過去にサイトで読んだだけなので本は持っていないんですが、すごくおもしろかったです。普通のBL小説と違ってリアルなゲイっぽいところがいいです。あまりファンタジーぽさがないというか。BLは地に足がついた作風が好みなので。小説を読むとき、普段は漫画のような絵を想像して読んでいくんですが、このお話はリアルな男性で想像してしまいます。あまりご都合主義なところがなく、主人公の透が悲惨な生活を送っているからかもしれないです。くっつきそうでなかなかくっつかないところも焦れるけど、そこがいいのかも。人生なんでもかんでもうまくいくもんじゃないからなぁ。大好きなお話なので普通の書店で買いたいです。
不器用な男性が一途に思いを寄せるっていう話は好きなんですが、伊勢の春井に対する甘さがあまり感じられなかったのが残念です。
しかし春井のやさしさに惹かれてたのはわかりました。そのやさしさに影響を受けて伊勢は成長していたんだな、というのが卒論の発表でわかったところがよかったです。伊勢もちょっとやさしくなったんだなぁとじんわりとあったかいきもちになりました。あと嫌なやつだと思っていた竹中先生がちゃんと伊勢のことを考えていたところもよかったです。全体を通してほんわかするお話でした。
絵がすごくよかったです。カラーページの伊勢のワイシャツ・ネクタイ・めがね、かっこいいです( *´`*)
あらすじだけを読んだらありきたりというか、あまり自分から読もうと思わない話なんですが、ここでの評価が高かったので読んでみました。結果、おもしろかったです。
最初は主人公の碓氷がどうにも好きになれませんでした。あの浅はかなとことか馬鹿なのに意地が悪いとことか、まるで漫画の脇役が似合いそうな小物感。だけど、少し憎めない素直さがあるんですよね。あと、自分に自信満々なのに、妙に卑屈なのでそのギャップも嫌いになりきれない感じ。自分がだめって心のどこかで気づいてるから卑屈になってるんだろうなぁ。
でも話が進むにしたがって、碓氷も桐谷もいいところがどんどんでてくるので徐々に好きになってきました。どっちも根はいいやつなんだよね。全体を通して碓氷の成長を見ることができたのでよかったです。
ただ桐谷の手袋の秘密はなんじゃそりゃ、って思いました。
売れっ子作家である神野と編集者の甲斐の話なんですが、この神野がとにかく変人。甲斐にどんなひどいことを言われてもプラスに受けとるあのポジティブシンキング…もうぶっとんでます。
だからこそ、ある女性作家と甲斐の仲を誤解した神野が気をきかせて喫茶店から去ろうとしたときに、甲斐に言われた「この状況を嫌がればいい。」というセリフに対して激怒したことが意外でした。たしかに自分に応える気もないくせに嫉妬しろ、と言われたらむかつきますよね。でも、神野は普通の感覚ではないので、怒って当たり前のところで怒っているのがびっくりというか。まぁ過去のトラウマから怒っていたわけですが、たとえ変人でも傷つくことはありますよね。神野は変人で怒らないから、ひどいことを言っても傷つかないと思っていろいろ言われてきたんだと思うとちょっと不憫になりました。
不憫といえば精神科医の田山ですね。神野にふりまわされ、胃に穴があき入院。かわいそうすぎる(笑)
話はちがいますが、この話みたいに受と攻の視点が交互に入れ替わる話が好きです。どっちの気持ちも知りたいので。もっとこういう感じの話があったらいいなぁ。
夏目は乙女ですね。穢れたことを許せない頑なな感じが思春期女子です。31歳成人男性がよく今まで生きてこれたなぁ。
そんな夏目が一目惚れした相手が、夏目が溺愛している人形にそっくりな敦彦です。そこから猛アプローチが続く訳ですが、敦彦って話せば話すほどダメなやつなんですよ。
夏目の作った人形を敦彦が壊してしまうのですが、高額のため弁償できない。そのときに敦彦がつぶやいた一言「いっそ身体で払ったほうがいいんでしょうか」本心でなくとも言っちゃだめですよ。
その言葉に対して夏目は「君は穢れている!」…乙女か!
敦彦に少し怒りながらも恋心と情欲は募るばかりなのですが、これがすごいと思いました。一目惚れした相手が自分の理想と違ったら恋心もちょっと冷める気がするのですが、むしろ想いは募るばかりなんですね。
20年近く勤めていた会社をリストラされた谷地は弁当屋でバイトを始めたが、リストラの傷も癒えた頃に年下の上司であった榛野が現れる。
榛野の方が攻だと思っていたのですが、購入後に谷地の方が攻だと気づき、がっくり。失敗したなぁと思ったのですが読んでよかったです。
谷地も榛野も2人とも不器用だけど誠実でとても好感がもてました。つんつんしているけど榛野はとてもかわいい。谷地のことがすごく好きなのがわかって微笑ましい気持ちになります。谷地も大人の包容力があってかっこいいです。意外ともてるんじゃないかなぁ。
榛野は谷地に気持ちを伝えた後、仕事でロンドンに行きます。恋人ではなく友達という関係が続いたまましばらく経った頃、旅行で谷地がロンドンを訪れます。ここでいろいろあって2人はくっつくんですが、すぐに谷地は日本に帰ってしまいます。ラストシーンはロンドンに残っている榛野が谷地のいなくなった部屋でひとりで泣く、という終わり方です。
ハッピーエンドなんですけど切ない読後感です。あんまりこういう終わり方ってないですよね。BLってロンドンに行く前にくっついちゃうパターンか、もしくは帰国してラブラブの状態で終わるっていうパターンが多いので、こういう終わり方はちょっと驚きでした。
嫌いじゃないです。
佐宗は浮気相手とキスしている所を悠馬に見られて振られて、しばらく二人は会わないんですが、結局、悠馬の方から佐宗に会いに行き、仲直りをします。この悠馬が振ってから仲直りするまでがあっという間な印象でした。え、こんなあっさり佐宗を許していいの?と驚きました。私としては佐宗からめちゃくちゃ謝ってやっと許してもらうという流れがよかったです。
あと最後に、佐宗が携帯の写真で悠馬を撮るのですが、それが悠馬を撮った初めての写真だったらしく、8年付き合ってて写真のひとつも撮ってあげたことがないなんてマジで?と思いました。最初は、佐宗はかっこいいんだからナルシストでも愛してくれる人は他にもいるんじゃないかなーと思いながら読んでましたが、これは難しいですね。こんな佐宗を一途に愛せるのは悠馬しかいないでしょうね。
割れ鍋にとじ蓋カップルでした。
蓮はあんまり自分の感情を出さないし、加賀谷もすごく穏やか。
そんな2人なので話が淡々と進んでくなーって印象でした。話としてはおもしろいし嫌いじゃないんですが、この2人の性格のせいでしょうか?あまり入り込めなかった…
あと加賀谷のお見合い相手の女性がレズっていう設定は話がうまくできすぎてて違和感があります。別にレズじゃなくてもよかったんじゃないかなぁ(●´`●)
でも話としては前科のある蓮がなにか悪いことをしようとしてるんじゃないかと疑われてバイトをクビになったり、それを隠したことが原因で加賀谷とけんかになったりと、甘いだけでなく前科をもった者に対する社会の厳しさも書いてあるのはうまいバランスだなぁと思います。