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女性ボトムヘビーさん

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設定の必然性に惜しさが残る作品

1~2巻を通しての感想です。

冒頭はやや強引な展開で始まりますが、物語が軌道に乗ってからは違和感は薄れました。受けがしたたかでたくましい性格のため、読んでいてストレスが溜まりにくい点は好印象です。

日本酒の描写には少し残念さがありました。専門的な知識が必要なジャンルについては、きちんと調べるか、無理に細部まで書かない方が良いと感じます。「日本酒」とだけ書いておけば、冷蔵前提の生酒か、常温保存できる醸造酒かは読者が脳内補完できる部分でもあり、下手に具体化したことで、かえって違和感が生じています。

また、超強い攻めであるカイルが、なぜ・どのようにして奴隷に落とされたのかという経緯の詰めが甘く、どうしても引っかかりが残ります。終盤で種明かしをする為に棚置きしたんだと思いますが、「一生一緒にいよう」と誓う相手の出自を確認しないまま物語が進むのは、さすがに不自然に感じました。ここは詰めて欲しかった。

2巻に入ると、エロ描写が前面に出てきて、エロのフルコース状態になります。また、ストーリー面の粗さが目立つようになりました。カイルの「焦げた匂い」の謎も、服の摩擦によるものという回収には拍子抜けで、この伏線自体が不要だったように思います。

さらに、攻めが王子であるにもかかわらず、元SEの受けが王になるという展開も、そこに至るまでの説得力が不足しており、戸惑いだけが残りました。ちょっと変わった設定にしたかったのだと思われますが、「元SEが王になる」ことの必然性を提示するのは、簡単ではないように思います。個人的には、無理に受けを王に据えるより、過保護な魔王の攻めという立ち位置の方が、この作品にはしっくりきたのではないかと感じます。

身分制度、必要だったかな。。。?

伯爵家を追い出された平民の使用人である受けを、「自分の子を産むこと」を条件に、連れ子と共に保護する公爵の攻め。

身分制度のある世界観なんですが、読み進めるにつれこの身分の必然性・整合性の薄さにだんだん座りが悪くなってきて、没入感が薄れてきます。身分制度のある作品を多く読んでいる人ほど、おそらく違和感を感じるかもしれません。

公爵が平民の受けを連れとして公式のパーティーに同伴する、そのパーティーには受けを追い出した伯爵家も参加する、伯爵夫人が公衆の面前で公爵の連れを「ゴミ」と罵倒する。百歩譲ってマンガ的演出としても、相手が公爵である以上、そのような無礼が無傷で成立してしまうのはさすがに無理があるように感じました。公爵自身が終始軽んじられている印象になってしまい、「なぜ身分制度のある世界観にしたのか」という必然性が見えなくなってしまいます。あらすじを優先した結果、設定に無理が出たという印象ですが、そもそも身分制度が必要な作品だったかという点に立ち返ると、微妙に思います。

また、公衆の場で受けを連れ去るくだりも展開が粗く、物語上の緊張感が十分に積み上がらないまま次に進んでしまうため、読書意欲が削がれてしまいました。(あれだけ何度もヒロインが誘拐されている「王家の紋章」だって、毎回ハラハラするエピソードの積み上げがありますw)

さらに、攻めが土壇場で番になることを過剰に遠慮し続ける点もストレス要因でした。葛藤として描きたい意図は理解できるものの、優柔不断さが長引いて、ロマンスとしてのカタルシスが弱まってしまったように感じます。ここはもう少し思い切って踏み込んでほしかったです。

終盤は流し読み気味になり、なんとか読了しましたが、全体としては展開が既視感のあるものに留まり、歯切れの悪さが最後まで残りました。前作『超好みな奴隷を買ったが~』の1巻(※)が比較的面白かっただけに、積読していましたが、やや期待外れだったという印象です。合わない人には合わない作品かもしれません。

※ちなみに2巻まで読むと印象変わります。2巻まで読んでから本作を買えば良かった。。。

平民優等生、恋をして悪魔的に変貌する

どこか欧米の翻訳小説を思わせる文体で、読み進めるうちに韓国BLの洒脱な会話劇もふと頭をよぎりました。冗長さを少し間引いてテンポアップすれば、さらに読みやすくなりそうです。

受けは平民でありながら監督生という立場ゆえにいじめの対象となり、攻めは美貌と地位を兼ね備えた上位貴族でありながら、動物の性質を受け継ぐサヌス人の血筋ゆえ差別を受けています。
いじめの一環として、受けは攻めに告白して来いと無茶振りをされます。事情を察した攻めが、その告白を戦略的に受け入れたことで、二人の関係は始まります。

焼きもちから攻めが受けに強引なキスをしてしまい、「たかがキス」と言い放つ場面で、受けは烈火のごとく怒り狂います。「強引なキスなんてのはフィクションの中でだって流行らない」という受けの言葉が痛快です。表現の自由があることは重々承知していますが、こうして時代のコードをきちんと踏まえた描写がなされている作品は、安心して読めます。

物語冒頭と後半では、受けの印象が大きく変わっており、まさにタイトル通りの“悪魔的な変貌”を遂げます。わたしもそうでしたが、あまりに変わり過ぎて別人?と戸惑う人もいるかもしれません。
受けの癇癪によって壁一面に蔦が生い茂る、ボタニカルな図書室のエピソードがお気に入りです。

身分差ゆえに思惑がすれ違う中、改めて互いの気持ちを確かめ合うラブシーンは、少し可笑しくて素敵な一幕でした。

とても楽しく読了しましたので、別の作品も読んでみたいです。

人魚姫オマージュを超えた意欲作

イラスト担当の笠井先生が連日サワガニネタをポストされていて気になっていた本作。設定だけ見れば、BL史上屈指の異物感を放つ作品だと思います。

人間になりたかったサワガニのチャロは、人間が捨てたゴムの中の精液をすすって人間になります。かなり衝撃的なオープニングですが、読み進めるうちに、まるで幼少期に読んだメルヘン童話のような感触へと変わっていき、けなげなサワガニの姿に思わず涙腺が緩みます。人魚姫オマージュの作品と言えますが、そう捉えると、ややグロテスクな描写もまた、残酷な童話のエッセンスのように感じられてきます。

この作品が、単なるコミカルな童話オマージュで終わらないのは、終盤の凄みにあります。前段として、蟹の父が脱皮した母を食べるという描写があり、人間から蟹に戻ってしまう受けは、自分が息絶えたら攻めに食べてほしいと願います。人間の倫理の際を強く揺さぶる展開で、ラノベやBLの枠を超え、オマージュを超えた意欲作だと感じました。

特に攻めの人物描写が素晴らしく、愛した蟹を食べるという狂気と純粋さを併せ持つ人物像がきちんと提示されており、強い説得力があります。自分だったら、とても相手の望みを叶えてあげられないだろうと思うからこそ、攻めが背負う壮絶な孤独と腹の据わった覚悟に、ただひれ伏す思いでした。

「もう生きていないはずの口が、ブクブクと泡を吹いたのだ。その姿は、まさに蟹の念仏のようだった」という一文がありますが、なぜかXでバズった「グエー死んダンゴ」というネットミームが脳内でリンクしてしまい、まさにあれは念仏だったと、さらに号泣。これだけのとんでも設定とシュールさを前に、なぜ自分が泣いているのか分からなくなりながらも、世界観に引き込まれたまま一気に読了しました。

ラストには祝福と救済が用意されており、大きな余韻を残しつつ、読後感よく物語は閉じられます。

死に戻り設定の難しさを感じた作品

階段から突き落とされ、死の世界で「お腹にいたはずの子ども」に手を引かれて歩くという鬱度マックスのオープニングから物語は始まります。情景描写はとても丁寧で細やかに描かれています。全体の構成はサスペンスドラマ的で、謎を追いながら話が進行していきます。

ただ、読み進めるにつれて、この作品の「お茶の間サスペンス的な様式」が自分とはどうしても噛み合わなくなっていきました。死が様式化され、物語を動かす装置として消費されていくタイプの演出に既視感と疲労を覚えます。

特に受け入れがたかったのは、攻めが死に戻りを選択するに至る動機の軽さです。自分が要因となり受けを死に追いやったことへの罪悪感だけで、自死という選択をするのか。さらに死に戻り前の人生では、受けとの情事の最中に別の女性の名前を呼ぶ描写があり、感情の軸が明確に他者へ向いている状態が示されています。その状況で、受けへの「興味」や後悔だけを理由に、世界線を捨ててまで死に戻りを選ぶ決断ができるのか納得がし難いです。
さらに受け入れがたかったのは、生後3か月で死亡した子どもが、攻めを死に戻りへと誘う描写です。死に戻りや自死といった、重く邪念に満ちた決断を、無垢な存在に語らせることで免罪しようとする構造には強い違和感があります。この場面ではキャラクターの意思よりも作者の意図が前面に出てしまい、没入感を大きく損ないました。

死に戻り設定自体は近年のブームの一つだと思いますが、現代劇では選択肢が限られる分、「なぜ命を捨ててまで戻るのか」という人間的動機の説得力が強く求められるように思います。ゲーム世界のように死に戻りが前提の舞台とは、要求される精度が異なります。

BL的な文脈で見ても、情事の最中に別の異性の名前を呼ぶという描写は致命的、レッドカード、試合終了です。。。

作中で映画を通して語られる戦争や死の描写は印象的で、そこまでは感動しながら読んでいました。しかし後半になるにつれ、死が軽く扱われていくことで、悲劇というよりも既存のサスペンス記号をなぞっているように見えてしまい、うんざりしてしまいました。

最後まで読了はしましたが、生や死、愛情の成立条件に対する価値観に隔たりを感じましたので、次作を読むかどうかは迷う、というのが率直な感想です。

BLに女子いらない説への回答、出ました

前世で悲惨な結末を迎えた妹を“悪女”にしないため、受けが死に戻り後の人生で妹を溺愛しながらもスパルタで鍛え直します。脳筋な受けのマインドは妹にも受け継がれ、彼女はまさかの進路を選ぶことに。彼らの脳筋が発揮されるくだりが面白いです。

BLに女子いらない説が再燃する中、本作では様々な種類の女性が描かれています。男性キャラと同様、良い面も悪い面も併せ持っていますが、強い女性が多いのが印象的です。
本作の人気ぶりを見ると、キャラクターの深みと魅力があり、お話が面白ければ女子キャラがいてもまったく問題ないのだなと感じました。

前世で受けを処刑した攻めを愛せるのかという難しいお題で描かれる本作。正直、記憶喪失にでもならないと難しいのでは?と思いつつ読み進めましたが、それでも関係性に納得感を持たせてくるのはさすがだなと感じました。

番外編やSSを含めると1000ページ近いボリュームがありますが、あっという間に読了しました。読み応えがありつつも最後まで楽しく読める一作です。

間違いなく神作。ただし好みは分かれる一点あり

オメガバースを下敷きにした世界観のもと、国家運営、戦争、宗教、歴史観といった要素にかなりのページ数が割かれており、ラノベという枠に収めるにはかなり骨太な作品です。BLとして読む前に、重厚なファンタジーとして成立している点が印象的です。

登場人物はとても多く、「これ誰だったっけ?」となる場面も正直あり。その分、序盤はやや読みにくさを感じるかもしれませんが、それを補って余りあるほど、世界観の作り込みと物語の引力が強く、気づけばぐいぐい引き込まれていきます。

あえて残念だった点を挙げると、2人攻めという構造の難しさでしょうか。2番手の喪失に加え、陛下(第一攻め)との関係性もどこかほろ苦く、好みが分かれるところだと思います。番外編で一定のフォローはされているものの、攻めが亡くなるというのはショックが大きく、もの悲しい余韻が長く心に残る構成でした。欲張りな私としては、できればスピンオフとして別作品で分けてほしかった。

とはいえ、続きが気になってページをめくる手が止まらない、非常に力のある作品であることは間違いありません。人間が考えるべきテーマが数多く盛り込まれた良書で、若い読者ほど読んでほしい一作です。
なお、最後の番外編では物語序盤の伏線が回収されるという、興奮ポイントがありますw

ちび賢者萌えの人に刺さりそう

異世界転生したアルヴィが、9歳という年齢ながら領地改革に関わっていく物語。
「チート持ちじゃない」と言いつつ、9歳で領地運営ができている時点で能力的には十分チート。ちび賢者萌えの方に刺さりそうです。
えち描写は、外見がほぼ大人の姿になっている時のみで、設定上も中身は成人男性という整理がされており、昨今の表現コードへの配慮が感じられます。

「祝福」という名の呪いに苦しむサブキャラクターたちの問題を、アルヴィが解決していきます。その中で、物語の鍵を握る亡き少年・アイロックの存在と謎が徐々に明らかになっていきます。祝福持ちの攻めにとって、アルヴィは『運命』(本作では詳細未解明)にあたる存在であり、友人たちの祝福に共に立ち向かう姿を見るうちに、その執着は深さを増していきます。今後の展開がとても楽しみです。

世界観はほぼゲームシステム寄り。ゲーム転生ではないのにステータスUIが存在する点に、昭和脳な私は最初やや戸惑いましたが、なろう系では既に一般的な表現なようです。ステータスを開いた際に人物の背景情報まで提示されるため、話が早く分かりやすいです。

ユニークなディテールの積み重ねと、テンポの良い展開が心地よく、感動的な場面ではうるっとさせつつも、過度にウェットにならない絶妙なバランス。領地が発展していく様子の面白さ。ボリュームのある作品ですが、飽きることなくあっという間に読了しました。

早く続きが読みたいです。登場人物が多いので、次巻が出たらまた最初から読もうと思います。繰り返し読んでも楽しい作品です。

不憫同士の幸せな結婚、読後感はややもやもや

最北端の辺境を舞台に、魔力を持たない不遇の花嫁と、強大すぎる魔力ゆえに忌避される王子という組み合わせは、どこか「アナと雪の女王」を思わせる構成。設定自体は王道で、序盤は期待感を持って読み進められました。

ただ中盤以降、物語を動かす理由づけに首を傾げる場面が多く、没入感が削がれてしまいました。魔力無しには魔法が効かないということが他国に知られると危険だという展開は、国家レベルの問題としては対策が甘く、物語の都合を感じてしまいます。

また、場面転換が急で、いつの間にかラブシーンに入っているなど、読者が置いていかれる感覚もありました。要所でもう少し状況説明があれば、印象はかなり違ったと思います。

終盤も、受けが攻めの暴走を止められる唯一の存在だからという理由で、あっさりと関係が承認され、積み重ねや葛藤が描き切れていない点が気になりました。国の危機管理において、本質的な解決への道筋が示されないままだった点が残念でした。

孤独な二人の激愛と、胸のすくような読後感

誰にも使われていない教会を住処とし、砂金を採ったり糸を紡いだりしながら、わずかな収入で一人で暮らす受け。一方、皇帝という立場にありながら、特殊な体質のため人に触れられず孤独を抱えている攻め。
受けは育ての親から「皇宮に近づくな」と言い聞かされて育ったにもかかわらず、視察に訪れていた皇帝に見つかってしまう。
孤独を抱えた二人が、互いの人柄に触れていくうちに急速に惹かれ合っていきます。クライマックスに向かっての緊張感ある展開は見事でした。

終盤、退位を考える攻めに対し、「山羊を飼って自分が養う」「立派な山羊飼いになれるよう教えてあげる」と告げる受けの姿が印象的です。男前でフェアなこの発言には好感度大です。
また、危機を通して露わになった国の課題をきちんと見直していく展開も描かれており、単なる激愛ものに留まらない構成は、胸のすくような読後感につながっています。
BLとして刺さる感情描写と、物語としての納得感を両立した一作です。