ayaayac
sumikomi no mahoutsukai
プリンセスフェア2018期間中、とらのあなで2000円以上買い物するともらえた小冊子(復刻版)。
初出がいつか描かれてないのですが『テンカウント』よりも前に描かれたものだと思います。
執事と主をテーマにした物語、お屋敷や小物などの背景が素敵です!
お金持ちのお坊ちゃんミツハル(学生)は、部屋に勝手に入って欲しくないから鍵をかけているのに、執事はまるで魔法を使ったかのように部屋に入ってきて、起こして世話を焼く。
そしてミツハルの気持ちを察した執事は、「魔法の仕掛けがどれかひとつでも解けたら、この部屋に入ることはしません」と言って、一日一回、ミツハルにマジックを見せる。
最初は種明かしに躍起になっていたミツハルだけど、そのうち執事の不思議さを見るのが楽しくなって…
執事は取柄のなかった自分がミツハルの父に喜んでもらって覚えたマジックだと言っているけれど、ミツハルの枕元の鍵をつかって部屋を開けたり、触れもせずに鳥籠を開けたり、「絶対に解けません」と自信ありげなのは本当に魔法使いだからなんじゃないかと思えてきます。
そして最後にミツハルから執事へのとあるお願いで物語は閉じます。
LOVEまでは発展していません。でもあとがきに
「執事と主の恋愛の魅力は自分が邪魔をしてなかなかくっつかないじれったさ」とあって、このなにかが始まりそうな雰囲気はやっぱりラブストーリーなんだなと思わせてくれます。
つい最近、とある作品を「雰囲気でわかってにも限度がある」と酷評したのですが、この作品を読んで、台詞のなかに絶妙に隠されている気持ち、表情から伝わってくる思い、それらを表現できてはじめて「雰囲気でわかって」が成立するんだなって実感しました!
正直に言うと、私は『テンカウント』は途中脱落組なのですが、この小冊子を読むと、やっぱり宝井先生は繊細な表現力をお持ちの方なんだなと思いました。