↑を読みたいって言って、オススメしていただいた作品です。
結果、すっご〜く良かった〜!! 中盤までほんと辛い。でも、両思いエンドだって聞いてるから、甘痛さにギュンギュンしながら読みました。榮!知らんとはいえこの酷い奴め!と罵りながら、そしてニコ〜辛いよね偉いよすごいよがんばれ!と感情移入しながら。
そしてこの作品のすごいところは、後半は片想いのベクトルが逆転するところです。ニコの榮への気持ちが賞味期限切れになってしまったって言うのが天才的な表現だと思いますが、それが納得できるくらいニコは頑張り切った。
そんなニコに、今までニコ目線で王子だった榮が一喜一憂しながら必死に頑張る様は、良い気味っていうと意地悪だけど痛快で。
その等身大の無様なくらい一生懸命な榮の姿が可愛くて、そろそろ許す!っていう気持ちになると同時に、ニコの空っぽになった気持ちが今度は切なさじゃなくて幸せで満たされていくのが分かり、ニコが榮に陥落する瞬間はどちらの気持ちにもなって歓喜に震えました。
贅沢を言えば、初エッチはニコ目線に戻って欲しかったかな。 でも本当に素晴らしい作品です。
BLで主流のスパダリ感や攻めの一途さがないと許せない人には合わないと思います。
榮より素敵な人はいっぱいいるでしょう。けれど、ニコが2回も惚れることができるのは、やっぱり榮だけなんだろうと思います。
榮や後半に対して評価が分かれてますが、私はこうだからこそ、凪良先生にしか書けない神作品だと思います。
「愛しのニコール」で凪良先生にハマり、親友や幼馴染ものが好きで2冊目にこちらを選びました。
ニコールとお話の流れは似たところがあるのですが、ニコールはとにかくニコールにギュンギュン感情移入して泣けるのですが、こちらは「ああ、恋愛って1人じゃできないものだよな」と、恋愛のままならなさ、タイミングのすれ違いに切なくなって泣ける感じです。
ナツメ、トキオ、ヤコ先生皆んな誰も悪くない。
ナツメはトキオの想いにビックリして、初めて恋愛としてトキオのこと考え始めて。そんなナツメの心の内に気づくことなくトキオはナツメから卒業する決心をして上京し、ナツメへの気持ちとは違うところで新しい恋を始めて。
ナツメがトキオのこと傷つけてたのも、トキオがヤコ先生のことを大事にしようとしたのも、どちらも悪くない。そのときはそういうステージだったのだから。
トキオの想いをナツメが知った後もお隣さんで同じ高校に通ってたら、よくあるコミックみたいに普通に両思いになって他の誰かを泣かすことはなかったかもしれない。
けど残酷にも恋が始まるタイミングが2人で大きくズレ、向き合う時間も与えずタイムアウトになって。
東京でのトキオとヤコ先生も、ナツメが上京して来なければよくあるコミックみたいに新しい恋として素敵なパートナーになっていただろう。
3人の気持ちを同時に想像して、1人1人の気持ちはそれぞれ真剣で同じ重さなのにと恋愛の残酷さに切なくなる。三角関係もので全員にフラットに感情移入するのは初めてです。
出会った2人が同じように惹かれあって一緒に恋愛を育てていくって、奇跡なんだなと気づく。
トキオは最近流行りのスパダリとは程遠いかもしれない。BLで男女の恋みたいなリアリティは見たくない人もいるかも。
でも私は、トキオも「愛しのニコール」の榮も、愛おしいです。
2巻目の方、普通なら食指の動かない設定なんだけど、ヤコ先生大好きだし、レビューがすごく良いし、読もうかな(笑)