貫井先生の「狼殿下と身代わりの黒猫恋妻」からファンになり、他の著書も拝読しております。
貫井先生はとにかく人物の設定や特質がしっかりとしていて、それを軸にしたストーリー展開が素晴らしくて大好きです。
特に、受けも攻めも心に傷を持っていて、その傷の場所や互いの特質がぴったりと嵌まり、この2人だからこそ惹かれ合う、癒しあえる、愛してしまう、という性別を越えた唯一無二感が、これこれ!という感じでぶっ刺さります。
今作もまさに、これ!涙が宝石になる受けの怜優(某白書の雪◯さん思い出したのは私だけではないはず)、見た目の儚さを裏切り肝が据わっている怜優、なかなかの男前で一族の特性はあるものの普通の男の子な感じが良かったです。流す涙は感情に寄って色の違いがあり…と、それがまたストーリーの大事なピースになっていてすごい。
そして攻めの煌牙、生い立ちや環境のせいで皮肉屋で諦観を纏った淋しい人です。怜優に否応なしに惹かれ、でも自由にしてやる言った約束のために諦めなくてはならず…。
別離を前にしたささやかな頼み事、台詞、それ健気受けが言ってるの何回も見た!!皮肉屋の健気攻めか!好き!!
クライマックスの宝石を介した2人のやり取りが切なくて、「うぐぅ…!」とうめき声があがります。とてもとても良い!
注意点としては、煌牙の義理の母がおぞましいです。しかし物語のスパイスとして最高。
電子のおまけSSはみんな大好き?第3者目線です。わかるわーと頷く仕様となっています。
面白すぎて、読み終わってしまうのが勿体なくて、途中意味もなく本を閉じ(電子ですが)、掃除をしたりと1人焦らしプレイに興じてしまいました。ゆっくり浸れるように精神的にも時間にも余裕があるときに是非!
小中先生と奈良先生のタッグは買うしかねぇ!と購入。小中先生は色んなテイストの作品を何作品も産み出される引き出しの多い先生だと思いますが、今回はダークファンタジーです。先生の作品はダーク系が特に好きなのでとても楽しみにしていました。
そして裏切らない完成度!
タイムリープものは物語に齟齬が生まれたり説明が長くなったりと難しいと思うのですが、スルスルと読めちゃう。複雑な展開もストレスなく、説明に過不足なく、お色気も挟みつつ(奈良先生は神)といった満足の一冊でした。
主人公のガブリエーレは融通が利かず頑固、人間関係の構築が苦手で、良くいえば清廉潔白、悪く言えば石頭のコミュ障。性格が災いして陰謀に巻き込まれ処刑されますがなぜかタイムリープして、というお話。
新しい人生をやり直す拠り所は自分を裏切り死に追いやった恋人と、正体不明の黒幕に対する復讐心です。
でもガブリエーレ、根が素直なんでしょうね。これまでの自分を反省し、前回の人生で取り零してきた真実・周囲の思い、過去などに気づいてどんどん変わって魅力的になっていきます。
そして抑圧していた心を解放し、あえて深い関係になった攻めアレッシオを知るほど、復讐と愛しさで心が揺れていきます。アレッシオの気持ちは演技だったのだろうか?と。
ガブリエーレの心の動きや、周囲の人の変化が魅力的に書かれていました。
受けでも攻めでも、過去(今回はタイムリープなので未来ですが)を反省しながら足掻く人物が大好きなので、たまらんかったです。
攻めのアレッシオは、子犬の皮を被った大型犬です。可愛い。えっちのときちょっと意地悪なのもよし!瑕疵のなさそうなアレッシオの真実に迫るシーンはドキドキです。
どうしてタイムリープしたのか、黒幕は誰なのか、アレッシオの心は、と途中でやめられない展開なので時間をたっぷりとってのめり込んでほしいです。
最後、巨悪と対峙したガブリエーレの決断が、正義ではなく自分の欲望に依るものだったのが、とても人間らしくダークファンタジーを貫いていてよかったです。
Webで読んでおり、とても面白かったのと挿し絵のミクロ先生に惹かれて電子で購入(シーモア)。
記憶が曖昧ですがWebに少し加筆されていたかな?あとは番外編が3本ついていました。Webで読んだよ~という方も、その後の番外編があるので是非。
まず、受けのユーニス。美人で健気です。王族の矜持をもち苦難を静かに堪え忍ぶタイプ。芯がしっかりしていて機転も利くので、ハラハラドキドキの展開にも、ある意味この子なら大丈夫!と安心感がありました。
普段は物事に動じず自分を律しているのに、攻めのグイードだけには感情が押さえられずダダ漏れちゃうのも可愛かったです。この特別感、グイードがメロメロになるのもわかります。
攻めのグイードはとにかく格好いい。
騎士であり忠誠心も篤く理性的な大人ですが、諸事情で記憶喪失・剣奴のふりをしているため、粗野で意地悪、色気ムンムンを装っています。いや、装っていたの?という描写もあるのでつまり一人で2粒美味しいです!二面性が性癖の人には堪らないです!!
本来は理性ガチガチの人がユーニスの天然の色香に辛抱たまらん!となり陥落する様はとてもえっちです。
両視点で話が展開するので、2人の気持ちのすれ違いや、盛り上がり方、特にグイードがユーニスに惚れた部分は読者も好ましく思うところだと思うので説得力がありました。
結構血が飛び散るハードさと、割りと多めのお色気が「この世界大変だな…」という生々しさになっていました。
身分を偽って敵国に入り込み、ユーニスを救出しようとするグイード。
祖国と自身の危機を感じてはいるけど、身動きが取れず、その中でなんとか生きようともがくユーニス。
無事救出できるのか、祖国の様子は、その後は、とハラハラする場面が次々と訪れどんどん読み進めてしまう力があります。
シリアスな展開の中にも、グイードのモンペが発動していたり、2人の切なくも甘いやり取りがあったりと緩急が絶妙でした。
注意点としては、名前ありのモブにユーニスが辱しめられるところ(最後まではありません)、グイードを性的に見ている名前ありの女性がいる、ユーニスのお母さんの過去がとても悲惨、といったところでしょうか。
最後に、第3者視点大好きマンも大満足な番外編があります。
Web小説で連載しているときから追いかけており、大好きなお話です。そこに大好きな伊東先生がイラストということで、迷わず購入しました。
なるべく内容に触れないようにしますが、念のためネタバレありにいたします。
作者のさか先生の、淡々とした文章に滲む心情の豊かさが好きです。特にこの『宰相閣下と~』はいい年した大人同士なので、仕事に矜持を持ちバリバリ働く理性的な人たちが恋にもだもだ!するのがたまりません。
理性の糸がゆるんで感情が迸るシーンがたまらなくキュンとするのです。そこに伊東先生のイラストがですね…神でした。ロアもガウナーも本当に素敵に描かれていています。
ロアのやや自己肯定感低めで、ワーカホリックで、育ちゆえに周りの折衝役になる事が多く穏やかなところがとても魅力的。
ガウナーは国民に同情されるくらい仕事に忙殺されているのにロアに対して心を砕いている様子が素敵です。そして仕事ができる。第二部でガウナーの出来る男具合が堪能できます。
私の検索履歴に「宰相」が常にあるのはガウナーのせいです。格好良すぎる。
ファンタジーなだけあって、馴染みのない独自の単語がでてきますが、そこを敬遠せずに読み進めてほしいです。出来ればうんとのめり込めるように時間にゆとりを持って世界に浸って欲しいです。
登場人物も多いですが、みんな魅力的です。ロアとガウナーをなま暖かく見守っています。個人的に好きなのはトール。
お色気はあっさりめなのですが、普段とのギャップがエッッッッ!!となってつまりエロいです。
仕事できる理性的な大人が、お互いの気持ちを量りかねてもだもだすれ違うのが好きなかたはぜひ。
作者様買いです。ファンタジーの世界観とキャラ設定がいつも丁寧で、無理のない(でも抜群に面白い)展開が好きで、今作も購入。
私の求めていた冷酷攻めはこれであった…!攻めのタールグは受けのレオナに惹かれるまでは本当に冷酷なんです。為政者として必要なことだけど、まぁ疑り深い。それがボロボロと崩れる様にある種の快感があります。絆され攻め最高!
今で言う学習障害のあるレオナの世界はぐちゃぐちゃで常に混乱の中にいたけれど、タールグに会うことで世界の中心が定まり生きやすくなる。
そしてタールグは冷酷に、冷静に、人を信じず物事を断じていたのに、レオナとの交流で自分を振り返り、世界がぐちゃぐちゃになります。
この対比も良かったです。依存ではなくお互いに影響しあうところが。キャラクターの特性が上手く噛み合ってストーリー展開に説得力と深みを持たせていました。
本編、とても面白かったです。
そして電子おまけSS、タールグのキャラがデロデロに崩壊しています。シリアスな本編とのギャップにどうしたどうした?とニヤニヤしながら読みました。おまけの醍醐味ですね。下ネタで頭の中桃色な攻めに笑いました。
不遇で健気だけど芯のある受けと、受けに会うまで愛を知らなかった冷酷攻めが、お互いに振り回されるお話が好きな方、お勧めです。
なるべく本編には触れないように書きましたが、念のためネタバレ設定にします。
切江先生の作品大好きなのであらすじも読まずに購入。
切江先生作品はキャラの良さ、クスッと笑える言葉のチョイス、お色気シーンのエロさがお勧めポイントなのですが、全てそろっていました。ありがたいことです。
読んで数ページで笑い、なるほど今回はこのパターンで同棲開始ですねとにっこりいたしました。切江先生、同棲とか同居設定お好きだと勝手に思ってます。
展開としては現実にはあり得ないだろ~!と笑いながら突っ込みつつも、こんな2人が現実にいたらいいなと思わせるのはキャラの良さとそれを生かしたストーリー展開の巧さだと思います。変な思考回路も、まぁこの攻めちゃんだもんね、と説得力があります。
受け攻めそれぞれがとっても可愛いので、2人のやり取りは二乗で可愛いです。
登場人物みんな個性的でいい人ですのでストレスフリーで甘々コミカルな話を読みたい方にお勧めです。
そして何より猫様ですね。猫好きならウンウンと頷く描写が多く癒されます。
猫様を撫でながら読みたい作品です。
好きな作家さんが何人も参加されていたので購入。
本のタイトル通り1話が5分位で読める短編集です。内容は書きませんが、とても良かったです。
初恋が実る話、再会もの、失恋、幼馴染、身分差など、きっとどれかは性癖にぶっ刺さるのではというラインナップでした。
短いけれど余韻に浸れるお話も何作かあり、どこかで続きを書いてほしいなぁと思います。
さて、私はBLはお色気あってなんぼじゃろがい派なのですがこちらの短編集はどれもズバリのシーンはありません。
あってもキスまで!ピュアっピュアのキュンキュンです。
それでも買って良かったな~と思ったので、ピュアが好きな方はもちろん、お色気好きだけどたまに来る清らかムーヴに浸りたい方もぜひ。
隙間時間に読めるのも短編集の良さですね。普段小説読まない方の入り口としても素敵かなと思います。
前作を無かったことにして、執着ヤバめで視野が狭い旦那×健気な王子の話だと思って読めばとても面白いです。
実際、前作が頭によぎりつつも読む手を止められず一気読みでした。
読みやすい文体ですし、相変わらず健気な主人公は応援したくなります。
ただ他の方も書いていらっしゃるように攻めどうした?と突っ込みをいれたくなります。
溺愛がヤバい方向にいっていて、それなら主人公を構い倒せばいいものを、仕事を理由に放置。主人公かわいそうです。
そして極めつけの暴言。
希望としては上下巻になってもいいので存分に攻めざまぁして欲しかったです。姿眩まして、攻めは死ぬほど後悔して泣いてすがり付くくらいして欲しかった(すがり付いてはいましたが)。領地の執事や子どもたちからボッコボコにされて欲しかったです。
でもとてもいい子な主人公、すぐ許しちゃうというかむしろ自省しておる。
他の方のレビューを薄目で読み覚悟していたので、それほどショックを受けず楽しめました。攻めざまぁが性癖の私としてはちょっと物足りなかったですが、健気で賢い受が好きな方はぜひ!
もしシリーズ続くようなら勿論買います。
大雑把な感想を羅列します。
・初期の主人公と王様のやりとりが面白い。攻めが王様だと気付いたときの「うえぇ」が可愛くて笑います。素朴で素直な反応だから人間不振の王様も絆されたのね、と微笑ましいです。
・受けは割りと気が強いし頭いいけれど色恋には天然で可愛いです。うじうじしてないのも良い。
・最初はツンツン王様なのに気持ちを伝え合ってからのデレがすごい。口が悪くて皮肉屋の王様どこ行ったの?言葉惜しまない、えちは丁寧、の豹変具合が嬉しい誤算でした。幸せで困ったと言い合う二人の可愛らしさにきゅんとします。
・電子特典で、王様の甥視点の話が入っています。第三者目線大好きです。
本大好きの受けの為にこっそり好きそうな本を棚に忍ばせておく攻めと、それを見つけると嬉しくて寝食忘れて読んじゃう受けの会話があるのですが、ただひたすら可愛い。第三者の言葉で厭世的だった攻めの変化が改めて分かるの大好き!
・脇キャラも良かったです。
成り行きで受けの従者になったマルクス(まともでいいやつ)
後宮に入れられた猪突猛進の公爵令嬢(アドバイス系女子)
受けが処女かどうかを見ただけで判断する将軍(スピンオフ見たくなる野生な人)
やり手の宰相(あなたの視点も読みたい)
あたりが好きでした。
前半のツンと後半のデレの落差、おすすめです。