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hana wa sakuka
不知道花开否
原作コミックが大好きで映画は不安を抱えながら見に行ったのですが、とても良くて、会場でDVDを予約購入しました。原作の世界観を生かしつつ、桜井と蓉一が互いを想う熱量が凝縮されていて、新たな魅力ある物語になっています。
孤独で暗い目をした蓉一が、桜井に惹かれ、桜井をしっかり見つめるようになっていきます。変わっていく蓉一の表情から目が離せませんでした。桜井が自分の抽象画を花だと分かってくれた驚き。桜井の言葉で、自分が絵をかくのが好きなことに気づいて、桜井への気持ちが恋になる。とても自然で共感します。夜のアトリエに桜井が訪ねてきたとき、蓉一が「嬉しいです。あなたと話したかったから。」と、震えるように自分の気持ちを口にする場面に、心が震えました。
桜井が蓉一に惹かれ始めた理由は、蓉一ほどははっきりと描写されていません。忙しい仕事、枯れた観葉植物に心の渇きが重ねられ、青く瑞々しい抽象画を描く不思議な画学生・蓉一に出会い心が動いて、愛しさが募っていったのかな…という感じです。
その分、蓉一と口づけてからの桜井の葛藤が丁寧に描かれています。最初は蓉一の気持ち、次に桜井の気持ちに焦点を当てた、映画らしい動的なストーリー展開だと感じました。
大人だからこそ、あれこれ迷って考え込んでしまう桜井とは逆に、蓉一には迷いがありません。桜井が蓉一を欲しくてたまらなくて、だから避けていたんだと暗に言うと、「ちゃんと分かっています」ときっぱり返すのです。凛とした蓉一が、すごくいいです。
桜井の転勤をめぐって喧嘩した後、蓉一が青い花の絵を塗りつぶす場面。重ねる様々な色が、蓉一の中に芽生えたいろいろな感情を表しています。そして、気持ちを確かめ合った後、その絵の上に描いたのは、二人の未来を表すような淡く優しい色使いの花の絵。絵を描く蓉一の息遣いが伝わってくるような、映画ならではの表現が、鮮やかな印象を残します。
メイキング映像で、撮影がたったの8日間と知り、驚きました。光や風、服装や服の色などで、巧みに季節感が演出され、しっかりと時間の流れを感じていたので。
桜井と蓉一以外の俳優さんたちも、とても魅力的でした。特に吉富さんの存在感が大きく、安心して見ることができました。竹生は出番が少なかったのですが、蓉一の良き理解者として物語を支えていたように感じます。
登場人物たちだけでなく、作り手の熱い想いまでも伝わってくる、素敵な作品だと思いました。
もともとBL作品の実写化に躊躇していたのと、原作に思い入れがあったので、視聴するつもりはなかったんです。ところが「おっさんずラブ」の影響によっていとも容易く障壁が崩されて、早速DVDを購入して視聴しました。
原作を読んだのはかなり前なので、忘れている部分も大きいですが、抵抗なく楽しめました。スタッフの皆さんが、この作品をとても大切にして作られた事が端々から感じられて良かったです。
セットや小道具もこだわりが有り、景色も美しく清々しくなれる作品でした。
蓉一は内面が複雑でとても難しい役だと思うんですが、蓉一役の男の子が雰囲気のある子で、彼なりの蓉一像を生み出していました。蓉一と桜井さんの恋は綺麗過ぎる気もしますが、爽やかで良かったです。下宿の親戚陣も賑やかで雰囲気が出ていました。
難を言えば、コミック5冊分を一時間半に収められているので、端折られる箇所が多く出てくるのでそこが残念な所でした。じっくり連ドラで見たかったなーと欲が出ました(笑)。ずっと登場人物の日常を見ていたい・・という気持ちになる作品でした。この作品って蓉一のお父さんの存在が大きい話だったなーと振り返り、原作を読み返そうと思いました。