暁くんが食レポの語彙を徐々に増やしていくのに反比例する様に、読者たる私の語彙は「かわいい(かわいい)」以外消失してゆくのでした。
正直なことを言うと1巻の最初ら辺を読んでいた時には一瞬これはちょっとあざといのでは? とよぎったんですけど、もうだめです、あーぎゃわいい!!!(頭抱えながら)
もう本当に暁くんが可愛くて……というボキャ貧な感想しか出なくてごめんなさいな気持ちなんですけど本当に超可愛いのですみません、仕方ないんです、可愛いとしか…………。
本作はサスペンス要素もある作品ではあるのですが、スト重系というよりは読むと心が萌えちぎれて千々に乱れる系です。一日の終わりに萌を摂取して心安らかに眠りにつきたい方向け……、いやダメだそれは。たぶん萌え転がって目がギンギンになってしまうと思うので次の日が休日の夜に読むの推奨です。
どうやら既刊はここまででして、巻末に収録されているオマケ漫画が打ち上げの様相を呈しているのでもしかしてこれって続かないとか……?
個人的に、東雲さんと暁くん(10歳)のやり取りが大好き過ぎて無限に見ていたいので(おにショタ好きな人は好きだと思います)、3巻の出版を切に願います!!
帯がめっさネタバレなんですけど、実際殺し屋が営む食堂というより殺し屋をダメにする食堂のお話です。
主人公の暁は、姉の指示により毎日3食大豆イソフラボンと塩分の過剰な食事を摂りとても規則正しい生活を送っている殺し屋です。
そんな暁の本日の殺しのターゲットはただの食堂の店主の東雲。ところが東雲の命を狙うのは暁だけではなく。
成り行きで東雲を助けてしまった暁ですが、お礼にと振る舞われたカレーを食べたところ一服盛られて気を喪ってしまい……。
と冒頭のあらすじをつらつら書いてみて思ったんですけど、すごいエロい事が起きそうな導入部分だ!!
しかし読んでみたらノーエロでPixivとかで見られる漫画みたいにほんわかしたストーリーだったんですけれども。
萌え系でかわいいお話でありつつ、東雲さんも暁くんも謎が多く、香ばしい唐揚げのにおいとともにミステリーやサスペンスのにおいがします。
次巻が楽しみですね(小腹をぐぅと鳴らしながら)
「ディープ」さが想像を絶するレベルで驚きました。ゲイの日常、破天荒すぎやしませんか。
発展場なるものの存在は知っていましたが、中はそんな風になっているのか……え、えぇぇぇ〜〜〜みたいな。羞恥心が息していないみたいですが大丈夫ですか? それって本当に楽しいの? まじで??? と余計に疑問が膨らんでしまいました。
厨二のやらかしゲイ版も過激ですね。バレたら死ねるけどなんでそんなことを。あ、厨二病だからか、そうか。
ちなみに私の身内が学生時代に隣のクラスのゲイに柔道着を盗まれて以来ゲイフォビアなのですが、「同じ男なのでパクった柔道着をどの様に使うのか生々しく想像出来てしまうので嫌さ万倍」と申しておりましたがしかし、どうやら現実は想像を軽く超えるっぽいですね。加害者被害者双方のために犯した過ちが一生バレないよう祈って起きます。ていうか窃盗はいかん!
ラストまで特濃でもうお腹いっぱいです、ご馳走様でした。でも唐突に終わるのはちょっとやめて! これじゃ気分の変え方がわからないよ!!!
表紙と試し読みを見て、これは当たりの予感しかしない! と思って買って読みましたが大当たりでした。
高校2年生の戸上と箕野の日常を描いた漫画です。画面の隅々まで絵がかわいいです。よくある学生BLに見えるのですが、なかなか独特な内容でした。
殊に戸上と箕野の距離感の絶妙さ。端的に言うと近すぎず遠すぎず、だけどお互いに想い合っているのは確からしい。という感じなのですが、BL作品でここまでそれを徹底しているものは珍しいのではないかと思います。
明確にBLだと分かる描写がないと嫌だという方には向かないと思いますが、これを恋愛と呼べるか呼べないかのギリギリの距離感にドキドキしたい方にはおすすめです。
5話完結の表題作を含む五つの中短編とおまけ一つの入った作品集です。
植物達が緻密に描かれた背景や装飾画に目が奪われうっとりとしてしまいます。ストーリーを楽しむ漫画というよりは絵を楽しむために読む漫画という印象が初読の時は強かったのです。
でも、2周目では登場人物の会話や内心に目が向いてしみじみと良いなと感じました。
耽美的な絵柄からは、植物の瑞々しい葉を触った時のような冷たさや、鬱蒼と草木の生い茂る森に漂う湿気を含んだ冷気を感じるけれど、登場人物たちの間にあるのは温かくて柔らかい空気です。
特に表題作『百草の裏庭』は尺が長いぶん心理描写が特に細やかで、マルセルとギーゼルベルトがお互いを知り合いやがてかけがえのない絆で結ばれていく様が描かれています。
耽美的な雰囲気でありつつ、耽美につきものの冷たさや退廃的破滅的な雰囲気はなくて、温かくて優しいお話でした。
監獄ものなのですが、意外と悲愴感がないお話でした。主人公のユウト周りにいい人が集まってきて励ましてくれたりするので、読んでいるこちらとしても沈鬱な気持ちにならずに済みました。
ディックの、冷めてる感じの性格でありつつめちゃめちゃ世話焼きというキャラがとっても魅力的。時々ユウトに対してツンデレムーブをするところも微笑ましく、ヘヴィーな世界観だけどBLらしい描写だなぁーと思ったりも。
ところがディックのツンデレムーブにはラブ以外の意図も含まれているという意外性に瞠目しました。
ラスト辺り急展開でサスペンス度が爆上がってハラハラドキドキ。スリルがあって面白かったです。
続編ありきで始まったストーリーらしくスルスルと次巻に続きます。
ボロいけれどアットホームなアパートに住む高校生と、彼の養父でアパートの管理人兼人形作家の、息子✕養父……「禁断の純愛」です。
禁断とは(ゴクリ
と、つい固唾を飲んでしまったのですが(近親✕✕BL好き)読んでみたら禁断というほどドロついていなくて心にじんわり染み入るお話でした。あたい、こういうの好き……。
主人公の喜一は、小さい頃に母親の旧友であった次郎を頼って母子で古いアパートに越してきました。その頃から父親の様な友達の様な距離感で次郎と親しんでいた喜一ですが、高校生になり女友達の杉崎との交流を通じて、自分の次郎に対する漠然とした気持ちが何であるのかが明確になっていきます。しかし、義理といっても親子である以上、次郎が喜一の気持ちに応えるわけもなく……。
わたし的にこのお話のなかで特に好きなポイント、BL読者にはあまり好まれない要素かもしれませんが、喜一と杉崎ちゃんの微妙な距離感だったりします。自分は喜一の中で恋愛対象としては無しなんだなと静かに悟る杉崎ちゃん。喜一も全く鈍感なのかと思いきや、彼女の変化に気づきつつも友達という事では駄目なのだろうか? と悶々とするところが良いです……ほろ苦い青春だなぁ……。
とか、他にもいくつか滋味のある脇役の切ない恋物語がいい感じに利いているところがとても好きです。
ヒューマンドラマの描写がいい作品で、前述したとおりいうほど「禁断」感はないのです。しかし終盤で成長した喜一がより一層実父に似て育っていた事にはなんとも言えないいけなさがありました。
ところで、序盤の頃に杉崎ちゃんが喜一の住まいを見て「アニメとかで見たことある」という場面、鈍い私はそうね、アニメとかではこういうタイプのボロアパートを見かけるかもねーと思いつつ微妙に引っかかりも覚えつつスルーしてしまったのですが。最後まで読み終わってから突然それって『め●ん一刻』のことかーー! と気づいた瞬間最大の禁断感が私を襲いました。なんか知らんけど……。
高校生同士の初々しい感じのBLです。
作者さんのSNSで発表されたBL漫画の総集編というか馴れ初め編であるらしいですが、私はミリしら状態からいきなり本書を読んでしまいました。
そして、なるほど高校生同士の初々しい感じのBLだな! と思って読了して一晩寝て起きてから考えたのですが、これはSNSから入った方がより一層楽しめる作品なのではないかと。
登場人物を0から少しずつ知って、長期間見守っていくうちに愛着が湧いてくるタイプのお話だと思います。リアタイで追ってる人達が羨ましくなるやつです。
佐岸左岸先生の『春と夏となっちゃんと秋と冬と僕』や山下街先生の『あした愛かもしれない』みたいな、何度も読み返したい作品になる予感がします。
もしも現在本作品をミリしら状態で単行本を購入しようかどうか迷っている方は、一旦待って作者さんのSNSからゆるゆると辿ってみるといいかもしれません。そうすると本作品との出会いがより素敵なものになりそうです。
雑誌で時々見かける、やたらタフなスト重系BL漫画という印象があって、でもシリーズが長く続いている様で、読めるとこから読んでもよく分からない、といった感じでそのうち読もう思い続けて百万年が経ち(経ってないよ!)、やっと読んでみました。
誰!? って思うくらい絵柄が違うことにまず驚き。最近はすっかり青年誌っぽい絵柄になっているけど、最初期の頃はもっと少女漫画のような絵柄だったんですねぇ。でも太一の元気一杯なところは全然変わっていないです。
中学生の頃に突然難聴を発症した航平と、貧しい家庭育ちでいつもお腹を空かせているも、唐竹を割ったような性格で元気一杯の太一の出会い。降ってきたのか、太一が。
いざ読み始めたら、黙々と読んでしまいました。
ストーリーをグイグイ読ませる手腕はこの頃から。共感出来る心理描写。
黙々、黙々………。
ていうかこれ、BLなん?
と、ふと我に返って思うことも最新話を読んだ時と同じだなぁ。
おまけページの著者コメントにBLほったらかしでストーリーを転がしていたら担当編集者からBLを催促された旨が書かれていました。ガチでBL描いてるのを忘れてたんかーい!?
掲載誌でイロモノ揃いのボーイズラブアンソロジー『Canna』の中でも異彩を放っているガッツリとしたストーリー重視BLは今も昔もスト重でした。
ラブだけじゃ退屈で骨のあるヒューマンドラマを読みたい方におすすめです。
オメガバース創世記BL3巻目です。2巻ぶんもまとめてのレビューです。
レビューを書こうとして気づいたんですけど、1巻(上下巻)が発売されたのが2021年で2巻が2年前でこの3巻が去年なんですね。つい最近に1巻が出たような気がしていたのに! 時が流れる速さがエグい!! 年かな!!? こわ!!!
しかし作中の時間の流れはかなりゆっくり。1巻の初ヒートのドタバタからまだ1ヶ月くらいしか経っていないとは! そしてこの3巻の終盤は2巻の翌朝です。
最終回まで辿り着くのにあと何年かかるんだろうか……と、途方に暮れたりとか。
ともあれ。
2回目のヒートが来ました。前回のヒートは初めてのことだったので完全に手探り状態だった喬と西央でしたが、今回も手探りです。だって前代未聞の出来事ですもの、2度目があるとか分からないのです。
今度はよりにもよって合宿中にヒートが起こってしまうという大事件。大部屋で皆でお泊りしなきゃいけない時に、色々アレなことが起きてよいわけがなく……。
子どもだけで対応出来るわけもない事態に、喬は意を決してお父さんを頼ります。
オメガバースというものが未知の世界で暗中模索する喬。そして息子とその恋人を受け入れざるを得ない家族の当惑。人間ドラマが濃くなってきました。男同士の恋愛でもオメガバースとなると途端に当事者だけの問題じゃない感増し増しになりますね。なにしろヤれば子どもが出来るんだ………という事を登場人物の誰一人として知らないのであった。
オメガバースという物がなんであるか知っている読者たる我々は、やきもきせずにいられません。訳も分からずオメガバってるとかやばすぎ!! と。
あ、今ごろ思ったんですけど、この作品を読む際には事前にオメガバースの知識を頭に入れておいたほうがより楽しめますね。みんなでハラハラしましょう(「みんなで」とは。)