恋愛をする上での痛み。それが同性同士であることの痛み。それらが見事な塩梅で描き出されるものだから、等身大の恋愛を見せられているような、生きる上での痛みを見せつけられたような心地さえするのです。
私は普段から、おげれつたなか先生の前に飛び出して咽び泣きながら地に頭をこすりつけ日頃の感謝を述べたいと考えている限界ファンなのです。今更ですが今作のレビューも書かねばと使命感に駆られた次第です。
今作は2人が人間として生きるなら当然のように持っている長所と短所、それらが互いと居ることで埋められるはずだったが……というすれ違いのお話。ここのすれ違いがまあリアルなんですよね。
リアルな恋愛が読みたい人は必見です。読まないとちょっと勿体無い!
まさにこれは歪な純愛。
愛し方も生き方も歪んだ方法しか知らなかっただけのKAIが、KAIなりの方法で傷ついた先生を愛そうとする話です。
ここから先は本編を読んでから進むことをおすすめします。構わない方はお付き合い下さい。
個人的に大好きだと感じた設定が、KAIの客であり町を仕切っていた男・間宮も元性犯罪被害者だった点です。
KAIの不幸を、そして先生の不幸を作りだした張本人の人物を悪役にしない世界観が本当に良かった。
きっと彼らにとってはままならない人生と、社会の闇こそが敵なのだと。
地を這う若者が自分達の幸せの為に必死で藻掻く姿が、BANANAFISHみたいな物語が好きな私には刺さりました。
ある意味救済ストーリーなんですよね。買ってよかった。
正直、この3人の関係は大好きです。もともとメインカプに3人の人間が含まれる作品が苦手なたちなのですが、キャラクター性のお陰か、それ自体は読んでいて苦痛にはなりませんでした。
よくある3PBLにありがちな、ただただえろかわでポップな雰囲気は一切なく、この3人の中にはそれ以外の何かを感じました。
正直、この3人の関係は大好きです。
しかしながら、この作品にストーリー性のようなものは一切ありません。非常に漫画として好きなのですが、物語として見てあえて買うほどではないのでは?とも思う。
なんといいますか、Webマンガとして追いたいタイプの漫画でした。
大好きなおげれつたなか先生を網羅する過程で購入しました。期待を裏切らないハズレなしの作品ではあるのですが、本編のボリュームが控えめでやや残念でしたので星4としました。
本編はボリュームがボリュームなので、他作品に比べストーリー厨にはやや薄味気味かもしれません。一方、流石と言いますかキャラクターの生きた描写と読者の萌のツボを確実に押さえて来ていますね。
個人的に一点、これはすごいな、と感じたのは、主人公の朝のシーンでは必ずじょりじょりの髭が生えているという部分。主人公は垢抜けたイケメンとして登場するにも関わらずここでも等身大の人間らしさがあるのか、とたなか先生に殴られた心地です。あえてこういったキャラクターの抜けたところを描くと言いますか、そういった手法は今までBL作品で出会わなかったように感じます。
そして大好評の怪物編は言わずもがなです。もう、すごかったんだから。
ここまで相反する要素を詰め込んでちゃんと面白いのかよ(褒め言葉)って話なんですよね
受けの百田は不器用で売春癖があり、1人じゃ真っ当に生きることが出来ないとてもだらしない男。
攻めの八田は世話焼きで面倒見が良く、自由人の百田を深く愛するお人好し男。
攻めはヘタレ童貞な風貌をしていますが(なんてこと言いやがる)、とんでもない絶倫で……
ということもあり、ムードもクソもないエロ頻度がカンストしてます笑
あまあまなエロに疲れていたところでしたが、ここまで振り切ったアホエロだと一周まわって嫌悪感なく読めました。と言うより、エロシーンでも普通に笑えちゃう不思議。ハピクソに近い何かを感じます
百田ちゃんのビッチ受けの根底には誰にも愛されなかった過去があり…という息苦しいバックボーンが描かれますが、百田ちゃんのあっけらかんとした態度がコミカルに描かれるので、比較的はらだ先生作品の中では読みやすいのでは無いかなあと思います
なんと言っても愛情を注がれた百田ちゃんが少しずつ心を取り戻し、幸せを感じる姿がじーんと来ました。だらしない男が愛の力で成長する話(なおアホエロ寄り)というのがざっとしたまとめです。
是非とも心が疲れた時に読んで欲しい。
う〜ん絵が上手い!キャラの魅力がすごい!ストーリーが濃いのなんの!!
神率5割という数字に加え、なかなかに痛いシーンがあるという前情報が購入を渋らせていました。…が、早々に買わなかったことを後悔するクオリティでした。
さすがのはらだクオリティ……!
他のはらだ作品にも言えることですが、黒髪受けが魅力的なんです、、、かっこいい。かわいい。
受けのヨルは、中性的な美しさと妖艶な歌声で老若男女問わず惚れさせてしまう。裏では持ち前の天然のせいでバンド仲間に世話を焼かれているというギャップも。それでいて、朝一を支えるためにと、とぉ〜っても献身的な一面を見せるんですよね。これがかっこよすぎて。惚れるか思った。
そんなヨルの想い人・朝一はまあこれがだらしない男なんです。
ヨルの恋慕に気付きながらも女性ファンを食い荒らすわ、自分への好意を良いことにヨルを乱暴に抱いてみたり。これでカップリングが成立しちゃうの…?と不安になるくらいの爛れっぷりでした。
しかしながら、そんなクズ男が痛い目を見て自分を省みて成長する。これがこの作品の軸なんですよね。
もしかしたら、BL設定的な萌えを重視する解釈厨な方は2人の力関係に解釈違いを起こすかもしれません。私ももともと調子に乗ったチャラ男は受け固定という考え。序盤は少々もやもやしました。
…チャラいクズ男は恋愛で痛い目見てて欲しい先輩方。ご安心下さい。
チャラいクズ男攻め、ヤクザのお兄さんに泣かされてます。
その点では、チャラ男が恋愛の主導権を奪われるのがいい!というヤンキー受け派の欲求も満たされると言っていいでしょう。そうは言ってもなかなかに痛々しいシーンではありますので、「関係ないヤクザと言えどもメインキャラを無理矢理痛くしちゃうのは生理的にムリ」…という方は避けた方がよろしいかと思います。
しかし、はらだ先生のキャラクターは何だかんだ憎めない魅力があるんですよね。情事のことになるとダメダメな朝一も、そんな朝一に特大トラウマを植え付けたヤクザのお兄さんも、普通に読んでて推せるくらいの愛着が湧きました。
鬼才はらだ先生の沼はここにあります。是非ともご購入を、、、!
【結論】
・受けのヨルは文句なしの良キャラ
・攻めは目も当てられないクズっぷり(成長過程が見どころ)
・痛いシーン注意(可哀想なのは抜ける)
・キャラクター全員が魅力的
・はらだ先生は神