ポッチ
ano natsu no ningyohime
『愛しのニコール』の番外編。内容は書いてくださっているので感想を。
そもそも『愛しの~』の発売記念で開催されたサイン会で配布されたペーパーです。なので、サイン会に行くことができなかった方は読むことができないものなのですが。
凪良作品の『2119 9 29』に封入されているはがき+返送用封筒のみで「復刻ペーパー」という形でゲットすることができます。
嬉しすぎる…!
他に文庫本とか雑誌とか買う必要はなく、アンケートはがきを記入して、82円切手を貼った返信用封筒のみで応募できるので読者の負担はほぼほぼ無し。
締め切りは2017年12月31日(消印有効)。
ただ、「小冊子」に分類されていますが、復刻版として送られてきたものはA4サイズの薄手の白い紙に両面印刷されたもの(SSペーパー)ですので、サイン会で配布されたものとは形態は異なるのかな?
内容は同じものなはず。ですので、興味のある腐姐さま方にはぜひぜひ手に入れていただきたい。
本編ではニコ視点での描写が多かった気がしますが、このペーパーは栄視点。
栄の初恋は、ほかならぬニコだった、というほっこり可愛らしいお話でした。
サイン会とか、そういった特殊な場でいただけるものに関してはもらえない方の方が圧倒的に多く涙をのむことも多いので、こういった全サを企画してくださった凪良先生と出版社の方には感謝感謝です。ぜひとも、またこういう全サを企画してほしいな。
表紙部分にあたるところにyocoさんの挿絵がついているのですが、これがまた可愛いんです。
プールの中で、すがるように栄を見つめるニコ。
萌え度が上がったまま下がってきません。
とっても満足な全サでした。
本品は『愛しのニコール』の
文庫発売記念サイン会土産の書き下ろし小冊子です。
栄視点で
ニコとの出会いを回想するお話になります。
14歳の夏。
親の離婚という子供には
とてつもなく重大なのになにひとつ
子供の意見はさしはさめない
大人な事情で憂鬱と不安が高まった夜
栄は漬物石で自殺しようとしている
ニコと出会いました。
あの夜、
栄は母親が父親と電話越しで
延々と喧嘩していて耐えられずに
外に飛び出したのですが
5分で後悔する事になります。
歩けども歩けども田んぼと畑しかなく
子供の掌ほどもある巨大な蛾は恐ろしく
蛙の大合唱を聴きながら
栄は真っ暗な夜道を走ったのでした。
もう嫌だ。
今すぐ地球なんて爆発すればいいのに。
よくよく思い起こせばあの夜、
自分とニコは逆方向から
同じ場所を目指していたように思います。
月明かりが満ちる真夜中のプールで
ニコは明日も来るかと訊いてきたけど
髪先から水滴を滴らせるニコは
まるで人魚姫の様でした。
両親の離婚は何とか回避され
栄は元の暮らしに戻りましたが
たまに中学生がいじめで自殺したという
ニュースを見てはどきりとしていました。
ニコはちゃんと生きているだろうか。
アドレスを交換していればよかったと
何度も後悔しましたが
記憶の輪郭は美しくぼやけ、
栄の中でニコはいつの間にか
どこか甘くて物悲しい可憐な人魚姫の
イメージとなっていきました。
もっかい会いたいなぁ…
揺さぶられる感覚に目を開けた
栄の目の前には会いたかった
人魚姫の顔がありました。
生きていたんだな、よかった
安堵する栄を見つめるニコは
心配そうに眉を寄せていて…
本編では描かれることのなかった
栄とニコとの出会いから再会までが
栄視点で綴られた番外編になります。
栄がニコとの出会いを振り返るのは
社会人生活三年目に風邪をひいて
ダウンしていた夢での回想が半分、
夢から目覚めた後に
「会いたい」とつぶやいていた事で
ニコを人魚姫に重ねていた痛い妄想の
黒歴史を白状されられてしまって
ちょっとした喧嘩になりつつ終焉にという
今のお話が半分で構成されています。
本編はニコ視点なので
栄の言動にヤキモキしましたが
栄にも色々と言い分はあった模様です。
そういう誤解とすれ違いが
お話の山や海を作るので
仕方が無い事はわかっていますし
全く感覚の違う2人なので
コレからもぶつかっていくのでしょうが
出会って10年たっても
お互いに知らない事があるし
完璧にはわかりあえなくても
それはちっとも寂しいことじゃなくて
嬉しいことだ
という栄の言葉が
2人の関係の良さを感じさせてくれて
ホッコリしたSSでした♪
真実の愛を掴んだ栄には
これからもニコと大切にしてもらって
2人で幸せを紡いでいって欲しいです。