吾妻先生の織りなすストーリーにはいつも驚かされっぱなしです。読み進めるとだいたいこういう展開かな、と想像がついたりもするのですが今回は『えぇ?どうなるの?』の連発です。1巻冒頭の壊れた建物(?)と怪我をしたエヴァン、水兵のようないでたちの男性とルネの関連は?壊れた懐中時計が時折時を刻むのとエヴァンが若返る事は関係があるのか。ルネが時折頼るカモメのポールの正体は?父親の死後、12歳から灯台守として孤独に生きてきたはずのエヴァンの罪とは?2人の身体にある似たような傷は‥。さらにさらに2巻ラストには2人が忽然と姿を消し、新しい自動運転の灯台の完成とかつて2人が過ごした旧灯台の取り壊しが決まり、2人を知る人も少なくなっている事から月日が経っている展開で、顔に傷のあるアントワーヌなる新たな人物の登場‥。教会の独特なステンドグラスと海神の関わりも気になる‥。怒涛の伏線回収とルネとエヴァンにはまだ超えるべき障害がありそう。
ストーリーがこれだけ盛りだくさんなのでルネとエヴァンの絡みは2巻でようやく登場。吾妻先生の場合何故かいやらしさを感じないんですよね‥。修正で全体のディテールが損なわれないように、修正が入らないよう計算されて描かれており美しいのも見どころ。
今回初めての作家さんでしたが電書バトはレーベルじゃなくてサークル扱いなんですね。『特級αの愛したΩ』と合わせて読んでみましたが担当さんが付くのとそうでない作品の違いが何となく垣間見えた感じがしました。
『特級α‥』はレーベルからの出版とあってドラマチックな展開もありストーリーの組み立てなど読み応えがありました。『アンノウン』は神波先生の人柄が現れているような優しいトーンで丁寧に描かれていました。劇的な展開やドラマチックな結末とまでは‥なところがレーベルとサークルの違いなのでしょうか。レーベルでのお仕事を経験されて今後の作品が楽しみな作家さんです。
ハピエンですが大和と智章の想いが通じ合うのが最後の最後なので今作品ではキスシーンのみ。
圭介が智章の事をどう思っていたのかは最後まで謎だったな‥。医師と患者という立場上、圭介はどう思っていても行動は起こさないだろうなとは思いつつ、もし智章が気持ちを打ち明けていたら受け止めていただろうか‥?少なくとも智章の気持ちには気づいていたよね?だからこそ患者以上の関係にならないようにしていたのか、大和の気持ちにも気づいていた上で2人を見守りつつキューピッド的な役回りに徹していたかは微妙な感じも。圭介は大和の母親が好きだった?と思わせる節もあり、謎が残ったまま大和と智章だけはパピエンを見届けられました。
オメガバースもので読んだαのほとんどは次期当主や財閥の御曹司、大企業の社長‥など生まれも育ちもサラブレッド的な設定が多く、それ故に回りの人達もエリートαには一目置き付き従う感じがよくあるパターンだったのですが、これは新鮮。特級αの礼の家族や家柄などは一切出て来ず、有能な一弁護士として働いている。周りからは頼りにされるも特にα感を全面に出すわけでも威圧感もなく、気さくで何より穏やかな特級αよ‥。
1巻完結だったため頁数など色々制限もあると思われ、そこは一切触れないんかい?と思う箇所もありますが、礼が隠す事なく司に好き好きビームを浴びせるためどちらかというとΩの司が翻弄されてる感じもまた良し。
『次のヒートで俺たち番になろうよ』なんて出掛けにサラッと返事も聞かずに行っちゃう礼や妊娠報告サプライズも司らしい演出が可愛くて良かった。
続編(?)が決定されたようなので、新婚の礼と司のイチャコラも愛でたいですが2人が離れていた10年間は一切描かれていなかったので、このあたりも気になるところ。
αとΩが番になるまでのストーリーはよくあれど、βと番うのはあまりない設定に興味があり購入。
理解するまで何度か読み返すも、円の覚悟と行動力の凄さよ‥。幸村はむしろ円がΩで、運命の番であってもなくても番になりたいと思っているけど、そうまで思わせる円の魅力って…?と正直不思議でした。
円は幸村の気持ちを知っているから両想いなのは分かってるのに、自分がΩだと偽っていること、βだから幸村に相応しくないとか、本物の運命の番が現れたら…と思うと素直になれない。
オメガバはほとんどがαとΩが番になってハピエンだけど、βだと発情期もないから円のΩの擬態に度肝を抜かれました。
事件解決と共に円のバース性がバレて、それでも全てを受け入れ愛してくれる幸村とめでたくハピエンの後イチャコラは少なかったので番外編同人誌を追加購入。
幸村と円のラブラブが溢れていて良かった。
欲を言うならここまでのストーリーがセットだと幸せな気持ちで終われたなぁ、と。
幸村しか知らない素の円がまたえっちで可愛いいったら!番外編で円が好きになりました。
ぐり先生の繊細で美しい絵は『金銀ささめくひみつは夜』もそうですが時代ものファンタジーがぴったり。なので絡みはあってもいやらしさがあまりなくて、そこがぐり先生らしくもあり、もうちょっと見たい‥と思うところでもあり。
生まれ変わる前は2人の立場も違えば雷央こと殿下は貧しい国の行く末を背負って婿入りし妃との間に子を授からなければならない立場にあって七星はそんな殿下を支える一臣下でしかなく結ばれる事はまずない。
婿入り後は新たな環境の中ですれ違い、互いに交わした約束も虚しさと悲しみが増すばかりのなかある事がきっかけで完全な決別を迎えて‥。
転生した2人は過去の記憶が一部あったり無かったり。共に過ごす中で徐々に記憶が蘇るも今は立場の違いも障害となるものもない。素直になりさえすればハピエンです。
『雷々来世』は七星と雷央のえっちシーンは過去の作品と比べても多めで、またそれが前世で結ばれることが無かった2人の積年の想いの表れだな‥と大満足でした。
先にラノベは読了済みだったのでストーリーの展開にドキドキする事は無かったのですが結構ざっくりと飛ばす‥というか細かな事まで描くのは難しいのだろうな、と。
コミカライズという色々制約もある中で何処をストーリーに入れて描くかの選択にご苦労があったのではと勝手に想像してしまいました。
オリジナルのコミックは無さそうですし、コミカライズを手掛けるのも初めてのようだったので描く毎に硬さも抜けて良くなっていくのでは、と期待してます。
ラノベの終わり方が結構あっさりしていた感が個人的にはあるので、終わり方をどう締めるかが気になるところ。ラノベに忠実に添わなくても良ければレシェイヌとラフォスエヌの盛大な婚礼でハピエンでもいいのかなー。
『鴆-ジェン-』の時は絵の雰囲気は単に自分の好みでは無くて、どうだろうと思いながら読み始めたのですが、あれよあれよという間に作者様のオススメの順どおり『極夜』『鴆 比翼の鳥』『鴆 天狼の眼』まで読了です。
ストーリーが良くて絵の好みが‥とか言うてたけど途中でそんな事はどうでも良くなるほど良かった。というかこの『鴆 天狼の眼』までに画力が格段に上がってます。
最後までランの全貌は明かされず完結となったのは心残りでしたが、謎だったツァイホンに噛まれ死ぬ以前のランの人となりが垣間見れて逆に気になってしまった。
別の巻でフェイがツァイホンに摘んだ花を持たせていた理由や鴆の羽根の色のこだわりなどもこの巻で明かされていて全て読んで納得‥。それぞれの巻ではメインとなる人物が違うので、全部順に読まなくても楽しめますが文善先生の世界観にハマる人は読んで損なしです。
絵はそこまで好きな感じでは無かったけど気になってました。
いや、面白かった‥。この後ツァイホンは心身共に無毒な雌鳥っぽくなっちゃうのでこれが一番好きかも。人に飼われた鴆は野で生きていくのが難しく愛でて大事にされる為には猛毒を帯びた美しい羽根を持つ妖鳥でなければならない‥。
フェイは色だしの下手な鴆飼ではなかったですね。可愛いがっていた鴆が人に害をなさないようにと望んだから色が今一つだっただけで人懐っこく撫でられるのが好きな鴆を大事にしてくれる人に譲ったはずなのに色が美しく無いからと殺されてしまって。自分のせいにしていたんだな、と。
読みが足りないのか、兄のランがあと一回だけ、とツァイホンを育てていたのは何故『あと一回』だっだのか、ツァイホンの毒に晒されても身を清めていれば死は避けられなかった?毒が強すぎて身を清めても追いつかなかった?関連シリーズも含めてもうちょっと熟読せねばと。
ツァイホンを番にとの気持ちも込めてと、色が無くても美しいと言われるようにあえてフェイが真っ白につくったのか、白無垢の花嫁みたいで綺麗でした。
いい塩梅に感動もエロもありストーリーも良し…そして絵も綺麗。
子供だと思っていたら実はとんでもなくおませなひばり君でした。眠っているのを見計らってすみにキスをしたり、初めてのえっちの時も仕掛けたのはひばりから『準備できてるから‥』なんて大胆発言。ん?高校生だよな‥と思ったのも束の間、慣らしもイチャコラも無いままひばりの初めては即挿入って、いくら我慢してたからって、煽られたからって、すみ それはアカンて。
想いが通じてからはすみが弱音をひばりに見せたり、ひばりも素直に甘えたりと安定のハピエン、ひばりとの初めてのえっちの失態もリベンジされ大満足の結末でした。