過去の体験から多くを望まない、望めない人になった橘高君。
クラスメイトの芳野君に強く強く惹かれながらも動き出すことはできない。携帯で芳野君を盗撮する、という大胆なのに消極的な行動でしか愛情を昇華させられない、ちょっと悲しいところから物語はスタート。
全編を通じて橘高君には辛い体験がつきまとい、もどかしいくらいネガティブ。
それなのに物語全体が明るさを失わないのは、殻にこもろうとする橘高君を引っ張って離さない芳野君や、姪っこのキャラクターが魅力に溢れていること。特に印象に残っているのは最後、橘高君の思う幸せの上限のさらに上の扉から彼を上へと引き上げていく芳野君。
言葉でだらだら語らずに、ネガティブさすら持っていってくれる、そしてエロでごまかさない(笑)攻め!BLでは珍しい漢です…!
受の橘高くん同様に、我こそはネガティブここに極まれりという人
ぜひ読んでください。そしてにやにやしてください!笑
鹿野さん作品の平常運転…と見せかけて意外と読ませる作品。
建築業を営む立派な家に生まれながらも、家族から静かな虐待を受けている迅。
歯科医院を継ぎ、何不自由なく見える爽平も、実の親から養子に出されている過去を抱えどこか寄る辺のなさを感じている。
家族に飢えているという、唯一の共通点が彼らを結びつけ、物語を引っ張っていきます。
コメディリリーフとして出てくる爽平の母も素敵な人ですが、爽平の孤独
を分かち合い、癒すまではできない、というところが切ない。
エロに関して言えば、掲載誌がピアスさんなので心配ご無用。
だたし、迅の方が受けなので、小柄な攻めが嫌いな方は回れ右です。
加えて女性との絡みもちょこちょこ出るのでそこもご注意。
前作の「大人気。」で彼がやらかしたことも結構許せている(笑)私はすんなり読めましたが、1巻の時点ではまだちょっとオシオキが足りてない印象を受ける方も多いかな?
2巻も併せて読むと、「迅も大人になったねぇ…」としみじみして頂けるかと思います。
褐色系攻めって以前は結構あった気がしますが、
ここ数年はめっきりだったので
この作品がランキング1位になったのを見たときは意外でしたw
褐色の復権が待たれます…w
さて、内容はエンゾウさん作品の鉄板(だと私が勝手に思っている)
巻き込まれ系ツッコミ体質の人と
ハイスペックながら何考えてるかよくわからない人のカップリングで
そんなにハラハラせずに読めました。
題材的に必ず出るであろう問題も見事にクリアし、
ラブラブエッチ…う~んw微妙w
理由はなんとなくわかっていて、
魂を捧げる、というあのシーンがあってから
帰国、そしてギャグを交えながらの再会シーン、
ここに笑いって必要だったのかなあ…と。
中途半端なシリアスと中途半端なギャグを混ぜると
読んでいる人はごまかされた印象を受けるのでは。
こんなにキツイこと言っているのは、
エンゾウさんの愛犬漫画がなかったからだと思います!w
次回に期待!
机に突っ伏したまま静かに卒業しようとしていた田之崎くんの前に現れたのは強面電波君なのでした・・・
こう書くと身もふたもありませんが、あとはもう平穏にやり過ごそうとしていた彼を無理やり揺り起こし、決着を付けないで埋めた恋や、はたまた隠そうとしていた欲望まで引きずり出して、心をざわつかせる、すごい電波くん、それがオロチなんです。
雁さんの描く、独特なテンポの中だから活きるキャラクターです。
オチ要員の野口くん、いいです。雁さんは脇キャラに定評があります。
キャラ同士が視線を絡ませるコマや、目のアップが印象的で読み手に心情の変化を如何様にも想像させてくれます。
終わったように見えてまだ、全く終わっていなかった田之崎くんの恋にどのような決着をつけるのか。
物語が動く直前で今巻は終わっているので、
次巻では今以上に顔を近づけている二人が見られるといいなあ。
芸能モノBLに出てくる攻め、絶世のイケメンとされる人が
受けの前だけは…という設定はよくあるし、
それと絡めて物語が進行するのは予想はついていたのですがまさかここまで、気持ち悪いとは。
ジュリアの気持ち悪さはグンを抜いています(褒めてます)
なんてたって1冊のうち2回も死のうとするんです。
しかも黙って格好良く、ではなくこちらをチラチラと気にしながらの「死にます…」宣言。
不幸でも死にたくなるし、幸せでも死にたくなるなんてなんてやっかいな人なんでしょう。
そしてジュリアに対してやれやれ、というポーズを取りながらも
心を奪われていく紗良センパイ。
こういうイケメンが出てくる話だと大抵
読者の自己投影に使われるから女々しい人が多いけれど
紗良センパイはその型からは少し外れていて興味や欲望に正直で、すこし浅はか。
かと思えば仕事に打ち込むひたむきさもある、
非常に人間臭いキャラクター。
読む前は定型文的な内容を予想し、確かに見慣れた場面が多々ありながらも
読後が悪くなかったのは紗良先輩のこういった部分が物語を引っ張りていたからだと思います。
そうしてひとつの結論に落ち着きました。
これは読者がジュリアと同じように
「紗良センパイに首ったけ」になる物語なんじゃないかと。
2巻もこの勢いを持続して頂きたいです。楽しみにしてます。
恐怖と快楽は紙一重…というちょっと珍しい設定。
155㎝の受けというからさぞかし可愛らしくぷりぷりに描かれてるかと
思いきや、そこはガチムチ男性の名手!なので心配無用。
ちょっと甘酸っぱい誤解や元彼の出現などでゲイコミックぽさが
若干薄れているのでエロと胸キュン両方味わうにはうってつけ。
個人的にはそのせいでどっちつかずになった印象が否めず。
葛藤や恋心を自覚しそうな「フリ」を見せて、
「フリ」にたいする落ちをあやふやなままエロで濁すのは、
ぎりぎりまで意地をとにかく張り続ける!という受けのキャラクターを
殺してしまっていて非常にもったいなかったです。
「4割男子の憂鬱」
オジサン!だらしないオジサン!最高!
何話もだらだら描くよりも松崎さんは短編でガッチリきめたほうが向いてます。
正直表題作よりもこちらのほうが今後の展望も見えてすっきり。
Hしたいけどめんどくさい…といってた攻めが
めんどくさそうなオジサンに惹かれるのもまた面白い。
「ぼくの叔父さん」
平常運転の松崎さん。
倫理観や罪悪感などまるでない、とにかくスッキリしたい!
というあんまりにも単純な欲望まるだしな攻めが
これから叔父さんに精も根も果てるまで搾り取られるのが楽しみですw
「心が洗われるようなボーイズラブ」
ほほぅ。どんなものだろう…。
帯の煽りがちょっと目に留まったので手に取ってみました。
とっても細かい所まで描き込まれた表紙の印象そのままに
本編も隅々まで手を抜いていないのが凄い!
白背景にイケメン二人っていう絵を見ることがBLでは多いので
良い意味での驚きがw
さて、肝心のストーリーはというと前述した
隙のないくらい描かれた繊細な絵と自然体(ぽい)会話のおかげで
なんとなーく、あやふやなまま着地した印象…
比較的重い過去を背負って、想いを持て余しいてるようにどうしても
見えなくて後半の気持ちをぶつけ合ってるところもぼけ~っとページをめくってしまった。
そして気が付けば物語は大団円…
ページの中ではきっと大きく気持ちが揺れ動いているのに
私はおいてけぼりだった気がします。ずっと。
心洗われた?って聞かれたら唸って答えに詰まってしまう
作品になってしまいました。
表紙から匂い立つ不憫BLの香りを勝手に(笑)感じ、手に取ってみました。
色鉛筆で描かれたようなやさしいタッチ。
そして、書生服!!!!!(*ノωノ)ああ、スタンドカラー…いい!!
時代が時代だから、とっても切ない物語なのだろう…
こんな風に期待に胸をものすんごく(笑)ふくらませ、ページをめくると・・・
一冊まるまる表題作に割いたわりには、物足りなさを感じました。
(さいきんのちるちるのレビューで私こればっかりだぞ…大丈夫か…)
主人公たちに感情移入できないまま、読み終えました。
というのも、とにかく主人公二人が煮え切らず、途中縁あった人を
悉く蔑ろにしている印象があるからだと思います。
そして蔑ろにしながらも、最終的には流され、諦める理由にしている。
時代的にこういった恋愛が許されなかったというのを差し引いても
読んでいて、とてもモヤモヤしました。
終盤、なぜ地震が必要だったのか、疑問符が残ります。
おそらく、それまでほんと~~っに(笑)煮えきらなった麻倉が覚悟を決める為の
出来事でしょうというのは頭では解ってはいます。
解ってはいるのですが、これで立花と会えなかったら結婚してたや~ん(笑)
という・・・w
立花との事後に自身の心境の変化を語る麻倉の言葉には、重みがまるでないように思いました。
急に挿入されたエッチシーンも、あんまり萌えませんでした…
とにかく2人には、
「女性陣に刺されなかっただけでも、いい人生だったとおもうよ!」と
言ってあげたい(笑)
日高さんの初期作品を集めた短編集。
じわじわじっくり思いを募らせる心理描写を描くのが
とてもうまい日高さんならではの、表題作の執着攻め。
ただ、そこまで重たいお話は載っていないので
今の日高さんがお好きだとちょっと肩すかし。
初めてBL作品を読む方向けの執着攻めといった印象。
「リスタート」シリーズ
表題作。二人ともがモデルという仕事に誇りを持っていて、
互いに負けないように切磋琢磨しているところが描かれているのは
萌えやエロだけに偏らない、日高さんらしさが垣間見えてよかったです。
変に当て馬を出したりせずにアキと匡の関係に焦点を当てていたのも
読みやすさの一因だと思います。
この手の芸能モノにありがちな別のモデルや、芸能関係者等
のわかりやすい当て馬が出てくると一気に興ざめするので・・・w
ただ二人の持つ焦燥や距離感はもうお腹がいっぱいになるほど、
ほかでも読んだことがあるものだったので目新しさはなかったかな。
「きみのために」
自分の限界を早々に決めちゃってるちょっとスレ気味の高校生。
それなのに初体験とは…萌えましたw
岸田さんがもっと悪い大人だったら、萌えのメーターは振り切ってたはず。
あ、何にも知らない高校生に手出した時点で十分悪い大人か…w
「かさなるように」
主人公が好きになったのは、弟、ってことでいいのかな。
ちょっと煮え切らない感覚が残りました。