お互いが手の平で作り出す花の交換シーンから始まる美しく印象的なオープニング。花の王国を舞台としたオメガバースのお話です。オメガバらしくシンデレラストーリーの構造。赤・青・黄と様々なイケメンが出てきて乙女ゲーを彷彿とします。オメガは虐げられているけれど、言われたら言い返す負けん気の強い受け。犬飼先生の作品で好きなのは、受けが自虐的にならず戦うところ。個人的にはライオンを思わせる黄貴いいじゃん!と思ったけど、犬飼先生的にはサブキャラのパターンですね。 奈良先生の描く黄貴の魅力的なこと。あとがきでもコメントされていたけど好みだったらしいw 世界観が美しく面白かったけど、本作はどちらかというとエロ優先で心の触れ合いは最小限、ときめきは少な目に感じました。不可思議だったのは、休学してまで大至急子供を作ることになったのに、なぜかラストシーンが素股フィニッシュ。わたしの読解力不足なんだろうかと読み返すも、今は避妊しなければならないという描写はあるものの、それがなぜなのかの説明が無く、謎が解消されずもやっとしたままの読了となりました。続編ありで、まだ展開あるってこと?だとしても、あえてこのクロージングになること自体もしっくりせず。こだわり過ぎ?w
あとがきにありましたが、本作はメソポタミア風ファンタジー。かなりニッチだと思うのだけれど、神話の世界に近いようなエキゾチックな世界観です。一途で可愛すぎる子狼時代の攻めと、孤高の壁が高すぎて、なかなか氷解出来ない超絶に美しい受け。この2人のジレジレなら前後編で読んでもいいなと思うくらい良かった。氷解し始めてからの展開が早くて、ややもったいないw もっと引っ張れそうなんだが。。。シリーズでも展開できそうな、ポテンシャルを感じた世界観でした。次はどの守護獣がいいかな。。。ムキムキ親衛隊「ムッキーズ」の描写の熱いことw BLファンの賛同を得られるのか分かりませんが、個人的にはいいね。。。!と胸が熱いです。
大好きなシリーズの5作目。4作目までは少し怖さを感じる耽美な世界観が多かったけれど、本作はキラキラと精霊の舞う美しい世界。子供の頃に読んでいた不思議な世界観の外国童話を思い出す。奔放が過ぎて呪いを受けた美しい王子と、孤独の中で誰かに愛情を注ぎたい家具職人の男の子。職人ゆえに手荒れをしている小さな手の描写には、いたく萌えを刺激されます。受けの美徳に触れるにつけ、心を入れ替えて本来のポテンシャルと甲斐性を発揮し始める攻め。月の作用で親指サイズに戻ってしまった王子が、紆余曲折の冒険の後にボロボロになりながらも受けのところへ帰ってくるシーンにじんと来ました。キラキラの余韻に浸れる読後感◎ このシリーズでタッグを組まれている笠井先生のイラストはいつも美しいですが、今回は特に世界観も相まって超絶美麗で可愛くて切なくて最高。このシリーズの耽美さが気に入ってる勢は戸惑う方も多かったようですが、個人的には一番のお気に入りです。ビタミンBL系お好きな方にもおすすめ。