アニメを先に視聴していたため、原作を読むのを楽しみでした。実際に読んでみると、アニメとは異なる点が多く、内容が変更・省略されている部分もあれば、物語の流れそのものが違っている箇所もあり、新鮮な気持ちで読み進めることができました。
特に、義城編はアニメでは2期で描かれていましたが、原作では1巻の終盤に収録されており、構成の違いが印象的でした。アニメや舞台では専門用語や義城編のあらすじを説明されても理解しきれない部分がありましたが、原作では文章でじっくり描かれているため、物事の成り行きや背景がとても分かりやすかったです。
また、終わりも続きが気になるような書き方で2巻を読むのが待ち遠しいです。
2巻を読んでからかなり時間が経っていたため、改めて2巻から読み返しましたが、想像以上に重くシリアスな作品でした。自分にはまったく馴染みのない世界のはずなのに、ページをめくるたびに空気の湿度や人の息遣いまで伝わってくるようで、まるで一本の映画を観ているような感覚になりました。生々しい痛みや残酷さが容赦なく突きつけられ、強く引き込まれました。
3巻は、攻めの因縁からの逃亡という張り詰めた幕開けから、終始手に汗を握る展開が続き、追い詰められる中で、攻めが受けを守るために別れを選び行動する場面は読んでいて胸が痛くなりました。
贖罪の道を選び地道に生活する攻めと一方で受けが着実にキャリアを積み上げていく描写の対比が、よりいっそう切なさを際立たせていました。それでも最後に二人が再び再会できたことには、心から救われる思いでした。
起承転結が巧みに構成され、物語が進む中で展開にも緩急があり、あの本の厚みの中に数年間を凝縮して追体験しているような感覚に引き込まれました。