renachi
ichiho michi fan book
「ふったらどしゃぶり」の番外編『answered pray』。
友人の結婚式に出た一顕は、ビンゴでグラスを当てる。それは整がかつて好きだった和章が作ったもので……?という内容。
一顕視点で語られ、家で待つ整の元に持って帰って気付くかな、どうかな、と考えるのはもちろん、和章側の時の流れを感じ取って安心したり、いろんなところに思いを馳せる。
一顕は整の性格を把握し、行動予測が正確にできるようになっていたりして、こちら(読み手)は一顕と整の時の流れを感じ取ることができる。本編終了後にもちゃんと世界が続いていたんだなあと思える。
そうして、ラストの一顕の独白にほろりと泣いた。たった三文しかない短い心理描写なんだけど。書き始めの一文でもうダメだった。軽い言葉の中に詰め込まれた感情を考えるともう言葉にならない。
B5片面1ページだが、「ふったらどしゃぶり」本編終了後から今までの時間が確かにあったんだと思え、さらには今後の二人の幸せまで保障してくれた気がした。
このグラスの制作過程は「long hello」の書き下ろし小説で読める。タイトル『answered pray』はそこで意味が分かる、これもまた泣ける。