って感じでは無いのですが、それどころか最初はちょっと切ないんですが、そこから少しずつ少しずつ愛情が深まり甘さがどんどん増してくのが萌えるんですよー!
こう、主人公が自分自身の力や魅力で持って、攻めを夢中にさせて行くのに胸がすくと言いますか。
このタイプの溺愛もの、最初から無条件で愛されまくってるのより、ずっと感慨深いし嬉しいですよね。

内容です。
没落貴族であるガードナー家の双子の兄として生まれたハルト。
華やかで人好きする双子の弟にコンプレックスを持っているんですね。
そんな中、王族の家系であるロックハート財団から縁談が持ち込まれます。
実はロックハート家には、双子のオメガは繁栄をもたらすという言い伝えがあってー・・・と言うものです。

まずこちら、繰り返しになりますが、最初はちょっと切ないんですよ。
ハルトですが、クレイグ(攻め)との初顔合わせで、紳士的で優しく、何より華やかな弟と同様に扱ってくれる彼に強く惹かれるんですね。
しかし、ロックハート財団から花嫁として希望されたのは、弟であるナツキの方・・・。
胸の痛みをこらえて二人を祝福し、自分の人生を堅実に歩むものの、二年も経ってからナツキに運命の番が現れて突然の婚約破棄。
そこで、今さら結婚を取り止めるワケにはいかない両家の思惑のもと、双子の兄である自分が身代わりの花嫁になるー。

えーと、ハルトの心情と言うのはとても複雑なんですよ。
ずっと想い続けた相手であるクレイグと・・・と言う喜び。
身代わりでしか無いと言う悲しみと惨めさ。

またさ、序盤のクレイグが結構冷たいんですよね。
こう、すごくビジネスライクと言うか、あからさまに政略結婚である事を匂わせて、互いに賢く自由にやろう的な。
こ、このヤロー!
最初に弟を選んだ上に、ハズレくじを引いた的なその態度は何だー!!と。
攻めが受けに対してやたら冷たくて傲慢と言う、いつもの義月パターンかよ!と。

と、最初は攻めに対してカーッと来たんですよ。
来たんですけど、ここからお話は全然予想外のトーンになって行きまして。

えーと、これね、ハルトですが、めちゃくちゃいい子だし、実は自分で思ってるよりずっと魅力的なんですよね。
頭もいいし、努力家だし、見た目だって弟と並ぶと地味なだけで端整。
ただ自分に自信が無いので、オドオドした態度になりがちなんですよ。
惹かれているクレイグの前だと尚更。

最初こそ、そんなハルトを低く評価していたであろうクレイグ。
それがハルトと共に過ごし、彼本来の芯が強く聡明で思いやりある姿を知るうちに、どんどん惹かれて行くー。

や、クレイグの事を最初クソ野郎扱いしちゃいましたが、実は彼は彼で大人のいい男なんですよ
結婚に対する考えが冷めてるだけで、最初からハルトに対して誠実だし一人の対等な人間として丁寧に扱っているんですよね。
多少クールなだけで。

それがそれが、ハルトに惹かれるに連れ、そのクールさがなりをひそめ、どんどん甘さを増してゆくんですよ~!
もう甘~っ。
めちゃくちゃ甘~っ!
言葉からも態度からも、甘さが溢れてる~~!と。

また私は元々ですね、「じゃない方」が選ばれると言うのが大好きなんですよ。
ずっと「ナツキじゃない方」扱いされてきたハルト。
それがクレイグから愛される事で自信を取り戻し、本来の輝きを見せるようになるのが嬉しくて仕方ない!
クレイグ、見る目があるじゃないかよ!と。
えーと、最初にナツキの方を選んだ事や彼との関係に対しても、色々誤解があった事が分かってきますしね。

ちなみに、ずっと弟と比べられてとハルトが悲惨に思えますが、弟や家族はちゃんと愛情深くと、決して冷遇はされてないです。
だからこそ、ハルトは真っ直ぐいい子に育ったんでしょうしね。
まぁ弟、相当自由奔放だけど。

最後になっちゃいましたが、「双子のオメガは繁栄をもたらす」のオチがですね、おとぎ話を思わせる素敵なものでした。
そんな歴史があったのね的な。
そのご先祖様を思うと、ちょっと切なくもあったけど。

と、とりあえずそんな感じで、甘いし幸せだしで表紙そのままの素敵な作品でした。
個人的にめちゃくちゃツボ作品でしたよ。

新作だけど目新しさは無いです

丹下道先生の新作って事で楽しみにしてました。
内容に関しては既に詳しいレビューを挙げて下さってるので、個人的な感想や解釈だけ語らせていただきます。

ちなみに、以前の私は恋インが好きすぎて、結構おかしな事になってたんですよね。
丹下道先生は全てが素晴らしい! 何もかもが最高で、間違いは一つも無い!的に。
えーと、好きは好きでも狂信的な方のヤバいヤツ。
今、その熱狂ぶりから覚めてちょっと冷静になってって状態での感想になるんですけど。
思った事を正直に書かせてもらいますが、あまり肯定的なレビューでは無いので、作品ファンの方は最初から避けて下さい。


今回、人外もので交配の為のペアリングと、目の付け所がとても面白いと思います。
ただ内容的には、誤解でスレ違っていた二人が結ばれるのが全てと、特筆すべきものが無いんですよ。
また展開としても、基本、コミカルでエッチでと言った感じなので、ひどく切なかったりと心を揺れ動かされる部分が弱い。
誤解が解けて二人が結ばれるのは終盤になるワケですが、同じようなスレ違いをずっと繰り返してるので、途中で面倒臭くなってくるんですよね。
誤解が解けるシーン自体も、わりとアッサリなので盛り上がりに欠ける印象ですし。
決して面白くないワケではないのですが、ものすごく萌えた!とはいかないと言いますか。

う~ん。
こう言っては申し訳ないですが、内容が本当に薄い。
「恋イン」のあの世界観がお好きな方なら、めちゃくちゃ面白いと思うんですよ。
丹下道先生にしか描けない、唯一無二の作風ですし。
ただ、パターンとしてはいつも同じな上に、今作は内容的にもこれと言って深みは無い。
申し訳ないんですけど、「恋イン」の劣化版みたいな印象を受けると言うか。
こう、丹下道マジックと言うかブームと言うか、とにかく凄い!と盛り上がってる最中だったら熱狂する作品だと思う。
でもそこから覚めてちょい冷静になってるなら、面白いけどそこまでは・・・くらいの感覚と言うか。

こう、すごく才能があって面白い作品を描ける作家さんだと思うので、同じような作品ばかりじゃ勿体ないですよね。
たまにはガラッと印象の違う作品を見てみたいです。

萌えない。

神子召喚に巻き込まれてゲームの世界に転移してしまったリーマン。
オマケである彼が、異世界での自立を目指して奮闘するー。
と言ったお話で、同タイトル小説のコミカライズになります。
こういう設定が大好きな為、購入しました。

で、こちら、繰り返しになりますが、設定自体は好みなんですよ。
男しかいない世界に転移してしまったリーマンが、自身の才覚のみを頼りに自立を目指すー。

神子として召喚された男子高校生はキャラが立っていて面白いし、得体が知れない「おまけ」の存在として冷遇されつつも、王子だの騎士団長だのいい男達が味方。
主人公に魅了された彼等がですね、しっかり守ってくれる。
基本、明るくて楽しい雰囲気なので、読みやすい作品じゃないかと思います。

ただこちら、若干引っ掛かる部分もあって。
えーと、まだ1巻目と始まったばかりのせいもあると思うのですが、全体的にライトってんですかね。
こう、特にストーリーに深みと言うものは感じられなくて、軽い雰囲気で始まって軽い雰囲気に終わる。
一応、本物の神子はー?的な事は匂わせてあるので、ここからグングン深みが増してくのかもしれないですけど。
とりあえず今の段階では、別に続きは読まなくていいかなぁくらいの感想と言うか。

あと、申し訳ないけど、イラストが残念。
主人公ですが、かなりの美形って設定なんですよ。
しかも「凛とした眼差し」で「皆を惑わす色気の持ち主」の「美人」との事。
ただこのイラストだと、全然そうは見えない。
こう、動きとか固いし、身体の線も美しいとは言い難いんですよ。
そのせいか、むしろモサッとして見える・・・。

う~ん。
そもそもこれね、主人公ですが、28歳なんですよ。
でも言動がなんか幼いし、考えも浅いと言うか。
離宮の庭で怪しい集団に襲われたりするのですが、再び軟禁の身になる事を恐れて内緒にしたり、黒髪黒目を隠すようにあれだけ注意されてるのに、外出で浮かれて普通に晒したり。
これが高校生とかなら納得も行くんですけど、28歳社会人男性だしなぁ。
や、最初はクールで格好いいのに、話が進むに連れ、どんどん幼くなってくんですよね。
このへんがかなり残念と言うか。
最初のクールなままなら良かったのにと。

ちなみに、ラブ面でもまだまだ序章です。
穏やかで優しい王子とワイルドで男らしい騎士団長がお相手になりそうですが、とりあえずフラグが立った程度。
ただ私は、びっくりするほどトキメかなかったですね。
主人公が騎士団長に押し倒されてても。
イラストの表情が固いからなんかなぁ。
こう、もうちょっと、読者を惹き付ける表情とかにならんのかなぁ。

原作が未読なので作品自体はどうこう言えないのですが、とりあえずこのコミカライズは微妙に感じました。
申し訳ないけど、もうちょっと上手い漫画家さんを持ってこれなかったのかなぁ。

ちょっ、描き下ろしーーー!!

同期でライバルでもある二人の恋愛を描いた、「俺が好きなら跪け」続編です。

で、内容に関しては、愛に溢れた素敵なレビューが既に上がってる為、個人的な感想だけ。

私は松田がめちゃくちゃ大好きなんですよー!
こういう鼻っ柱が強くて、プライドが高くて、でもそれに見合ってちゃんと仕事が出来るしバリバリ働いてる男って、本当に良い。
いやマジで、スーツの上着を脱いだ状態でシャツを袖まくりしてるだけで、萌えて萌えて仕方ないですもん。
男の色気に溢れてて。

また今回、加藤の溺愛ぶりが更に加速してるんですよね~。
もう臆面も無く、隙あらば口説きにかかる。
えーと、落とされまいとする松田と、ストレートに愛を出しまくる加藤との攻防戦なのです。
前回も実はそうだったんだけど、それが更に勢いを増してる。
いやさあ、これが萌えて萌えて。

いや、何だろうな。
今回、個人的に一番萌えたところなんですけど、松田の変化なんですよね。
こう、女の子大好きでまたモテる彼は、相変わらず愛想を振り撒いて彼女等の誘いに乗る。
それがそれが加藤との攻防を経て、なんと「一緒に飲みませんかー♡」との誘いを断るんですよ。
誘いに乗ろうとして、躊躇して断って、そんな自分に頭を抱える・・・。
もう、キャーーーッ!と。

これさ、なんでこんなに萌えるか考えてみたんですけど、男同士の恋愛だからこそがしっかり描かれてるからなんですよ。
加藤ってめちゃくちゃいい男で、これだけ好きだって事をストレートに表現されて、それで気にならないワケが無い。
こう、好きだ好きだと好意を伝え続けられれば、自分も相手に好意を持っちゃうものだと思うんですよ。
でもノンケであるが故に、なかなか一歩を踏み出せないし、自分の気持ちを認める事すら躊躇する。
セクシャリティの壁って、想像以上に高いものだと思うのです。
それがあってなお、惹かれる気持ちを止められなくて葛藤するって部分にこそ、限りない萌えがあると言うか。
もう松田、どんどん悩んじゃってー!と。

ちなみに、描き下ろしが鼻血ものでした。
もうマジですっごいから!!
松田の足を持って跪いた加藤のセリフーー!
バッカじゃねえのと言いながらも、松田の表情ーーーーー!!
思わずブハッとなったわ。
ここで(も)前巻のタイトルの回収来たか!
もうこれは陥落だよね。松田。

ところで、しつこいですが、私は松田が大好きなのです。
ちょっとした誤解から後輩に殴られた松田。
するとなんと、加藤の方がキレて後輩を殴っちゃうんですよ。
その事に対する松田の反応がさあ!
「てめえのせいで俺が殴れなかっただろーが!」ですよ。
ガン切れですよ。
受けは普通、そこでトキめくんだよ!的に。
もうマジで松田、最高だよな!

苦しみの先に見えるもの

「墨と雪2」で、上巻と同時発売された下巻になります。

雑誌掲載の続編が160ページ程度。
他、神宮寺が主役になる短編が一編に、二人の過去のエピソードを語った短編が一編、更にその後の二人を語った短編とSSが二編書き下ろされての、とってもお得で盛り沢山の内容になってます。

個人的に、遠藤が好きで好きで仕方ないんですよね。
そして、宮津との漫才としか思えないアホなやりとりも大好き。
書き下ろしでそれが読めて、めちゃくちゃ喜んでます。
本編がかなり重いだけに、はぁ、楽しい!と。

ちなみにですね、作者さんが、当初はシリーズの予定も無く書き始めた為に人間関係が一部ねじれてる(矛盾がある)とおっしゃられてまして。
ただ、このシリーズが大好きで全部繰り返し読んでるんですけど、その矛盾点がどこか全然分からないですよ。
どこもおかしくないように見える・・・。
こう言う時、アホは幸せですな。
矛盾点に気づいてる聡明な姐さん方は、そこにそっと蓋をしといていただきたいとの事です。

で、内容です。
黒澤の献身により、心身の傷を癒しつつある篠口。
長期の入院を経て、元の生活に戻るべく努力を重ねているんですね。
そんな中、いよいよ職場への復帰が決まりますがー・・と言うものです。

えーと、前巻までが救出から黒澤との関わりを経て、自分を取り戻すまで。
今巻が日常を取り戻しと社会への復帰と並行して、長らく身体だけの関係であった二人が、本当の恋人になるまでー。
これが語れます。

で、こちら、少しは明るい内容になってるかと思いきや、実は前巻同様、非常にしんどくて重いものになります。
こう、犯罪被害者としての篠口の心情をしっかり掘り下げ、丁寧に語られるワケですが、今度は前作から一歩前進。
社会復帰する。
しかし、それ故の苦悩だったり葛藤だったりが語られて。

篠口ですけど、その優しげな見た目に反して、かなりのプライドの高さだし負けず嫌いでもありますよね。
刑事である彼にとって、職場への復帰はまさにトラウマを直接刺激するものなんですよ。
犯罪や暴力事件に向き合いと言った具合に。
その上、同僚は皆、自分の身に起きた出来事を知っているー。

こう、少し調子を取り戻したと思いきや、フラッシュバックに苦しむ・・・。
作者さんが文章力に優れているだけに、パニック発作に苦しんだりする主人公の描写が非常にリアルです。
読んでて、こちらまで苦しくなってくる。

ただこれ、しつこいですが、寄り添い続ける黒澤の姿がとにかく素敵で。
こう、シリーズの他作品を読まれてる方はご存知でしょうが、彼はかなり得体が知れないと言うか、怖い男って印象だったんですよね。
でも、懐に入れた相手に対しては、ここまで献身的だし甘い男だったんだなぁと。
そして、ちゃんと弱い部分も持っていた。

篠口ですが、スーパーマンのような黒澤のサポートにより、劇的に立ち直って過去を克服する!とは行かないんですよ。
黒澤はスーパーマンじゃなく人間だし、篠口は篠口で過去を払拭とは行かない。
でも、確かに希望は見えて、前に進む事が出来る。
自分を全て受け止めてくれる相手がいるならー。

前巻のレビューでも書いたんですけど、篠口が黒澤に問う「もし自分に延命措置が必要になったらー」の答えがですね、本当に限りなく優しいんですよ。
私はこのシーンを読んだ時、ブワッと涙が出ちゃいましたよ。
とてもあたたかい、ラストでも。
薄墨色の寒く辛い冬を経て、ようやく季節は春なんだね。

ちなみにその後の二人が語られる書き下ろしで、甘さが補給できます。
保護犬を引き取って飼っている二人になりますが、もうすっごく甘い。
そして、アダルト。
二人の艶っぽいやりとりに悶絶ですよ。
そうそう、篠口ってこういうとんでもないタマだったわ。黒澤の言うとおり。

犯罪や犯罪被害者をネタにしていいものかってお声はあったりするかも知れないんですけど。
ただ、BLとしてウケる為じゃなく、篠口と言う一人の人間の人生を真摯に追った結果、こういう題材になったんだろうと思うのです。
本当に、とても素晴らしい作品だと思う。

どうか、その事を知って・・・

「墨と雪」続編で、下巻と同時発売となる上巻になります。
あの痛くて辛すぎる前巻から約6年。
ようやくのお目見えですよー!
待ってた。発売を信じて、ずっとずっと待ってた!!

で、これ、予想以上の重さと苦しさながら、同時にとても優しいんですよね。
読みながら、こんなの泣けちゃうでしょう・・・と。
何だろうな。
篠口は深い傷程度じゃ言い表せない、辛い重荷を背負った。
それでも前を向けるようになる、その過程だったり、理由だったりに、もう涙が止まらなくて。
いやマジで、一瞬で肌が粟立ちましたよ。
篠口の願いに対して、黒澤が答えるシーンには。
グッとこみ上げてくるものがあると言うか。
凄いよ! かわい先生、本当に凄いよ!!
こんな魂を揺さぶってくるような作品を読めて、もう言葉にならないよ!!

で、こちら、内容的には雑誌掲載となる続編。
他、二人の出逢いを綴った90ページ程度の書き下ろしになるんですね。

あの監禁事件で重症を負いながらも、生きて救いだされた篠口。
深い心と身体の傷に向き合いながら過ごす入院生活に、そんな彼に寄り添う黒澤。
そして、外泊許可を得ての、二人で過ごす年末年始。
ここまでが、とても丁寧に綴られます。

えーと、これね、繰り返しになりますが、内容としてはかなり重いものになるんですよ。
ひどい暴力を受け、更に精神的にも徹底的に痛め付けられた篠口。
彼の無力感や屈辱、絶望に恐怖。そして自分自身に対する失望ー。

犯罪被害者である彼の心情がですね、もうこれでもかと容赦なく突きつけられます。
私もここまで生々しくリアルに語られるとは思ってなかったため、結構なダメージを受けたんですよね。
受けたんですけど、それと同時に、ものすごく心に沁みてあたたかくも感じて。

いやこれ、ただただ全てを受け入れて静かに寄り添う、黒澤の姿と言うのがとても優しいんですよ。
何だろうな。
今回、久しぶりにかわい先生の新作を読ませていただいたのですが、改めて気付いたのが、その文章の洗練ぶりだったり、美しさだったりでして。
これほど痛くて重い内容なのに、かわい先生が書くと、何故か淡々と穏やかな印象を受けるんですよね。
ただただ静かと言うか。
えーと、そんな美しい文章で綴られる黒澤の献身ぶりと言うのが、それこそ美しいのですよ。
特にね、まだ意識が戻らない篠口の隣で子守唄を歌うシーンなんかが、あまりに優しくて。
またさ、世界をコーヒーに例えるシーンとか、ホントに素敵で。

苦くて重いけど、そのくせ病みつきになる魅力に溢れてる。
どうか、その事を知ってー。

黒澤の言葉にこう、限りない優しさを感じて胸が熱くなると言うか。

二人が病室で、そして外泊しての自宅やホテルで。
篠口の心の傷に寄り添いながら、ただただ穏やかに、一日一日を丁寧に過ごす様が語られるのが今巻。
緊迫の前巻に比べ、本当に地味なんですよ。
派手な出来事も無ければ、驚きの展開もない。
でも、めちゃくちゃ心を動かされる。
かわい先生、マジで凄いわと。

ちなみにこちら、前述通り二人の出逢い編が書き下ろされてます。
結構なボリュームで。
上下巻合わせてのレビューにしようかと思ったんですけど、この書き下ろしが語りたすぎて分けたんですよ!

そう、公安である黒澤の下に配属された、まだ若かりし篠口。
不思議な魅力をまとう彼の印象とはー?
てな感じで。
ついでに、彼等が身体を重ねるようになった経緯まで!

いや~、これ。
黒澤、悪い男だなー!的な。
まだ青さがある篠口。可愛すぎるわ!的な。
二人の艶っぽすぎるやりとり、最高だわ!的な。
もうニヤニヤが止まらなかったですよ。
そんなワケで雑誌で続編を読まれてる姐さん方もぜひ、こちらの二人の出逢い編を読んでおおいに萌えちゃってー!