このクズがぁ~
という気分。
阿部先生の作品には、ちょいちょい出てくるヤツラ。
「ホンマにアカンやっちゃな、お前は」
下巻は三人三様て、そんなオトナたち。
彼らはいわゆる爛れた関係です。
そして、それを平然と受け入れるというか、お互いの関係性に深く悩んだり、傷ついたりしない。
まあ、美味しいとこどけ、幸福感に溺れる。
その様はオトナで強くも見えるけど、ズルいと感じる人もいるでしょう。
イヤなものを見ないのは、弱いから。
怖いから考えないのかもしれない。
そして、突然の別れ。
後味の悪い別れ。
残された二人は、人の縁を結ぶ仕事をすることになる。
本作をBLではない、という方もいらっしゃるでしょう。
でも、この人間と人間の関係性は、異性愛では、きっと描けないと思う。
こういう作品が描けるキャンバスの奥行きがBLだと改めて感じました。
阿部先生の作品は、自問自答するというよりも、人が人と出会い、交流するなかで、ジワジワと、成長したり、優しさを表現できるようになったりと、変化していく。
クズがただのクズでは終わらないところが好きなので、今作は大満足だった。
もちろん、続きも読みたいよ!
少し幼さが残る高校2年生。黒澤。
家族不在の毎日もきっと愛情深く育ったのかな(と信じたい)。
ひとりでいたい人。でも、学生中は「みんなでぇ」が基本だから、心地悪い(のだろう)。周りから浮いてるのかまではわからない。
新担任の吉岡先生は、完璧な隙のない大人に見えて、「好きじゃないかも」が、第一印象。
でも、そんなに生真面目じゃないんだ! と気づき気になる存在に。
吉岡先生は外面聖人(星人)で、毎日気を張っているのかも。それを見透かす、黒澤の真っ直ぐな瞳と言葉に、居心地の良さを感じている。
黒澤が自分に惹かれていることに気づいてはいるものの、、、
静かに物語が流れていく。
小さなアクシデント。
溢れる感情。
悲しいことが、起きなきゃ良いなと、祈りながら読んだ。
ハグが誰かに見られたりしない?
引き裂かれない?
結論。
そんなドラマティックなことはないけれど、高校教師と生徒は、その間に引かれた線を大きく超えはしない。
当たり前の当然のお話。
で、時は流れて5年後の再会。
一気過ぎる!
ここから大人のふたりの恋が始まる!
続き読みたい。
甘える吉岡先生たくさん見たいなぁ。
映画「CLOSE」では、主人公のバストアップが多くレオの視線が、言葉を超える力があったが、黒澤の瞳の力は、それを思わせた。
だから、心の何処かで映画「CLOSE」のような、暗転をイメージしちゃったのかも。
(余談ですが、この映画ホントにオススメです!)
幸田先生の作品だからね。そこは心配無用だったな。
それでも、公園からの帰路。保健室からの帰路。心震えました。
はやく、次の作品読みたいです!
シリーズ五冠目。
5巻目なんだけど、冠でも問題ないのよ。
じゃのめ先生、アニバーサリーをともに祝い。本当におめでとうございます。まだまだ通過点ですから。これからも期待しています。
全ての作品が大好きです。
さて、本作冒頭。
「オイッ、まだ2年だったか!」とびっくり。
丁寧に描かれているからこそですね。
前半の「あの市川が、スランプ?」事件から始まり、真央と寿、それぞれがお互いに悩みを抱え、でも、ちょっとしたことでばれてしまうが、逆にそれでまた、絆が強くなる。
真央から見た物語が前半で、後半は寿のモノローグ。彼の抱えた孤独がチラリと見える。
そして、演劇部な密着する映画部。
「これって、人生に似ている」と語れるのも、真央が高校生だからかもしれない。年齢を重ねたら、もっといろいろ言葉を重ねすぎるから。
真央が愛を知るときもそう。
まっすぐな理屈じゃないのよ! が溢れていて。
映画部も演劇部も、仲間同志、感情をぶつけて、わかり合おうとする。
60歳の私は、彼らのようにはもう語れないかもしれない。でも、彼らの言葉に胸が熱くてたまりません。
泣いちゃうよね。
人前でも、感情爆発させて泣いていたことを思い出す。
今シリーズは確かに登場人物が多いし、スピンオフのカプ以外もキャラが立っていて、いつ誰のストーリーが始まってもおかしくない。
あぁ、永遠の2年生でいてください。
でも3年生も、大学も、早く社会人も読みたい!
2巻は来年夏。
1年なんて長すぎるけど(コミック派)、夏が来たら、すぐ師走だから。心して待っております。
こんなに素敵なお話、読んだらみんな、「じゃのめ先生ありがとう」と言いたくなりますよ。
独自の世界観での物語ですが、今生きてる人たち、みんなに響く内容だった。
可能性は大きくて、目標や夢、やりたいことが人を強くしてくれる。
なかなかやりたいことが見つからない人も多いと聞く(うちの三人の20代の姪っ子も)。
でも諦めてはいないか?
そんな問を自分に向けるきっかけになった作品。
背負う現実の厳しさ、環境。
ゆるして。
そう吐露出来ない人もいるだろう。
許すよ。
その一言で、自分の世界観や視座が変わるのかもしれないとも思いました。
で、ここから先の奮闘も読みたいし、ラブいちゃも見たい。
でもコミック最後の見開きに、サラリと未来が描かれていて。
やられました。
映画のエンドロール後に隠されるストーリーのように。
こうやって終わらせてくるところが、山田ノノノ先生らしい。
次回作が楽しみ