飴パラ5巻。すごーく楽しみにしていました。
新しい刺激とか、新たなジャンルとか、そういう新鮮なものも常に求めているけど、こういう安定したカップルによる安定した萌えもとーっても大切。
安心感やホーム感っていうのかな。
飽きない長寿番組観ながらおこたでぬくぬく〜ってな気分になれる良質なシリーズものって、私にとって本当に貴重なのです。
今回は蕪木の高校時代の友人三条が登場し、二人の間をチョロチョロと掻き回し。
そのあたり、前回の笠井と同じような役回りで、人を取り替えただけとも言えるのですが、むしろパターン化された安心感があって、私としては嬉しい。
お約束の流れかーらーのー、
蕪木×尾上のあたふたっぷりと喧嘩っぷりとイチャイチャっぷりが見たいんですもん。
2年のインターバルがあるからかな。飽きない。
今回は三条を通して、尾上と雅やんの仲にモヤモヤしている蕪木の気持ちが、尾上にも少しはわかったのではないでしょうか。
そう考えるとノンケカップルって、男にも女にも嫉妬したり疑惑を持ったり、警戒対象が広すぎて大変だなぁ。
脇役も増えてきてますます賑やかな飴パラワールド。
次巻も楽しみにしています。
5編からなる短編集。
軽やかな学生の初々しい恋愛から、ダークな犯罪ものまで、バラエティに富んでいますがどれも秀逸。
表題作「マジックメールチョコレート」は、中でもお気に入りの一編。
片想いからはじまる同級生同士の物語ですが、切ない片想いをバレンタインに絡めて描いたエピソードはとても優しくて甘酸っぱい。
最後の描き下ろしも含め、あと一口で満腹なのになぁというような、ほんの少しの物足りなさがよい。
「好きだよ」の一言が読みたい。でも書かれてはいない。
その絶妙な空白が、素晴らしい余韻を残してくれるのです。
短編もうまい作家さんだなぁと思う。
語り過ぎず、もっと読みたいというところで終わる。胸はドキドキしたまんま。
気だるそうな美形が多々登場するのも、ドキドキの一因ではありますが。
「アフターダーク」
ゾッとするラスト。
これは!
さすがはらださん。
なかなかここまで描けないですよ。すごいわ。
カス、クズ、クソ。
はい。めちゃくちゃ性にだらしない男たちばっかり登場します。
変態的性生活によりエリートコースを外れ左遷された粕谷が、左遷先の田舎でアナル好きな性癖がバレ、バレたんだからまぁいいかーとばかりにお隣さんのアナル好きな葛谷とネコ争いを繰り広げる。
とまぁホントどうしようもない話なんですが、クソライフをはらださんが描いたらこんなにも劇的になるんだーって、感動すらしました。
とにかくおもしろい。エンタメとして最高。
いやでも、仕事とか人間関係とかモラルとか、そんな理性を取っ払った素直な男の本能を素直に描いたらこうなるかもね?と思える、ある意味目から鱗な作品なんですよ。
イジメとか強姦とか、快楽重視のエロだけの関係とか、純愛とは程遠い内容です。
(イジメ犯のレオは、葛谷に対して純愛のつもりはあるんですけどね。相手に全く受け入れられてないというのが大問題)
そんなところから、2巻ではどうなるのかな?
基本ネコ取り合いのポジション争いは好きじゃなかったのですが、あまりにあからさまに快楽を求めていく粕谷葛谷の正直っぷりにやられました!
いっそ清々しいわ。
とても美しい物語。大切な一冊です。
読後のなんとも言い難い胸の苦しさ。
切ない物語が、心情豊かに、しかし淡々と描かれているのです。
老いるまでの生涯を描いた作品はどれくらいあるでしょうか。
大抵は、人生の一番キラキラ輝いた一場面を切り取ったもので、それはそれで美しい。
でも、酸いも甘いも、美しさも醜さも、一生涯には様々な物語があり、中には黒い歴史もあるものではないでしょうか。
大正時代という激動の世が舞台のこの作品。
今とは違う規律や偏見や常識がある中、幼馴染の麻倉と立花は、お互いを想いながらもいろいろなしがらみに捕らわれている。
でも想いを捨てられずに、実に数十年をかけて恋、すなわち自由を手にするために戦う、そんな素晴らしい物語だと思います。
恋を成就させるために、大切な人、恩ある人を失意の底に落としもするのです。
ただ美しいだけの物語でない、そんなところに強く魅力を感じました。
“瞬く間に過ぎた 愛しい日々”
最後の1ページには鳥肌が止まらず。
文学的で静謐な雰囲気に飲まれた一冊でした。