主人公セナは「惹香嚢」という臓器を生まれ持ってきていてそれを理由にレスキアという大国に男の身で嫁ぐことになります。
タイトルにもある通り竜王のお相手を巡り物語は進んでいくのですが、その過程と明かされる数々の真実から目が離せなくなります。
そしてなんといっても攻めがふたり。このふたりのどちらも不器用でそれぞれの愛し方でセナを想っているのが本当に苦しくて切ないのです。
過酷な道を歩んできたセナが最後に行き着いた先に胸がいっぱいになること間違いなしです。
作者様の全ての作品でいえますが、作り込まれた世界観に圧倒され、魅力溢れるキャラクター達は生きてるかのような気持ちになります。そしてそれを支える文章力、心に残るセリフが溢れています。
好きすぎて長らく感想が書けなかった巻です。
起承転結の「転」の巻、過去が明らかになり今までの謎が一気に明かされます。鳳泉の章を読んでからこの話は一生自分の中で大切な物語になると確証しました。
愛とはなんなのか、それがこんなに苦しいのになぜ貫くことを選んでしまうのか。
カディアス様の王であることとトーヤを想う気持ちの葛藤が本当に苦しいです。この過去を知ってから前の巻を読むとカディアス様の見方が必ず変わります。
トーヤの心の変化も何度読んでも良いです。カザンが土壌を作り、カディアス様が種を撒き、水を注いできたという表現が作中にありますが本当にその通り。
半神とは、唯一無二とはなんなのか、本当にたくさんの方に読んで欲しい作品です。
灼先生の新刊、楽しみにしていたんです。
食事すら疎かにして執着がない攻めと必要とされたい受け。ずっと攻めのお願いを聞きたくて、でも求められてないと思っている受け。そんな受けには王様の様にお願いする幼なじみもいて。
攻めの千晃の真っ直ぐだけど分かりずらい愛が刺さります。そばに居てくれればいいんだと心から思っているのに、何もお願いしてくれないと捉えていた浅見。そして宝の浅見への複雑な気持ちがぐるぐると絡まっていてもどかしい。
書き下ろしで浅見がわがまま言えるようになっていてよかったです。
灼先生の先を考えさせるような作品も大好きですが、今回は宝の感情を考えてしまいますね。
待ってました。スクランブルメソッドの新刊。そしてとても良かったです。
教授の感情が育ちかけていると感じる場面が多々あり、感動しながら読み進めました。
そして音喜多の大きすぎる愛。本当にどこにでも駆けつけてきます。
汐月の見合いを断る話、教授の部屋のエアコンが壊れる話、本作冒頭で詐欺に合いそうになっていた田之上の相続問題の3本。
今回の個人的にインパクトに残ったのは教授がお風呂に入らないと埃くさくなるという所。音喜多、教授の頭洗えてよかったですね……。
教授の音喜多への感情と向き合おうとする所も、お話自体も本当にどこをとっても良かったです。
まだまだ続きが読みたい!そんな作品です。
シリーズ未読の方、新刊の機会にぜひ。おすすめです。