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hako no naka ori no soto
原作未読です。
ごめんなさい。何の前情報もなく、ただ、CDレンタルにあって、気になって借りたので、聞いたみたいな私が、レビューなんておこがましいほどの名作でした。
そして何も知らずに寝りにつくまえの子守唄くらいの、気持ちで聴き始めた私は結果、こそから160分ぶっ通しで止められなくなり、半徹夜で、寝不足です。
まず、攻めの圭という人物が今作のテーマといっていいほどに心をもっていかれます。
ネタバレなしでは、語られませんが、控えめにネタバレレビュー。
彼は悲しい生い立ちゆえに、さまざまな、感情が欠落しています。そんな彼が愛情を知ったときにここまでも、情熱的になるのか。そして、ここまでの無償の愛を私は知りません。
そして、タイトルに書いた、恐怖を覚えるほどの執着愛なのに、それがすでに囚人である、彼が、全くある一線を越えない。
独占欲、執着の塊なのにある一線を「囚人」である彼が絶対に越えないということに打ち震えました。
これまで執着で、誰それ構わず相手のことなど、顧みずという作品ばかりに触れてきた私にとって、本当に衝撃を受けた作品。
そして寝る前に聴いて、寝落ちせず、心震わせながら最後まで聴いて、余韻で目がギンギンになるほど興奮した作品も初めてです。
音声ゆえのメリット・デメリットがはっきり出ている作品ではありますが、超名作という一言では言い表せられないひとつの、大きな映画を、鑑賞したような気分です。
単なるBLに飽きた。はたまた、名作に触れたい方は絶対聞いて欲しい作品です。
原作未読です。
ここまで濃厚なドラマCDを最近聞いていなかったので、聞き応えたっぷりで存分に世界観に浸れました。
かなり重たい内容なので軽い気持ちでは聞けません(^^;
受けの野辺さんは初めて聞きましたが、若干田丸さんに似てる気がします。
役柄と合った声質で演技も安定していて落ち着いて聞くことができました。
川原さんは相変わらずの低温色気たっぷりボイスですが、今回は内容に合わせてか色気は若干控えめな印象でした。
でも重低音な声が作品の重さと合っていてしっかり聞かせてくれます。
崇文に迫る時や愛情を伝える時の真っ直ぐな誠実さが声から伝わってきてぐっときました。
内容についてはあまり触れるとネタバレになるのでやめておきますが、次から次へと不幸な出来事が起こるのでもうやめてあげて!ってなります(笑)
でもここまで濃厚な内容がドラマCDとしてしっかりまとまっていて最後までじっくり聞かせてくれるので大満足でした。
ただ、絡みシーンで何をしてるのかが分かりにくかったのがちょっと残念でした。
原作から12年を経てのドラマCD化。なぜ今までCD化されなかったのか不思議ですが、遅れて木原さんの作品にはまった私としては、本当に嬉しいです。CDは二枚組、約160分の大作です。
「箱の中」は、Disc1からDisc2のトラック1まで。痴漢の冤罪で服役した堂野は、拘置所での過酷な生活の中、喜多川に助けられ、彼との交流を深めていきます。やがて喜多川が堂野に恋愛感情を抱き、戸惑う堂野の気持ちを無視して無理矢理体の関係に及んでしまいますが、堂野は先に出所し、喜多川とはそれきりになってしまいます。
拘置所で理不尽な仕打ちを受けた堂野の虚無感や怒り、喜多川に助けられ少しずつ穏やかさを取り戻す様子、喜多川から寄せられる恋情への戸惑い、そして迷いながら喜多川と関係を絶つ悲しさを、野辺さんが情感たっぷりに演じています。堂野の普通の人間らしい優しさ、弱さも自然と伝わってきました。
川原さん演じる喜多川は、肉親の愛情を知らずに育った、情緒の乏しい男。はじめは堂野に何か言われても「ふうん」と、感情の見えない口調だったのに、堂野に恋愛感情を抱くと、声音に不安や甘さ、切なさがほんのすこしだけ混じり始めます。川原さんの演技の、その匙加減が絶妙で!
特にすごいと感じたのが、「俺はあんたを好きだけど…、好きな間、ずっとこんな気持ちでないと行けないのか?」というときの、…の部分の震えるような息の音。音声でなければ伝わらない切なさに、胸が締め付けられるようでした。
Disc1の終盤、脚本のうまさが光っていると思ったのが、堂野の「そういう選択肢があるんだ…」という、原作にはないセリフ。堂野が出所前に、芝に自分の連絡先を喜多川に伝えてもらうよう頼むのですが、やめておくよう諭され、そう呟くのです。堂野の迷いを一言で絶妙に表現していると思いました。心理描写をセリフにうまく乗せた、ドラマCDならではの表現に唸りました。
できれば、「箱の中」はDisc1にまとめて欲しかったですが、尺の都合でしょうか。Discを分けることで、二人が離れていた年月も演出できたと思うのですが…。
それでも「檻の外」は、6年の年月を感じさせる堂野の声で始まり、野辺さん、さすがだと思いました。
喜多川と再会した堂野は、家族ぐるみの交流を喜多川に望みます。がっかりする喜多川。最初の「やっと見つけた」と弾むような喜びが、寂しさに変わっていきます。しかし堂野の娘・穂花が喜多川に懐き、喜多川の声も明るくなってきた矢先、穂花が殺害されてしまいます。
ここからは、原作のセリフは大胆にアレンジされ、堂野、喜多川、堂野の妻のセリフを中心にスピーディーにドラマが展開します。
妻と言い争った堂野は、事件現場に手向けられた花輪の礼を言いに喜多川の元を訪れます。「君は悪くない」「悪くないなら、どうして死んだんだよ!」。このときの二人の感情が高まっていく掛け合いに圧倒されます。
そして喜多川が「あんたが死んだら俺はどうなるんだ」と、荒々しく堂野と体を重ねるのですが、二人のその切羽詰まった感情が痛いほど伝わってきます。
CD発売前の朗読劇でのトークショーで、川原さんが「相互作用で、予想していなかった演技が引き出されることがある」「演技は一期一会。毎回微妙に変わる」というようなことを話されていたのですが、まさにそれを体現するような、お二人の演技。素晴らしいです。
最後、穏やかに縁側で過ごす二人。「家があって、あんたがいて、犬が飼える。俺がずっと夢見てた通りだ」と言う喜多川の声に、幸せをかみしめる喜びが滲んでいます。愛を知らなかった喜多川が、堂野と出会ってやっとたどり着いた幸せに、胸が熱くなります。
堂野よりも喜多川の変化はとても大きかったと思うのですが、CDのリーフレットに収録は一日で行われたとあり、驚きました。二人の6年に及ぶ歩みをたった一日で演じられたとは…。
原作者の木原さんがシナリオ監修されているそうです。サイトのインタビュー記事に、小説の内容をそぎ落とす作業の中、イメージを壊さないよういろいろ工夫されたと書かれていました。臨場感あふれる、素晴らしい作品に仕上がっていると思います。
一つだけ、本当に小さなことですが、最後、喜多川のセリフの後、あと5秒くらい音楽を残してほしかったです。きっと尺がいっぱいだったのですね。それくらい内容が凝縮されているのだと思いました。