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大人みたいなこどもと、子どもみたいな大人

読み終えて、とても素敵なお話でした。どうやって感想をまとめていいのか分からない…。ひとつひとつあげるときりがないのでざっくりと。

どこかのレビューで「はじめはヒロセの"ありのままの姿を見てくれる" ところに、ヒロセははじめの "自分の中の忘れかけていた純粋さ、正義感を思い出させてくれる" ところに惹かれたのだろう」という表現がとても的を得ていたので拝借してしまったのですが、はじめが最初から名乗っていたらこの逃避行はなかった。最初からお互いのことを知っていたら、恋なんてしなかった。
そんな偶然のようで必然だったふたりを丁寧な心理描写で徐々に距離が近づいていく過程が描かれているので、違和感なく読み終えました。

シリアスな話が苦手なので「共犯」の部分にかかってくるものは他に犯罪めいたものだったら、深刻なものだったらどうしようと思っていたのですが全くそんなことはなく。「このふたりの恋が共犯」という部分にかかってくるんでしょうか。いろんな捉え方ができるタイトルで、とてもエモーショナルだなと思いました。

また印象的だったのは、未成年であるはじめとのシーンで「それを人が罪だと言うのなら、俺はその罪を受け入れようと思った」というヒロセの台詞です。この時点でヒロセはいろんなことを覚悟したうえで、はじめと一緒になる決意が固まっていたんですよね。もし捕まってもそれでいい、みたいな廣世の決心が垣間見えて凄く良かった。

既にほかのレビュアーさんも描かれていますが、番外編とても萌えました。
特にはじめのモノローグでつづられるふたりの差とかちょっとした不安とか。そういうものをすべて廣世がさらっていってしまって、読み終えた後すごく満ち足りた気持ちになりました。

廃アパートで出会い、再会する時にそのアパートはないけれど、ふたりの関係は続いていくことなど、背景や小物の使い方がお上手ですね。
今まで読んだ歳の差BLの中ではかなり上位にくる作品になりました。

ページを捲る手が止まらない

好きな作家さんの2年ぶりの新刊とのことでとても楽しみにしていました。とても綺麗な表紙でずっと眺めていられます。
作家さんのインタビューで「不穏そうなタイトルだけどハッピーエンド」とおっしゃっていたので、安心して読み始めました。また単話配信の様子を見た感じではエロが少なそうなイメージでしたが、少ない中でもニッチでフェティッシュな要素のあるエロでとてもよかったです。

上巻は既にあらすじを書いていらっしゃる方もいるので割愛します。
恋なんてしたことないような優等生が怪しい男に惹かれてしまう…という何とも気になる出だしから始まるお話ですが、導入から逃避行までのわくわく感がすごい…。ページを捲る手が止まりませんでした。

3話の遊園地のくだりでは初めてのヒロセ視点。彼の過去やこれまでの言動が少しだけ垣間見える。そしていつの間にかヒロセがはじめを目で追いかけているところに萌え…。

逃避行中にふたりの距離がどんどん近づいていく過程にとてもドキドキしました。あっという間に巻末まできてしまい、非常に気になるところで下巻へ…。これ単話で追ってた方はもどかしかったんじゃないかなと思います…。

不等辺三角形とは

コミックス「23時のタイムシフト」に収録されている「不等辺三角形の定理」の前日譚である番外編です。
不等辺三角形とは何か、なぜ兄弟でこんな関係になってしまったのか。あの夜の出来事が起こるまでを時系列で追われていて、読んでいてとても惹きこまれました。

同人誌版で既にレビューを書いたのですが、今回電子書店でも購入したため備忘録用&このページを初めて見た方の参考にもなるように残しておきます。(前回のレビュー内容と重なる部分も多いかもしれません)

Renta!はびっくりするくらい修正が薄かったです。kindleは白抜きでした。他電子書店は不明です。同人誌を既に持ってる方&どこの書店で買おうか迷っている方はRenta!での購入を強くお勧めします。私は電子(Renta!)で買って本当に良かったと思ってます。

久しぶりに「証明」を再読し「定理」を読み返してみましたが、この順番で読むと時系列に沿って辰見がどういう感情だったのかを切に感じることができ、「定理」でのあのインターホーンを耳にしたとき、こんな心境だったのだなあと思うと感慨深いというか…考えさせられます。
またエロシーンはやはり何度見ても官能的で、あがたさんの描く乳首責めが好きな私にとっては眼福でした。そしてベッドに沈んでいる郁見のシーンは電子で見ても圧巻でした…。(行為後のだらんとした性器をこの漫画で初めて見て、当時かなり衝撃的だったのでその感情は今も強く残ってます)

前回の感想と反芻しまですが、タイトルは辰見の言葉からなるものだったことも知れてより作品の奥深さを知ることが出来ました。後書きにある言葉を見るとこの先は辰見が苦しい思いをするのでしょうか…。
三角関係とは呼び難い、それこそ不等辺三角形の関係だと呼ぶ三人の関係性、この先も続きが読みたくなってしまいました。

光属性の兄弟もの完結

作家さんが「これは光属性の兄弟もの」とインタビューでおっしゃっていた意味が分かりました。
私はこの作家さんの「不等辺三角形の定理」「証明」で既に兄弟のお話を読んだことがあるので、この兄弟は陽の当たる道を歩むふたりなんだなと感じました。

葛藤はあるのですが(むしろ上巻では兄が思い悩む姿が多いです)下巻はそれらを綺麗にまとめている印象です。上下巻の尺でこれだけ丁寧に収められているのは作家さんの力量かなと思いました。逆にこれ以上悶々とする描写は間延びしてしまうというか…かといって背徳感を増すような展開にするときっと続刊になってしまうと思うし……。まとめて最後まで読みたい身としては、とても素晴らしい上下巻の完結でした。

既に同じ事を書かれてる方もおられましたが、弟・馨の押せ押せで最後まで話が終わらなかったのがとても良かったです。ちゃんと兄からの気持ちを伝える、という悩みぬいた兄・和泉の不器用な意思表示が見られて萌えました。

また、母親とのシーン「母は気づいていた」とあるように、母は気づいていながらもあえて声を掛けなかったところにグッときました。
それは「ふたりの関係に気づいているから」なのか「和泉が言い出さないならこのままでいよう」なのか…。
大事な場面だからこそ読者に答えを委ねる形をとった作家さんは凄いなと思いました。
なのでこのシーンをどう受け取るかによってこの作品の印象が変わったりするのかもしれません。
私個人としては3話で和泉が「母さんは言葉にしなくても見透かされてるのかなと思うこと多かった」と言っているので、前者なのかな?と思っています。

番外編は馨と女の子とのシーンがありますが、私は逆にこのシーンがとても印象的でした。和泉に向ける視線とは全く違うんです。情事中にも拘わらず冷めたような目で女の子を見る馨にぞくっとしました。枕に女の子の化粧がつくのもリアルで。
ここで馨は自分の兄への気持ちを自覚するんですがモノローグの「自分のことが、少し気持ち悪かった」に全てが集約しているように感じられました。決してこの気持ちに抵抗がなかったわけではない、というか…。
この番外編を読んで馨の気持ちが分かるので、また上巻から読み直したくなります。(そしてあとがきに書かれていた馨の髪色の変化を含め…)

エッチシーンは今までの作品に比べると多くはないのですが、その分濃厚でとても眼福でした。何と言っても短冊修正…!この作家さんは局部がとてもいやらしく描かれるので、ようやくこの修正具合で世に出てくれて嬉しかったです(笑)

また描き下ろしはかわいいふたりが見られます。
上巻「僕はおとうと」下巻「僕のこいびと」というタイトルですが、これは弟の馨視点なのでしょうか。
"おとうと"から"こいびと"へ。だとするとラストの馨の答えは―――…。
相変わらず秀逸なタイトルをつける作家さんだと思いました。


今まで読んできた兄弟BLの中でかなり上位に入ります。
既にレビュアーさんも書かれていましたが、読むたびにどんどんいろんなことに気づかされます。何度も読み返そうと思います。

じわじわ惹き込まれる

好きな作家さん&兄弟ものが好きなのでとても楽しみにしておりました。
ちるちるさんのインタビューでも先生がお答えしていた通り、今までの絵より、もっと密度が高く、美しく完成度が高く…それだけでも「神」評価に値します。表紙もそうですが、内容もじわじわと惹き込まれるものがあります。

本編については既にいくつかあらすじを書かれている方がいらっしゃるので割愛します。
最初から吸引力のある流れ。また上巻の描き下ろしは、幼少期離婚してからの弟・馨のお話。これがなんとも切なく寂しい…。1話幼少期の過去回想の時点では離婚という事実に実感がなかったんだなと思いました。

心理描写も繊細に描かれていて凄く良かったです。弟への気持ちに対する後ろめたさをじっとりしていて喜びを感じました…。
兄弟ものって結構、ヤンデレだったり、強姦凌辱系が多かったりするのですが、そういった要素は皆無なので安心して読めます。

泥中の蓮 コミック

ためこう 

絵は綺麗ですが…

近親相姦が好きなので読みましたが、終始血縁者である葛藤は全くありません。両親もいないので背徳感はゼロに近しいよなあ…と思いながら読み終えました。せめて兄と弟のビジュアルが逆だったらもう少し説得力が上がったかも…?(ウリをしているには少し幼すぎる容姿な気がしました)また個人的に秋生が兄のことを「兄ちゃん」呼びなのも少し意外でした。

もちろん絵は綺麗なのですが、なんだかお人形さんの紙芝居を見ているようで表情の幅が非常に狭く「人間の奥ゆき」のようなものを感じませんでした。イラスト集をずっと見ている印象です。オチのどんでん返しも伏線等が見当たらなかったのでなんとも言えない読後感でした…。

ためこう先生は他の作品も読んだことがありますが、こういったシリアスな題材よりコミカルな方が可愛い絵柄と合っていてそちらの方が読み応えがありました。

"自分たちにとって"幸せのラスト

評価が高いのは知っていたのですが、絵柄が自分の趣味ではなくなかなか読めておりませんでした。が、近親相姦が好きなので読んでみたらやはり評価通りのコミックスでした。最高です…。

発売からはかなり経っていますが、昨今のいわゆる「設定だけのなんちゃって近親相姦」とは違い、最初から最後まで"葛藤"しふたりの行く末を追えて読んでいてとて胸をうたれました。何が正しくて何が正しくないのか「≠」という意味が最後までキーになっていました。

内容はとても素晴らしいだけに、どうしても全体的に駆け足な感じは否めませんでした。せめてあと1巻まで伸ばし、丁寧に描いていただけたら満足度はもっと高かったと思います。

電子 コミック

あがた愛 

タイトルに全てが詰まっている

幼馴染の高校生×中学生のお話です。
あらすじはすでに書かれてる方がいらっしゃるので割愛します。
とにかくきゅんとして切ないの一言でした。あがた先生の作品でいうと「ピアスホール〜」のテイストがお好きな方はハマるのではないかと。(そちらよりエロは増し増しですが)
受けの透は純粋な感じがとても可愛かったのです。攻めの瑞樹は終始ポーカーフェイスなのですが、情事中に見せる切ない表情がとても印象的でした。

透視点でお話が進むので、この先の事を考えると透はどうするんだろうと切なくなります。が、個人的には今まで瑞樹はどういう気持ちで透にキスをしていたのか、いずれ来る別離のために何を感じていたのか。それを考えると胸が苦しくなります。

ここで終わるからこそタイトルの「蕾」になると思いますが、ふたりの蕾が開くまでの続きが読みたくなりました。

不等辺三角形とは何か

コミックス「23時のタイムシフト」に収録されている「不等辺三角形の定理」の前日譚である番外編です。

兄弟好きのため、本作を読んだ後に思わずアンケートを出すほどこの3人の続きを読みたいと願ったのですが、この番外編が読めて本当に良かったです……!!
不等辺三角形とは何か、なぜ兄弟でこんな関係になってしまったのか。あの夜の出来事が起こるまでを時系列で追われていて、読んでいてとても惹きこまれました。

中でも同人誌でのあのサイズ感で、18禁ならではのあの修正で織り成される性描写が本当に美しく官能的でした…。1P使って映し出される郁見の婬猥な姿は圧巻です。

タイトルは辰見の言葉からなるものだったことも知れてより作品の奥深さを知ることが出来ました。後書きにある言葉を見るとこの先は辰見が苦しい思いをするのでしょうか…。
三角関係とは呼び難い、それこそ不等辺三角形の関係だと呼ぶ三人の関係性、この先も続きが読みたくなってしまいました。

「幸せ」で満たされました

帯通り、心も身体も「幸せ」で満たしていただきました。ちなみにこの帯を取ると、そっと繋がれた木下の手と先輩の履いてない下半身が見れる仕様です。

本編では付き合ってからのふたりのお話が、本当に丁寧に描かれていました。
久しぶりに「交際中」のBL漫画を読んだなという印象です。昨今あまりこういった正統派のお話を見かけなかったので新鮮でした。
付き合ってからの先輩はよく笑うように、木下は表情が豊かになっていると思います。前巻を読んでいる身としては、ふたりが普通に話しているだけでもきゅんとしてしまいます。

先の方もおっしゃってましたが、脇役の子達がとても良い仕事をしてくれて、安心して読むことが出来ました。特に吉井先輩の一言、小松くんの言葉がとても心に響き、こちらも考えさせられるような台詞が印象的でした。
そして今回も性描写はありますが、前回ほど数は多くありません。が、濃密度は増してます。これが付き合ってからのふたりの行為なのだなと思うと、覗いてしまっている気がして思わず申し訳なくなってしまうくらいでした。

電子で追っていましたが、紙でも購入。
今回はコミックスの方が修正が薄いので、紙をお勧めします。この先生の作品は、局部を見た方がお得だなと同時発売の「23時のタイムシフト」を読みながら再確認しました。笑