真咲は大学進学で上京し、従兄弟の晴臣と同居します。
真咲は晴臣に幼い頃から憧れていましたが、久しぶりに再会した晴臣はすっかりおじさんになっていました。
晴臣の今の仕事は官能小説を執筆する作家で、その上だらしのない生活を送っています。かつての真咲の憧れたきれいな従兄弟のお兄さんではなくなっていたのです。
真咲と同居するようになってからは、少しずつ晴臣の生活も良くなっていきますが、晴臣はかつては恋愛小説を書いていた小説家でした。
真咲への気持ちに気づいてしまい、地元を自分から離れた晴臣と、晴臣を追いかけてきた真咲は、両片思いの関係です。真咲が幼いときから好きだった気持ちがようやく報われたような気がしました。
遙は不眠で悩んでいるサラリーマンですが、彼の勤務先に中学生のときに知り合いだった一色がいることも原因のようです。
遙の不眠の原因は、遙が夢中になっているタロット占いをモデルにした「マジカルメモリアル」というゲームのの全ルート制覇からの裏ルート開放に夢中になっていることも原因です。しかも、マジカルメモリアルの推しキャラのトーマは一色とそっくりなのです。
不眠を心配した一色は度々遙を訪ねて、遙に料理等を振る舞います。
遙は「大事な人を作るのが怖い分だけ、大事にされたい」と心の中で言っていますが、再会した後に二人の中でのわだかまりが解け、最後に遙が笑えるようになったのが良かったです。
高校生の田綿公英は、その名前からあだ名がたんぽぽと言います。
たんぽぽは第二性ダイナミクス検査では、ナチュラル(ノーマル)との診断でしたが、モデルで人気者、その上完璧なドムの依藤一澄から目が離せません。たんぽぽはナチュラルの診断は間違いで、もしかしたらサブではないかと疑問を持ちながら生活しますが、寮では一澄と同室です。憧れの相手でもあり、たんぽぽをからかってくる憎い相手でもあり一澄はそんなたんぽぽを簡単にリードしてしまいます。
一澄は強力なドブとして、周囲のサブはサブドロップを起こすほどです。
二人はこのお話の中で何度か体の関係になっていますが、たんぽぽちゃんの気持ちが強すぎたのか、消化しきれなかったのか「終」「製作・著作TPP」で無理矢理終わりそうになっていました。本当にここで終わらなくて良かったです。
たんぽぽちゃんは読んでみたい名前、呼びやすい名前のためか、みんな彼のことをたんぽぽと呼んでいます。カバー裏の絵で、たんぽぽちゃんが5歳まで自身のことをぽぽたと呼んでいたのは萌えでした。たんぽぽちゃんは困るか焦るか怒るかで、顔を見ているだけでも楽しかったです。
この画集に収録されている絵は、コミック、小説の表紙や、カラーページの再録が主ですがやはり目を引くのは『恋愛操作』です。『恋愛操作』の奥村さんと言えば、実業家として成功している姿しか目にしたことがなかったのですが、コックコートで料理を振る舞う奥村さんも色香が漂
います。奥村さんと啓さんは満開の桜の木の下で何を思っていたのかも想像してしまいます。
『あなたの隣に座らせて』の亜澄ちゃんはサツマイモを抱えていますが、純和風な世界もあり、ほっとするような懐かしさもあります。
さらに豪華だなと思えるのは、リブレさんの『豪華客船で恋は始まる』のエンツォと湊はもちろん、崎谷はるひ先生の『世界を包むすべてをきみにあげる』の二人の絵も収録されていたことです。
ずっしりと重い画集を開くと、たくさんの美麗な絵ばかりです。眺めているだけでとても癒やされます。