何度も読み返している本の1つです。
みなさんのレビューにもある通り、執着攻め好きな人には絶対おすすめしたい作品です。
執着攻めの作品は色々読んできましたが、その中でも群を抜いて切なくて苦しいです。
他の執着攻め作品と大きく違うと思う点としては、受けの苦しさが単純な同性同士の恋愛に対する葛藤ではないということかなと思います。
攻めに対する劣等感や親からの過度な期待…恋愛だけでなく攻めとの関わりを通して自分自身とも戦っている苦しさみたいなのがより関係をこじらせていて、
攻めも受けも苦しいけどどちらにも感情移入できてしまうから終始切なかったです。
この作品で一番好きなのは最後です。
受けが攻めに対して、"好き"と伝えるのは待っていてほしい、自分が攻めと対等に思えるくらい頑張りたい、と伝えるところです。
この描写こそがまさに受けの自分自身との向き合い方、ひいては攻めとの向き合い方に対して前向きになっていることの現れで、安易に自分も好きだと言わないところがすごく自然で綺麗だと思いました。
いつもは色々頭の中で整理してからレビューを書くけれど、今回は頭に浮かんだことそのまま書き連ねていこうと思います。
というのも、この作品は理屈では語れないものが多すぎます…
“愛”という漠然としたものを漠然としたものとして描ききっている。それなのに読む前と後だと“愛はね、”というタイトルから感じる“愛”というものへの感じ方が全く変わります。小説だからこそ成せる技というか、はっきりとした結論はなくても読者が色々と考えを巡らせていく。読後こんなにも考えさせらせれたのはBL作品で初めてです。お気に入りの1つになりました。
他の方も書いている通り、この話には続編がでています。ただ、私はこのままの終わり方が正直好きで、続編を読もうかどうか迷っています…個人的には攻めの俊一は受けの望に対して恋愛感情としての愛を向けることができないままでいてほしいです。(本編の最後でのキスシーンからするとそれは難しそうですが…)
今のところ樋口先生の作品は全て大好きなので、迷ってると言いつつ結局読んでしまいそうな気がします。そして感動して、読んでよかったなんて思っている自分がいるような笑
今まで読んだBL小説の中でベスト10に入るくらい好きな作品です。
BLを読み始めたばかりの頃は、ファンタジー要素のある作品にはあまり興味がなかったので有名だとは知りつつも読んでいませんでした。
「パブリックスクール」がとても良く、同じ樋口美沙緒先生の作品だということで、“ムシシリーズ”を読んでみることにしました。その中であらすじと設定を読んで一番気になったものを読もうと思って手に取ったのがこの作品です。
結論から言うと、とてもとても良かったです。
ムシシリーズは、他の作品で言うところの身分差と、虫の生態を組み合わせた唯一無二の作品だと思います。身分差ゆえの行き違いが切ないです。そしてなによりクロオオアリとクロシジミチョウの共存関係がうまく作品の中に落とし込まれていてとても面白かったです。
気になって読み終えた後調べたりして、勉強にもなりました。
男性同士の恋愛の葛藤は全く描かれていませんが、普通の恋愛小説としてでもすごく面白い作品だと思いました。
一番この小説で好きなのは、綾人のグンタイアリの病の設定です。怒ると目も髪も金色になるという特性が話の展開のなかですごく綺麗に描かれています。
とにかく綺麗で切なくて最高の作品です。