今更ですが、BLアワードに載ってたので気になって一気に5巻まで読んでみました。
個人的に、主に序盤の1~2巻までは『設定や内容が神評価』だと思います。
BL要素が無くても、”潔癖症の方”がどんな思いでどんな生活をしてるのか
”心療内科はどんな治療をするのか”って凄く勉強になり楽しめる内容だと思います。
あくまでも序盤の1~2巻くらいまでは。
他の方も書いてますが「エロの部分が"不自然" "必要以上に多い" "そんなに求めてない"」
などなど。 "ある程度は" 同感ですが思うとこもあるので「中立の評価」になってます。
と言うのも、エロについて批判してる方も、BL作品として1巻から読んでいくうちに
2人の『濃いエロな部分を少しでも期待してしまってる人のが多い』と思うんです。
特に「黒瀬がどんな表情でどんなHをするのだろうか」と期待してた人は多いはずです。
なんせBLアワード攻ランキング2年間1位ですし、あのキャラ(無表情)ですし。
なのに、どこかで2人のエロを求めてたくせに「エロはいらないだのあーだこーだ」と
言うのはそれってどうなの?と思うんですよ。
エロが濃く多くなっていくのは仕方ないんじゃないかな。だってBL作品ですし。
ただ、ゲイから見ても不自然なとこっていうか気になって引っかかる部分なんですが
初体験でバックをいじられただけでやすやすとイクってのがどーも腑に落ちない。
城谷は"そういう素質がある"って事なのかなぁ。だとしたらそうとう稀な素質ですよ。
普通は痛いか、違和感が半端ないですから。その上、城谷は潔癖症のはずなのに・・・。
あと、このサイトは女性の方が多いみたいなので分らないかもですが
この2人は"潔癖症を好きなSっ気タチ"と"潔癖症のMっ気ネコ"ですよね。
これはゲイからすれば運命としかいえないカップルですよ。いや、ホントに。
2人とも過去のトラウマがあってそういう性癖になったんだろうけど
ネコやらタチやら性格やら見た目やらなどなど・・・
互いの相性に事細かいゲイからすればこの2人は羨ましいくらいに相性良いですよ。
「お互いじゃないと!とは思えない」と"特別な運命"に重きをおいてる方も多いようですが
『そんなこたぁーない!』とゲイ視点からですがこれは反論させて頂きたく思いますし、
2人が最後までHしたあとに黒瀬の「また間違えたんですね」「俺があなたをー」
の言葉の意味と心情が気になるしで"続きが楽しみな作品"の一つです。
「どうしても触れたくない」(本編)のスピンオフって事で読んでみました。
本編はノンケ(外川)がやすやすとゲイ(嶋)とそういう関係になった感があったけど
これはそれに至るまでのノンケ側の心情や、やはりゲイ側の心情もリアルに書かれてます。
序盤にある、出口(ゲイ)の「なんでそう簡単にノンケになんか惚れるんだよ!?」
「普通はどっかでブレーキかけんだろ」って気持ち。これ本当にリアル過ぎます。
女性やノンケの場合は、相手が既婚者とかじゃない限り"ブレーキなんて必要ない"ですよね。
そりゃ「振り向いてくれるはずがないから」とかで多少のブレーキはあると思いますが
それはゲイ同士でも同じですし、何ていうか、女性を好むノンケ相手だと根本的に違うんです。
だって『自分は女ではない』から。「ノンケに好まれる対象(性別)じゃない」から。
相手が既婚者だとかのそういうモロモロ以前に、自分の性別が「男だから」って理由だけです。
普段の生活で、職場やお客や同級生や友達などノンケに囲まれてゲイは日常を送ってます。
そんな中で「常にブレーキかけて日常を送ってる」のが"普通"です。それがほぼ当たり前です。
『間違ってもノンケを好きにならないように』『辛くて悲しいだけだから』です。
そう理解してても"好きになっちゃったら仕方が無い"んですよね・・・・。
辛いと思う。ほんっと辛い。「報われない前提の恋」なんて誰でも辛い。しかも3年間・・・
そんな中、"好きな相手(ノンケ)がゲイを好きになった"って聞かされたら
そりゃあもう打算だろうが、ミジンコなみの"可能性"だろうがかけたくなりますよ!
凄く気持ちが分るぶん、ずっと出口応援派で読みつつも
ノンケ(小野田)の気持ちの揺らぎ方も「なるほど」と楽しく読ませて頂きました。
ハッピーセンドなのに、なぜか切なくなった作品なのが不思議です。
多分、「ノンケなんて好きになったらダメ」「こんなうまく行くはずない」っていう
自己防衛がありつつも、やっぱこういう恋が”羨ましい”んでしょうね。
だから『"それでも"やさしい恋をする』生き物なのかなぁ。と凄く考えさせられました。
「囀る鳥は~」にハマって、この作者の他の作品を読みたくなり読んでみましたが
「ゲイの気持ち」を本当にリアルに綴ってると思います。
このサイトには女性の方が多いと思いますが、多分、分からない人多いんじゃないかなと
思わざるをえないです。それくらいに"ゲイの"心情の表現がリアルな作品です。
女性やノンケの男というのは将来の夢や願望を考えるにあたって少なからず
「自分の子供」「家族」などがチラつくのが殆どです。成人だと特に意識します。
子供も産めず「世間一般的な家庭」を築く事ができないゲイは、それらとは無縁です。
そんな嶋がノンケの外川にトラウマを抱えながらも惹かれ、体だけの関係になり
「(トラウマからの)自分の学習力の無さ」に呆れつつもズルズル流されます。
体の関係だけって事で嶋も割り切る事だってできたはずだし(ゲイには多い)
なのに色々考えてしまうのはやっぱ思いを寄せてるからなんですよね。
そんな中でふいに聞かされた外川の過去と「正直、家族ってもんには憧れる」って言葉。
これはもうね、ほんっと『トドメ』ですよ。
だって無理ですもん。幾ら2人がどれだけ愛し合っていても家族(家庭)は作れない。
自分が思いを寄せてる人からそんな事を吐露されたら引き下がるしかないですよ。
それに外川のあの過去でしょ?もう説得力ありすぎというね・・・・。
あと、"ゲイには結婚が無い"から『付き合ってもいずれ別れる』っていう真理を嶋が
「どんなに少ない時間でも良い、心変わりするまででも良いから一緒に・・・」って
言うあのシーンは本当にウルっときた。本当にリアル過ぎる。
ゲイに限らず、結婚に至らない恋愛なんて「いずれ別れるもの」じゃないですか。
でも「どーせ別れるから」っていう前提で付き合う人なんて居ませんよね。
それはどうしてなのかっていう、その心情をうまく表現できてるなぁと思いました。
この方の作品は他にも色々あるみたいなのでもっと読んでみようと思えた作品でした。
BLアワード1位になってて気にはなっていたんですが「ヤクザ物」「淫乱ドM」ってのが
引っかかって避けてたけど、読んでみてドハマりしました。1位なのも納得です。
同じくそういうのが苦手な方にも是非読んで貰いたい作品。
百目鬼は2巻から「もし勃ったら」「いらなくなったオモチャと同じように」捨てられる
と思ってて、この巻で勃つようになった事を矢代に知られ
「どうかその言葉だけは頼むから言わないでくれ」と、こちらもヒヤヒヤされる場面でしたが
それがまさかの矢代のあの言葉でこの巻を締めくくってます。
読み終えた瞬間は「えええええ!!?」と、ビックリしつつも内心ホっとしたんですが
冷静に考えれば「矢代は"どーでもいい奴"としかヤらない」わけだし百目鬼もそれは知ってます。
じゃあ、あの言葉も「百目鬼が言ってほしくない言葉でもあったんじゃないだろうか」と。
はぁ・・・ ほんっと百目鬼が不憫すぎて見てて辛い。のに可愛い。。。
矢代は百目鬼に「お前を可愛いと思ってるが怖いとも思うようになった」と吐露してます。
これは多分、百目鬼の頭の真横を通り過ぎる銃弾を思い出す描写などから察するに
「百目鬼を失うのが怖くなった」もしくは「失うと思うと怖い」なのだろうなと。
百目鬼に対する矢代の気持ち(の変化)がかなり表わされた巻だと思う。
七原は過去編といい、「俺は真似事だって信じていたい」「俺は絶対、頭裏切らねぇ」
って車の中で泣く姿にキュンときた。というかウルっときた。
百目鬼に小指を詰ませた本人だし、久我と同じく「七原の野郎!!」って思ってたんですが
本当は百目鬼が指を詰むのを拒み、カタギの道への選択肢を与えての事みたいだし
この巻で評価が上がったキャラ。
にしても三角が「あんのガキィ」「許さんぞオレは」って怒ってたのは百目鬼に対してですよね?
矢代も百目鬼に対する気持ちが良い方向に向かってるし、百目鬼も勃つようになったし
これ以上あの2人を揺さぶらないで欲しいんだけど、三角が黙ってなさそうで怖い。。。。。
『三角が百目鬼をどうするのか』が個人的に一番気になるっていうか不安でいっぱい。
三角さんのせいで矢代が撃たれたようなもんだし、もうちょっと色々落ち着いて貰いたいです。ハイ。
はぁ・・・・ ほんっといつまでも百目鬼は不憫ですね。そこも可愛いんですが。